司法書士佐季papaの毎日が一期一会

■■最近は気まぐれですが、日常の業務等を通じて実際に感じたことや,プライベートでの出来事についてお伝えしています■■

住宅用家屋証明書と転居(2)

2022年09月04日 | 住宅用家屋証明書

愛読者の皆さん、こんにちは。

そもそも住宅用家屋証明書って、転居を前提としています。転居出来るならば、⑴売買契約書、⑵照会番号付き不動産登記情報、⑶転居先の住民用(ただし個人番号省略)だけで取得出来ます。これが、転居しないままだと⑷申立書(事情説明書)が必要となり、その申立書には①転居出来ない理由、②転居時期を記載し、かつ、裏付けとなる資料を添付しなければなりません。少し面倒です。

この①の理由がリフォームだったり、保育所の利用だったりする場合には現住所でひとまず登記するしかなく、その場合には転居後に転居先の住所に登記上の住所を変更することになろうかと思いますが、住民登録手続上で事前に住所を移転することが出来るような場合だと、住民登録手続上では間違った方法ですが、転居してもらったほうが証明書を取得するのも簡単だし、その後に改めて住所変更登記をしなくて済むので、その分の登記費用も節約出来ることになります。

とはいえ、これもまた変な話ですよね(以前は自分の中で安く登記するための例外的な措置として消化していたように今は思えます)。転居してもいないのに転居したことにしてくれとお願いするのも。なぜならば現住所でも証明書は取得出来るからです。

ちなみに、引き渡しの日に住所を移転し、転居先の住民票を取得した上で登記をすることは、もちろん理屈では可能ですが、現実にはほとんど無理でしょう。

なぜならば、住宅ローンを組んでいる場合は既に登記関係書類がすべて現住所で作成されているので、残金決済後にそれらの書類を訂正し、銀行で確認・承認してもらうだけの時間がありません。事務所に遅くとも16時には戻らないと当日中の登記申請がまず出来ないからです。

ましてや、他の市町村からの転入だと印鑑証明書(抵当権設定登記の必要書類)がネックとなることが考えられます。買主本人が市役所等の窓口に出向き、かつ、顔写真付きの身分証明書を持っていないとその場で取得出来ないからです。

また、代理人による手続や顔写真付きの身分証明書が無い場合にはこの印鑑登録は郵送手続となり、その郵送先は転居先の住所ですから、結果として買主は市役所等からの本人確認手続書類を受け取ることが出来ません。つまり、郵送手続には馴染まないのです。

住宅ローンを組まないような場合であっても、売主側に住宅ローンが残っているような場合では同様のことが言えます。抹消書類を受け取ってから事務所に戻る時間が不確定だからです。もちろん、買主側の都合によるものなので、買主が翌日の登記申請でも構わないと言えば別ですが、その場合は「明日の朝までに何があっても責任は取れません」と伝えることになりますので、実際はそのようなことになることは避けるでしょう(以前、リスクを説明したことで買主の気が変わったことがありました)。

だから、今までは当たり前のように指示してきたことが、説明責任の下、そうでもなくなってきているわけです(続く)。

では、ブログの愛読者である皆さんもそうでない皆さんも、明日が今日よりも幸せな1日となりますように 

債務整理や登記全般に関する電話相談や手続の依頼を希望される方は、(047-473-3371)までお願いします。 

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住宅用家屋証明書と転居(1)

2022年09月03日 | 住宅用家屋証明書

愛読者の皆さん、こんにちは。

居住用の家屋を新築したか、購入したときに一定の要件を満たすと市役所や区役所で「住宅用家屋証明書(以下、「証明書」という)」が取得出来ます。これがあると登録免許税が減税となるので(ときには数十万円も)、私達司法書士は必ず取得する方向で話を進めます。ちなみに、施主や買主にお願いするのではなく、登記に必要な書類なのでほぼ100%私達司法書士が取得します。実費が概ね1,300円、報酬は多分5,000円から1万円でしょう。

今回はこの証明書の話です。それも、どちらかと言えば新築ではなく、中古住宅の購入の場面での話です。

この証明書を取得するために必要な添付書類の一つに買主の住民票がありますが、原則として、購入する予定の中古住宅に住所を移転しなければなりません。もちろん、何らかの事情で住所を移転出来ないこともありますが、その場合だと事情説明書や裏付けとなる資料の提出が求められますし、可不可の判断は市区町村ごとでまちまちなので、事前に市区町村の担当窓口と打ち合わせをしておかなくてはなりません。

何十年も前から存在する証明書なので、今まで数え切れないほど取得しましたが、問題意識は多少なりともあったものの実際にトラブルとなることも無かったので、転居に関する買主への説明はこれまでは不動産業者任せにしていました(証明書を理解しなければならない立場ではないことから、不動産業者は住所を移転するように買主に指示しているのが現状と思われます)。

また、住宅ローンを組む銀行も、居住用であるだけに住所を移転することを買主に求めていたことも以前はありました。それが、最近の実務では変わりつつあるようです(続く)。

では、ブログの愛読者である皆さんもそうでない皆さんも、今日が昨日よりも幸せな1日となりますように 

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