スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

全日本のブッチャー&能動と受動

2011-08-28 18:25:38 | NOAH
 新日本のブッチャーが今ひとつ輝きを放てなかったのに対し,全日本ではそんなことはありませんでした。これは黒い呪術師というキャラクターをそのまま受け入れられるようなスタイルのプロレスを全日本が展開していたことが大きかったでしょうが,やはりパートナーの選択も大きかったと思います。
 ファンクスとの抗争を共に繰り広げたアラビアの怪人は,ブッチャー以上にキャラクター重視のプロレスでしたから,ブッチャーが浮いてしまうということはあり得ませんでした。むしろシークの方がブッチャーのキャラクターによって救われていたのではないかと思えます。
 シークと仲間割れした後,ブッチャーのパートナーに起用されたのはキラー・トーア・カマタでした。このカマタはそれなりに実力も認められていたようで,馬場を破ってPWFのチャンピオンになったほどでしたが,体型的にはミニブッチャーというような感じで,ブッチャーほどではなかったにしても,やはりキャラクターの強いレスラー。かといってブッチャーの上に立ってやろうという感じでもありませんでしたから,ブッチャーのパートナーとしては最適な選手であったように思います。
 ブッチャーが新日本に移籍したのはこの後。この移籍はやっぱり失敗だったといっていいのではないかと思いますが,馬場は全日本への復帰を許しました。ただ,この時点では馬場自身もそうでしたが,ブッチャーも一線級として戦っていくのには無理がある年齢に達していました。そこで用意されたパートナーがジャイアント・キマラ。キマラは実力についてどうこういう以前に,キャラクターだけで勝負するようなレスラーでした。ブッチャーの全盛期にパートナーとして組んでいたならば,やや物足りなさを感じさせたのではないかと思いますが,この時期のブッチャーにとってはやはりベストなタイプのパートナーだったように思います。
 おそらく馬場は,レスラーの個性をそのままリング上で生かすようなプロレスを目指していました。それは,自身が好むと好まざると,馬場自身がひとつの偉大なキャラクターであったからだと思います。全日本のブッチャーがあまり不自然なプロレスを展開せずにすんだのは,それが馬場が目指しているものとマッチしていたからなのだろうと思います。

 ここで第三部定理三に立ち戻れば,あるものが何がしかの作用ないしは働きをなすagereという場合には,必ずそれは能動的であるか受動的であるかのどちらかであるということになると思います。
 観念ideaはそれが存在するならば,十全な観念idea adaequataであるか混乱した観念idea inadaequataであるかのどちらかです。よって十全な観念からのみ能動actioが生じ,混乱した観念からのみ受動passioが生じるのであれば,第二部公理三で示されているように,思惟の様態cogitandi modiの第一のものが観念である以上,少なくともどんな思惟作用も,必ず能動的であるか受動的であるかのどちらかであるということが帰結します。
 しかし,観念というのはその対象ideatumと,平行論における同一個体であるのですから,第二部定理七によってその秩序ordoは一致します。したがってある思惟作用が能動的であるならば,その思惟作用をなす観念の対象ideatumの,その同一個体であるような作用ないしは働きもまた能動的であることになりますし,逆にある思惟作用が受動的であるならば,その思惟作用をなす観念の対象の作用ないしは働きもまた受動的であるということになります。
 さらに第二部定理七系によれば,もしもある思惟作用というものが現実的に実在するならば,それに同一個体として対応するような作用ないしは働きというものが,思惟の属性の外に形相的なformaliterものとして現実的に実在しなければなりません。したがって逆にいうならば,一切の思惟作用を伴わないような形相的な作用ないしは働きというものは現実的に実在しないということになります。そこでもしも思惟作用のすべてが,能動的なものか受動的なものに分節することができ,それ以外に該当するような思惟作用が存在しないなら,同様に形相的なある作用や働きも,能動的なものか受動的なもののどちらかに分節することができ,能動的でも受動的でもないような働きや作用といったものは存在しないということになるでしょう。そしてこのことはおそらく,スピノザの哲学における精神と身体の関係から,必然的にnecessario帰結するのだろうとも思います。
 考察の主題の第一のものとして,僕が最後にどうしてもいっておきたかったのがこのことです。そこでこれからは,本格的に第二の主題に移行することにします。
コメント
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