Sightsong

自縄自縛日記

MOPDtK@Cornelia Street Cafe

2017-09-15 20:39:48 | アヴァンギャルド・ジャズ

Cornelia Street Cafeにて、Mostly Other People Do the Killing (MOPDtK)を観る(2017/9/13、2nd)。

Mostly Other People Do the Killing:
Ron Stabinsky (p)
Moppa Elliott (b)
Kevin Shea (ds)
Guests:
Sam Kulik (tb)
Aurora Nealand (as)

ピーター・エヴァンスとジョン・イラバゴンは既にMOPDtKから脱退しており、いまの段階では、ピアノトリオを基本としてメンバーが加わる形となっている。

最初の曲はピアノトリオ。ロン・スタビンスキーのイントロのあと、ケヴィン・シェイのどしゃめしゃドラムスが炸裂する。いきなりである。シェイはハン・ベニンクのように足も乗せて爆走、スタビンスキーも止まらない。演奏者も客も実に愉しそうだ。

2曲目からはトロンボーンとサックスのふたりがゲストとして加わった。全員でチキンレースを始めたようであり、どうなるのかと凝視していると突然終わって爆笑。サム・クリクはヨアヒム・バーデンホルスト率いるカラテ・ウリオ・オーケストラの一員であり、風貌も音もとても人間的。

3曲目、ドラムスもトロンボーンもサックスも擦るような音を発する。アルトのオーロラ・ニーランドも、愉しそうに、飄々と朝顔から声を吹き込んだりする。ここはリーダーのモッパ・エリオットがサウンドメイクしていった。クリクは「Green Dolphin」のようなフレーズも交えた。

区切らないまま4曲目に突入。フロントのふたりが変な音や声で競い、うしろの3人は困り果てるのだが、やはりエリオットの介入によってサウンドが軌道に乗った。突然、スタビンスキーのピアノソロ。自分がどこに居て誰なのかの錨を失ってしまったような狂気があった。

狂乱の渦は勢いを止めない。5曲目も全員が傾奇ながら疾走する。

2日前に、メンバーのケヴィン・シェイに、MOPDtKからエヴァンスとイラバゴンが脱退した事情を訊いたのではあったけれど、このライヴを観て、MOPDtKらしさは依然健在であることがよくわかった。むしろメンバーが柔軟に変わるグループと見るほうがよいのかもしれない。ふたりのスターがいなくなったことにより魅力が減ったと思い込むのは軽率である(わたしもそれで新作を聴かなかったのだが)。音楽を熟知して、その上で構造を解体し、哄笑も余裕で取り込む知的遊戯か。ICPオーケストラやウィレム・ブレイカーのコレクティーフから連なる系譜上に置いてもよいのではないかと思った。シェイによれば、MOPDtK『Blue』(2014年)は(『Kind of Blue』という)「sacred place」を侵されたくない向きもあってかなりの批判を浴びたそうである。聴き手の耳がかくあるべきジャズという枷から逃れられれば、これはとても愉しい。

ところで、シェイに、メアリー・ハルヴァーソンと組んだユニット「People」の3枚をヴァイナルとCDでいただいた。ふふふ。

Nikon P7800

●MOPDtK
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『(live)』(2012年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

●モッパ・エリオット
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『(live)』(2012年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年)  

●ロン・スタビンスキー
MOPDtK『Blue』(2014年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
MOPDtK『(live)』(2012年)

●ケヴィン・シェイ
Pulverize the Sound、ケヴィン・シェイ+ルーカス・ブロード@Trans-Pecos(2017年)
Bushwick improvised Music series @ Bushwick Public House(2017年)
ヨニ・クレッツマー『Five』、+アジェミアン+シェイ『Until Your Throat Is Dry』(JazzTokyo)(2015-16年)
クリス・ピッツィオコス『Gordian Twine』(2015年)
MOPDtK『Blue』(2014年)
MOPDtK『(live)』(2012年)
MOPDtK『The Coimbra Concert』(2010年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)
MOPDtK『Forty Fort』(2008-09年) 

●サム・クリク
カラテ・ウリオ・オーケストラ『Garlic & Jazz』(JazzTokyo)(2015年)


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