アンドリュー・シリル『Special People』(Soul Note、1980年)を聴く。
Ted Daniels (tp, flh)
David S. Ware (ts)
Nick De Geronimo (b)
Andrew Cyrille (ds)
今年の私的事件のひとつは、「シリル・ショック」だった。6月に、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードではじめてシリルのプレイを目の当たりにして、文字通り驚愕してしまったのだ。こんなに途轍もない達人だったのか、と。録音では、これ見よがしなハッタリが少ないだけに、そこまでは脳に浸透していなかったわけである。
この盤でのプレイは「普段着」な印象だが、やはり、何事もなかったかのような涼しい貌で、スティックやブラシを高速で駆使しているであろう場面があって、嬉しくなる。
それはそれとして、デイヴィッド・S・ウェアである。さして苛烈も激烈でもなく、ときに、ビリー・ハーパーのようにブルージーでもあるのだ。かれの熱心な聴き手ではないゆえの意外さかもしれない。このようなサックスを吹くのか。
2014年6月、ヴィレッジ・ヴァンガード
●参照
US FREE 『Fish Stories』
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard
アンドリュー・シリル『Duology』
アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』
ビリー・バング+サン・ラ『A Tribute to Stuff Smith』(シリル参加)