詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

八柳李花ー谷内修三往復詩(9)

2011-12-09 00:48:29 | 
くちびるの動きを模写しようと   谷内修三


男が射精するとき思い出すのは腋毛の古くさい倦怠である
シーツに残る汗の不機嫌なにおいが見る前の夢にまでしみ込んできて
内耳の階段を落ちていく掠れた声のかけらを集める
遅れるようにあふれてくるのはおまえのなまぬるい口臭という郷愁

シーツに残る汗の不機嫌なにおいが見る前の夢にまでしみ込んできて
部屋の隅ではコップのなかで水が蛇のように腹を白く輝かせて反転する
遅れるようにあふれてくるのはおまえのなまぬるい口臭という郷愁
くちびるの動きを模写しようと指はさまよい あてどなく

部屋の隅ではコップのなかで水が蛇のように腹を白く輝かせて反転する
いまここにないものを数え直す伏せ字の花よりも
くちびるの動きを模写しようと指はさまよい あてどなく
最後のことばを確かめるように肛門の形をなめてみる舌は

いまここにないものを数え直す伏せ字の花よりも
男が射精するとき思い出すのはふと腋毛の古くさい倦怠である
最後のことばを確かめるように肛門の形をなめてみる舌は
内耳の階段を落ちていく掠れた声のかけらを集める


                          (2011年12月09日)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 三角みず紀「寝室にて。」 | トップ | 清水哲男「ブルウス」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事