Sightsong

自縄自縛日記

フェローン・アクラフのドラムソロ盤2枚

2017-08-17 09:24:20 | アヴァンギャルド・ジャズ

フェローン・アクラフの最初のリーダー作は『House of Spirit: Mirth』(Passin' Thru Records、1978-79年)であり、その後、数は少ないが着実にリーダー作を出し続けている。サックス2本にソニー・シャーロックまで参加した『Sonogram』(MU Records、1989年)も、オリヴァー・レイクをゲストに呼んだ『Global Mantras』(Modern Masters、1997年)もとても良い作品である。

アクラフといえば山下洋輔NYトリオ、New Airなどヘンリー・スレッギル、オリヴァー・レイク、アンソニー・ブラクストンなどアヴァンギャルドの巨人たちとの共演が目立っているが、ここまで個性の強いドラマーであるから、当然、リーダー作も悪くない。

Pheeroan akLaff (ds, vo)

この『House of Spirit: Mirth』は長いことレアだったのだが、2011年に再発され、めでたく初めて聴くことができた。ときどきドラムにかぶさる唄はアクラフ本人によるものだと思うが、ひょっとしたら他の人も入っているのかもしれない。ただ、アフロ・アメリカンを含め、多くの文化を独自の祭りのようにして熱く打ち出す音楽は、どうみてもアクラフの個性である。

1978-79年といえば、もう上記の巨人たちと共演する直前であるし、79年にはアンソニー・デイヴィス~ジェームス・ニュートンの傑作盤『Hidden Voices』に参加してもいる。すでに本盤でらしさ爆発は当然なのだった。アクラフに注目してきた人なら共感できるはずだが、かれのフレーズにある手癖が聴こえてくる。

Pheeroan akLaff (ds)

今月アクラフのドラムソロを観る機会があって(フェローン・アクラフ@Dolphy、2017年8月)、エネルギーも熱さも人間味も同じで嬉しくなってしまった。そのときに演奏した曲(ドラムソロにも曲がある)が収録された盤『Drumβ et Variations』(Modern Masters、1996年)を、会場で入手した。

1996年の山下洋輔NYトリオのツアー時に、京都、花巻、東京で録音されたものらしい(わたしがはじめて観た年だったかどうか記憶が曖昧)。20年弱前の『House of Spirit: Mirth』と聴き比べるとかなり洗練されてはいるものの、アクラフはアクラフ、唯一無二のドラマーなのだった。ちょくちょく来日するかれのプレイをしばらく観なかったことを後悔している。

●フェローン・アクラフ
フェローン・アクラフ@Dolphy(2017年)
ワダダ・レオ・スミス『Spiritual Dimensions』(2009年)
フェローン・アクラフ、Pentax 43mmF1.9(2004年)
スティーヴ・リーマン『Interface』(2003年)
トム・ピアソン『Left/』(2000年)
"カラパルーシャ"・モーリス・マッキンタイアー『Dream of ----』(1998年)
アンソニー・ブラクストンはピアノを弾いていた(1995年)
レジー・ワークマン『Summit Conference』、『Cerebral Caverns』(1993, 95年)
ヘンリー・スレッギル(2)
ヘンリー・スレッギル(1)


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