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「ひとりで戦う者」の価値

2017年07月17日 | 読書
 「ひとりで戦った経験は?」と訊かれたら、20代から30代にかけてのいくつかの事が思い出される。しかしどれも「若気の至り」という言葉で済まされそうな、しかも単発的な印象に留まってしまう。ただ、その時抱えていた問題意識は、まだどこかで燻っている気もする。「目的は何だ」といつも繰り返していた。



2017読了76
 『自民党ひとり良識派』(村上誠一郎  講談社現代新書)

 政局に興味はないが、政治の行方には気を配っているつもりだ。著者についてはよく知らない。しかし堂々と名づけたこの書名に惹かれ、手に取ってみた。表題も凄いが、自分を「ミスター自民党」と言い切り、単独で現執行部に対している。ちょうど一年前の発刊、偶然だが文藝春秋誌が今月号で取り上げていた。


 「自民党の劣化」についてこのベテラン議員は、その歴史を踏まえながら語っている。恥ずかしながら(笑)私は自民党と同じ年齢である。人間の身体と重ね合わすのは無理があるけれど、60年も過ぎる相当前から劣化は始まり、硬直するのは当然なのかもしれない。ただ政治は人間と違って滅びを待つことは許されない。


 著者が望む「自由闊達な党内議論」が無くなっている風景は、おそらく他の政党や企業、機関などにも見られる傾向だ。危機意識を持ち、風通しのいい場づくりに手をつけたところだけが、活性化し成長している…確かだろう。リーダーシップの重要性という道理は、「ひとり」で戦う者にとってキツイ現実でもある。


 眼がどこを向いているか、そしてその眼は曇っていないか…リーダーとはその点に自省的でなければいけない。人事配置も工夫の一つ。よって「ひとりで戦う者」をどう扱うか、これはかなり面白い判断基準で今後が楽しみだ。さて、この本にあった選挙制度の面白い意見は「一人2票制」。個人的にかなり気に入った。