スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

銀河戦&オカルトの発生

2022-01-04 18:53:57 | 将棋
 12月23日に放映された第29回銀河戦の決勝。対局日は10月27日。その時点での対戦成績は渡辺明名人が8勝,菅井竜也八段が3勝。
 振駒で菅井八段が先手になり向飛車穴熊。後手の渡辺名人は左美濃に組みました。この将棋は後手から仕掛けたのですが,徐々に先手が有利になっていきましたので,厳密にはその仕掛けが無理だったのだと思われます。
                                        
 後手が角を成って先手の桂馬が逃げつつ銀取りとした局面。ここから☖5二飛と角取りに回り,先手は☗4八角と逃げました。
 そこで☖5四銀と引いて逃げたのですが,☗5三歩と叩かれ☖7二飛に☗6六角の王手。☖5五歩の受けに☗5六銀が強手。☖3三桂と受けましたがここからはほぼ先手が一方的に攻め潰すことになりました。
                                        
 ☖5四銀と引いたのは疑問手で,☖5六銀の方がまたましだったようです。
 菅井八段が優勝。銀河戦は初優勝。2015年の新人王戦以来となる3度目の棋戦優勝となりました。

 一口にオカルトといっても,いろいろなタイプのオカルトがあるわけですから,それらのすべてを説明していくことは困難ですし,徒労でもあるでしょう。ここでは麻雀のプレイにおけるオカルトの発生を,スピノザの哲学に基づいて,分かりやすく説明できるタイプの一例を示します。くれぐれもこれがオカルトに依拠して麻雀をプレイすることの,全般的な説明であるとは理解しないでください。
 このタイプのオカルトの発生と最も関係するのは,人間の精神mens humanaがいかなるメカニズムで物事の想起memoriaをするのかを示した,第二部定理一七系および第二部定理一八です。これらの系Corollariumおよび定理Propositioから理解できるように,麻雀をプレイしているときに,かつて自分が経験したのと同じ場面,あるいはそれに似た場面に遭遇すると,人間の精神はそのかつての体験を想起します。そしてその想起を,現在の状況と関連付けることがあるのです。いうまでもなく人間がXを想起するというのは,Xの表象像imagoがその人間の精神のうちに生じるという意味なのですから,このXの観念ideaは混乱した観念idea inadaequataです。なのでこの想起に基づいて現在のプレイを決定するなら,それはオカルトに依拠してプレイしているということになります。このことは,もしもデジタルにプレイするのであれば,そうした表象像と無関係に,現在の状況を理論的に考察し,あるいはそうした理論的な考察に基づいた直観scientia intuitivaによってプレイすることになるということと比較したら,分かりやすいといえるでしょう。
 こうした表象像というのは,経験が多くなるほどそれに比例して増大します。これは経験を積むほど想起できる事柄が増大するという,きわめて単純な事実から明白だといえるでしょう。そしてもしもそのとき,理論に基づいて打って成功したという体験を想起するのなら,たとえ想起の表象像に依拠してプレイするとしても,いい換えればオカルトに依拠してプレイしたとしても,プレイの内容自体はデジタルに基づいて打つのと変わりません。ところがそのようにプレイして失敗したという表象像が想起されると,それとは異なったプレイになります。ごく単純な例ですが,これがオカルト発生の契機のひとつです。

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