サラの苑 院代崇正のブログ

熊本県ペットのお寺“沙羅の苑”。現在、沙羅の苑の院代を勤めている 蔵本崇正のプライベート日記を公開しています。

先生 ありがとう

2011-01-10 08:04:31 | 崇正の独り言
1月8日の日、普段はあまり電話がかかってこない方からご連絡をいただきました。

現洛南高校吹奏楽部顧問、元洛南高校グリークラブ顧問、池内毅彦先生でした。

とっさに、嫌な予感がしました。「落ち着いて聞けよ」との声。

それで私は、先生の様態を初めてお聞きいたしました。

それから間もなく、まさかこのような結果になるとは思いも知れませんでした。

必ず復帰してまた一緒に歌えるものだと信じておりました。

とても残念です。

私が、洛南高校に入学して間もない頃、ひょっとしたご縁で一緒にグリー同好会なるものを設立しようということになりました。

それが先生との出会いでした。今から、17年も前のことです。合唱などしたことのなかった我々を、

一から指導して下さり、先生のあの美声は今でも耳に残っています。その美声は、良き手本となり、

あのような声を出すんだと練習に励んだものです。

そんなある時、私がトップテナーという一番高いパートのことで悩んでいた時、

「君のファルセットはいいね。羨ましいくらいだよ」

と声をかけてくださいました。その言葉で勇気が湧いた私は、救われた気持ちになりました。

そして、同好会からクラブへの昇格。団歌。団旗。校歌の合唱。など、様々なものが一気に決まって行きました。

私たちはそれについていくことに一生懸命になることが出来ました。

今、このグリークラブもあの頃の顧問と部員とが一体となった時間が支えているのではないかと思っています。



 先生は、本当に洛南高校を大切に思っておられました。卒業してから先生は色々と私に思いを語ってくれました。

先生はどちらかと言うと、熱く語るよりも淡々とクールに語りかけてくれました。

でもその中に秘めた熱い闘志は伝わりました。

やはり何よりも、元洛南高校校長の三浦俊良先生のお考えをとても大切に思っておられました。

私もその三浦先生の弟子の一人です。

三浦先生が何を考え、なぜ東寺高校から洛南高校に生まれ変わったのか。その本当の思いは何なのか。

それに耳を傾け、一緒に聞法し、それを実践し、何によって洛南は支えられているか、それを知る数少ない先生の一人でした。

そして、それを現代の洛南教育にどう生かすか、それを常に考えておられました。

洛南高校は、何も頭の良い子を育てる高校ではないのです。

今はそればかりが目立ちますが、本当の洛南高校の教育とは、菩薩を育てるところなのです。

その菩薩とは、「人が先、自分は後」そういう人間像です。

先生は、誰よりもそれを実践されていた方だったと思います。

いつお会いしても、想像を絶する忙しさの中に、時間をさいて下さり、いつも学校のため、

生徒のため、クラブのため、OBのため、いつも他のためでした。

「人が先、自分は後」まさに菩薩の修行をされていたに違いないわけであります。

そして、菩薩の後は、仏です。先生は本当に仏様になられたんですね。

 三浦先生のご葬儀の折、先生に歌を届けようということになりました。

そしてそれを現役部員が歌うということに。私の大切なグリークラブが、

我が師匠の葬儀で歌えるなど、この上ない喜びでした。

その折、私を部室に呼び、これから歌う現役部員のために三浦先生のことを少し話してくれないかと

頼まれました。私は泣きながら、私の知りうる先生をお話しさせていただきましたが、

東寺の食堂前で先生が指揮をなさり、三浦先生を黙って見送っておられた姿を思い出します。

 今、こうしてまさか、先生を私どもがお送りするなどその時には思いもよらないことでした。


 グリークラブ創立15周年の記念DVD制作でもとても喜んでくださいました。

でも先生、それはちょっと前のことですよ。これからOB会も応援して下さるのではなかったのですか?



私たちグリークラブ一同は、まぎれもなく先生の教え子でございます。

私たちにできることは、先生からいただいたこの仲間たちを大切にし、洛南高校グリークラブを支え、

皆が集まればいつでもあのころに戻れるような、歌えばいつでも先生に会えるような

そんな時間を大切にすることだと思います。

それが、私たちが先生からいただいたもののような気がします。



私にとっては、恩師と呼べる初めての先生でした。


そちらでは、三浦先生や宮本先生にお会いになり、再会なさっているのですか。

これからの洛南高校、またグリークラブをどうか見守って下さい。洛南高校は、皆の故郷です。

どうかどうか、ゆっくりお休みいただき、そして必ず必ず再会いたしましょう。

その時は、また一緒に歌って下さい。

川西裕明先生 

本当にありがとうございました。またお会いできるその日まで。


洛南高等学校OB会 会長 藏本崇正