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みなもとのよりみち(16)

2012年02月28日 |    ┣ みなもとのよりみち
(つづき)
複乗(復乗?)シリーズの16回目は、佐賀県鳥栖市の「新鳥栖駅前」バス停。


  
鳥栖駅からJR麓駅を通って西部工業団地入口及び下野を結ぶ「3番」と「5番」が、本線を離れて駅前ロータリーに寄り道する。



鳥栖市の市街地と新幹線の「新鳥栖駅」の間を結ぶ交通機関が他に何もないのであれば、バスの出番というものもあるのだろうが、在来線の「鳥栖駅」との間には普通に(?)在来線(長崎本線)が走っていることから、バスの役割をなかなか見出だしにくいという感じである。
駅開業当初は、新鳥栖駅と鳥栖プレミアムアウトレットを結ぶ路線も開設されたが早々に退散し、現在は、元々近くを通っていた路線が駅に寄り道するというパターンだけが残っている状態である(ただ、現在、駅前には「九州国際重粒子線がん治療センター」なるものが建設中なので、これによってバス路線がまた変化する可能性はありそうですが)。



仮に、「新鳥栖駅」への(からの)バス需要が旺盛であれば、ここは一大ターミナルとなり、“駅から各地へ”というバス路線網が形成され、「複乗」という概念は登場してこないだろう。

以前、「金山団地」の記事で、
“バス路線を新たに展開していくという「攻め」の姿勢から、現存する路線だけはなんとかして維持するという「守り」の姿勢への転換傾向がより強くなれば、少ない本数でより多くの場所を結ぶ必要が出てくるため、このような「寄り道」路線はまた増えていくものと思われる”
と書いた。
「複乗が増える」ということは、大局的にみれば「バス路線の衰退」を表しているともいえるが、衰退する中でも、複数の需要に応えようとする姿勢は評価すべきだと思う。

ただ、A地点B地点を結ぶ路線があるとして、それまでは直線的に2点間を結んでいたものが、途中で本線を離れてCという地点複乗(寄り道)するようになると、従来AB間を利用していた人にとっては、余計なところを通るようになって時間のロスが発生することになる。
この時間の「ロス」発生による客離れが、「複乗」することによる乗客増を上回るようだと、「複乗」を選択した意味がなくなってしまうことになる。
今後、「複乗」というツールを用いるにあたっては、この「読み」がより重要になってくると思われ、ここを読み違うと、一気にバス離れが進んでしまうことにもなりかねない。

先日お伝えした「新宮急行」のルート変更も、実質的には新宮中央駅を「複乗」することと同じであるが、複乗区間が結構長いことから、複乗区間よりも郊外部(下深町~新宮緑ヶ浜間)については、都心方面へ行く手段としての「新宮急行」の競争力は大幅に低下すると考えられる(例えば、これまで「福祉センター前」や「下深町」から乗っていた人は、「新宮東小学校」などまで歩くか、「特別支援学校前」や「下の府」から26Aに乗るなどしたほうが時間のロスは少なくなるかも)。
まあ、「新宮急行」の全区間に占める「複乗区間よりも郊外部」の割合はごく小さいことから、複乗による乗客増のほうが乗客減を上回るという「読み」は間違いではないのでしょうけど。

近年はバス利用者の年齢層、志向や利用動機も大きく変化していると思われ、「少々時間はかかっても、目的地まで連れていってくれれば構わない」という、勤め人や学生などとは時間の感覚が違う層の割合がかなり高まっていると推定できる。
コミュニティバスの浸透もあり、“時間の「ロス」発生による客離れ”が、一昔前よりも起きにくくなっていることも、「複乗」という手段が選択され易くなっている背景にあるのかもしれない(他に代替の交通手段がなく、“本意ではないにしろ「複乗」を甘受せざるを得ない”という場面も少なくないとは思いますが)。
(つづく)


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