スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&編集者の判断

2015-09-15 19:27:39 | 将棋
 昨日の第28期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第三局。
 振駒渡辺明棋王が先手になり角換り相腰掛銀。中盤で差がついた将棋ではなかったかと思います。
                         
 後手の永瀬拓矢六段が歩を打った局面。浮いているところに打ったのですから,何か狙いがあったものと思います。
 先手は熟考して▲同飛と取りました。△2六角と打ちましたので,歩を損してもこれで指せるという見立てであったのでしょう。
 ▲7一角と飛車取りに打ち返しました。飛車を取り合うのは馬ができる上にさらに駒が取れそうな先手が有望でしょう。なので△7二飛。
 これで角の行き場はありません。▲5四飛と銀を取りました。△同歩▲2六角成は銀損ですから△7一飛。▲6四飛と寄りました。
 駒得となった後手は△7三角。▲6三飛成に△3七角左成で桂馬も取って駒得が拡大。しかし▲6二銀の飛車角両取り。△4一飛と飛車を逃げました。
 先手は▲3五歩と叩きました。△同銀は▲4三歩と打たれるので△4三銀。ここから▲7三銀成△同馬▲同龍△同桂と清算。▲5五角の王手に△3三歩と受けました。
                         
 次に▲7三角成とすれば駒の損得なし。先手は馬を作り,玉の堅さでも優ります。さらに後手は歩切れですから,ここはわりと大きな差がついているかもしれません。
                         
 渡辺棋王が2勝1敗として挑戦者に。竜王戦は失冠した第26期以来2期ぶりの七番勝負出場です。第一局は来月15日と16日。

 ヨハネス・ファン・デル・メールがスピノザと直に会って質問したと僕が考える根拠はふたつあります。そのうちのひとつは,遺稿集の編集者たちの判断です。
 書簡三十八が遺稿集に掲載されたのは,公にする価値があると編集者たちが判断したためでした。もしメールが書簡でスピノザに質問したなら,その書簡も公開する価値があると編集者は判断した筈です。解答だけに公開価値があり,質問にはその価値がないと判断するのは著しく不条理であるからです。もし質問自体には価値がないとしても,解答の方に価値があるなら,解答内容の理解をより容易にするために,質問の方も公開する価値があるからです。これはそれ自体で明らかなことだと僕は思います。
 スピノザは,生存中から書簡をいずれは公表するつもりでいました。そのためにオランダ語で書かれた書簡を自身でラテン語に翻訳することまでしていました。なので,スピノザに送られた書簡のうちで重要なもの,いい換えれば死後に編集者が公開する価値があると判断するような内容が含まれている書簡については,保存しておいたと想定して問題ないものと思われます。したがって,メールが書簡でスピノザに質問したのなら,その書簡をスピノザが捨ててしまうということは考えられず,死後に編集者たちによって発見された筈です。そしてそれを発見したならば,編集者たちは遺稿集に掲載したことでしょう。ところが実際にはそうなっていません。つまりそうした書簡は存在しなかったと考えるのが妥当だと思うのです。簡潔にいえば,遺稿集に質問の書簡が掲載されていないという事実自体が,そうした書簡は存在しなかったことの根拠になるだろうと僕は考えるのです。
 ただし,次のような事情による例外が考えられることは僕も認めます。
 ライプニッツからスピノザに宛てられた書簡およびスピノザからライプニッツに送られた書簡は,掲載されているものより多くあります。そしてそのほとんどは,公開価値があったと推定して間違いないでしょう。同じような例は,スピノザとフッデとの文通でも確定できます。メールの場合にも同様だと考えられないわけではありません。
コメント
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