サラの苑 院代崇正のブログ

熊本県ペットのお寺“沙羅の苑”。現在、沙羅の苑の院代を勤めている 蔵本崇正のプライベート日記を公開しています。

犬と猫と人間と

2010-03-12 11:45:39 | 崇正の独り言
という映画を観てきました。

電気館という映画館です。



とても、切実な映画でした。

犬と猫が人間の都合で、大量虐殺されている現実を

取り上げたものでした。

皆さんも是非ご覧になってください。そして、事実を知るということから

始めてください。こうしているうちにも、今日も全国で1000頭の殺処分が

行なわれているのです。



映画の中で、依頼主のおばあさんのかかりつけだった動物病院の院長先生の

お話がとても印象的でした。


先生は戦時中の犬の立場や、その中で行なわれてきた愛護活動を経験された

いわば先駆者的存在です。

その中で、「人間が幸せにならないと、救われないんだ」ということをおっしゃっていました。

と言うのは、戦時中貧しかった頃には、そんな悠長なことは言っておれない。

自分が死ぬかどうかの問題だ。犬も食べるし、毛も使う。

余裕が無い。

しかし、今度は余裕が出てくると、逆に食べ放題や食べ残し、過剰なまでの擬人化。

そしてこうも言っておられました。

「人間存在そのものが矛盾の中で生きておる。他のものの命をとらないと生きてはいけな

いという事実忘れて、動物愛護なんてことは成り立たないんだ」と。


これはまさに仏教そのものの考え方で、おそらく大変な葛藤の中で、道を求められたんだろうと

思います。

私は動物愛護を考える上で、いつもこのことを考えます。

人間の眼というのは、どこに焦点を定めるかと言うことによって、見方が180度変わってしまいます。

がけっぷち犬を取材しているマスコミたちを映しているシーンがありましたが、

まさにそのままで、その回りには同じ境遇の犬達がたくさんいるのに、見えてないんですね。

がけっぷち犬がまるでサクセスストーリのように取り上げられる。

だけど、報道してほんとに伝えなければならないのは、この事実なのですよね。

視聴率の問題があるかもしれませんが、そんな立場に立っていたら、報道の意味もないですけどね。

だけど、犬猫に焦点を当てるから、かわいそう。

反対に、牛や豚に焦点を当てたら、肉を食べるのやめますか?

以前、あるボランティア団体の方とイベントをした時、終わった後、今からお疲れさん会を

焼肉屋でやります、と言われる。

僕はなんと言う矛盾の中で生きているんだと痛感しました。

勝手ですね人間のまなこは。

犬猫を救っているそのご飯は、牛さん豚さん、鳥さんなんです。

自分の体を施すわけではないんです。やっぱり、犬猫を救う代わりに牛を殺しているんです。

そんな人間に愛護なんてことは成り立たないんです。

まずその自覚から始めなさいと言うことを先生はおっしゃっていたように思います。


他の命をいただかないと、一秒で生きていられない、この命。

そこに人間存在の大事な点があるんだと思います。

犬と猫と人間と




最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大きな課題 (tomohiro)
2010-03-13 19:15:23
私も動物の写真を撮っていく上で、崇正さんが
仰っている矛盾について深く考えることがあります。
ペットと人間との関係もデリケートな問題があります。
でもそれに背を向けず自分自身考え悩みながら
真実を写真に残して生きたいと思います。
Unknown (サマンサ)
2010-03-17 23:19:07
今日17日に映画を観てきました。
依頼者のおばあさんの言葉が
身につまされました。
ホームレスの人達が、自らのままならぬ食事を
猫に分け与える姿も私の日常で目にします。
本当の豊かさとは、動物達にどんなお返しが
出来るのか、と自問自答しながら
飼い犬と飼い猫を強く抱きしめた一日でした。
宗正さんの記事と関連性がなくてすみません。
Unknown (そうしょう)
2010-03-19 15:36:36
コメントありがとうございます。
人間と言う矛盾の存在をどう生きるのか。
難しいけど、それから目をそらせないのも人間ですよね。
しっかり生きていかなくては、ですね。

コメントを投稿