Sightsong

自縄自縛日記

ビューティフル・トラッシュ『Beautiful Disco』 アルゼンチンのビョーク・カヴァー

2016-11-27 08:40:02 | 中南米

昨日入院中の病院から抜け出して神楽坂を散策していて、ついでに、行きたかった大洋レコードも覗いてみた。ブラジルとアルゼンチンの音楽に注力しているレコ屋さんで、中はさほど広くはない。ただ、紹介したいという熱意のようなものが溢れていて、じろじろ眺めていると愉しい。オリジナルのトートバッグやシャツなんかも販売していて欲しくなる。

それで、目に飛び込んできたディスクが、ビューティフル・トラッシュ『Beautiful Disco』(レーベル不明、2015年?)。正直言って、このひと昔前のようなジャケットとタイトルだけでは手に取ることはまずない。しかし、大洋レコードさんがジャケットに貼りつけたシールに「ビョーク」と書いてあって、おおっと思ったわけである。

なんと、歌手と大勢の打楽器奏者によるアルゼンチンのビョーク・カヴァーである。うおおマジか。

Beautiful Trash:
Andy Inchausti(パーカッション指揮)
Jazmin Prodan(ヴォーカル)
Juan Bianucci(キーボード)
Lucas Bianco(ベース)
Dolores Arce(ジャンベ、コーラス)
Shira Michan(ジャンベ、コーラス)
Natalia Arce(ジャンベ)
María Villareal(ジャンベ)
Federico Wechsler(スルド)
Pablo Avendaño(スルド)
Pablo Lloret(スルド)
Sebastian Reccia(カホン、スティックとコンガ)
Manuela Iseas(カホン)
Federico Rescigno(ダラブッカ)
Pablo Marigo(カホン、コンガ)
Emiliano Escudero(コンガ)
ゲスト: 
Richard Nanto(トランペット on track 6)
Judia Morgado(コーラス on track 1)

カヴァー曲は以下の通り。
1. The Triumph of the Heart 収録アルバム『Medulla』(2004年)
2. Hunter 収録アルバム『Homogenic』(1997年)
3. Big Time Sensuality 収録アルバム『Debut』(1993年) 
4. Crystalline 収録アルバム『Biophilia』(2011年) 
5. Hyperballad 収録アルバム『Post』(1995年)
6. Venus as a Boy 収録アルバム『Debut』(1993年)
7. Army of Me 収録アルバム『Post』(1995年)
8. Virus 収録アルバム『Biophilia』(2011年)
9. Joga 収録アルバム『Homogenic』(1997年)
10. Unravel 収録アルバム『Homogenic』(1997年)

こう見ると、『Debut』以降のビョークのアルバムから、『Vespertine』(2001年)と『Volta』(2007年)を除いて、満遍なくセレクトされている。『Vulnicura』(2015年)は時間的に間に合わない。

歌手のハスミン・プロダンはもともとそのような資質なのか、それともここでビョークの歌唱法も追及したのかわからないが、実にビョークの特徴が重なっている。アイスランド、アルゼンチンと、英語を母語としないという共通点も何か関係があるのだろうか。しばしば喉をダミ声で震わせたり(これは元ちとせもインディーズ時代のミニアルバム『Hajime Chitose』で思いっきり真似している)、「Hyperballad」における「mountain」などの独特な発音があったり、何だかすごく嬉しい。

それにしても大変な数の打楽器である。ジャンベ、カホン、コンガ、スルド、タラブッカ。もはや沸騰快適音楽である。ギニアのママディ・ケイタが中心になってジャンベを打ち鳴らした映画『ジャンベフォラ』(1991年)はサウンドも、画面の外側に飛び出しまくっていた叩き踊る人たちの動きも激しくて、ちょっと衝撃的で、その後日本でもジャンベを手に取る人が増えたような印象がある。また、先日テヘランでカホンを叩く人の写真を撮ったところ、ヴァイオリニストの喜多直毅さんに「カホンは世界を救う!」と言われたこともあった。

要するに打楽器もビョークもこのアルバムもファンタスティックである。

●参照
Making of Björk Digital @日本科学未来館(2016年)
ビョーク『Vulnicura Strings』(2015年)
ビョーク『Vulnicura』(2015年)
MOMAのビョーク展(2015年)
MOMA PS1の「ゼロ・トレランス」、ワエル・シャウキー、またしてもビョーク(2015年)
ビョーク『Volta』、『Biophilia』(2007、2011年)
ビョーク『Vespertine』、『Medulla』(2001、2004年)
ビョーク『Post』、『Homogenic』(1995、1997年)
ビョーク『Gling-Glo』、『Debut』(1991、1993年)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。