角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

東北観光博。

2012年02月29日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
紺のベースにはどんな色を組み合わせても、違和感が少ないように感じます。まして綺麗な和柄ですから、この辛子色もすんなりまとまりました。サイズは24cm、男女どちらにもお勧めできますね。

二月の最終日を迎え、角館にも春の兆しです。朝はずいぶん冷え込んだものの、日中は穏やかな晴天となりました。気温も5℃くらいまで上がったでしょうか。
秋田言葉に「きゃどぽんぽんじぃ」というのがあります。「きゃど」は「街道」が訛ったもので、「ぽんぽんじぃ」は乾いた状態を指すんですね。春先のこの時季だけに使われる、春を待ち焦がれた言葉でしょう。

静岡県浜松市からお越しの三人旅。60歳代と思しきご夫婦と、親しいご友人のおばさまという感じです。お三人共角館草履を気に入ってくださり、それぞれにお気に入りの配色をお選びでした。とても明るく、楽しそうなお顔が印象的です。

静岡県はほぼ雪の降らない土地ですから、『大雪の秋田県へようこそお出でくださいました』と言うと、『東北へ行こうって決めてたんですよ。“頑張ろう東北”ってやってるじゃないですか。ほんとに僅かですけど、お金を使って来ようってねっ』。

去年の夏くらいからでしょうか。こうした言葉を何人もから言われました。そのたびに胸が熱くなり、「見捨てられていない」と感じたものです。
震災からほぼ一年が過ぎ、3月18日を開幕日とする「東北観光博」が始まります。震災のあと風評被害も加わって閑散としてしまった東北を、また元気にしようという企画ですね。

とてもありがたく思うと同時に、お出でくださるお客様には必ずご満足いただくという気概を、私たちは持たなくてはいけないでしょう。
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笑えない草履職人。

2012年02月27日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
ツートンカラーなど奇をてらう配色は、冬場の在庫作りの中でひとつの楽しみになっています。角館草履を知る人も知らない人も、見た目が楽しければ笑顔にもなるでしょう。時間にゆとりのあるこの時期、お客様のそんな笑顔を想像しながら草履を編んでいます。

昨年の暮れ、大阪市から北東北の取材に訪れたご一行がおりました。2011年12月26日のブログでも少し触れています。
そのフリーペーパーが今月中旬発行され、私の手元にも届き読ませていただきました。

青森・岩手・秋田の北東北三県を取材陣が実際に旅し、主に温泉とグルメを紹介しています。角館はグルメの中でも「和菓子」をふたつ紹介していて、これまでの紹介記事には珍しいかもしれません。

ひとつは後藤福進堂さんの「金柑まんじゅう」、もうひとつが渡辺菓子店さんの「なると餅」です。このふたつのお店は、私も実演席でお客様に紹介することがあるんです。後藤福進堂さんは羊羹も秀逸で、甘いものが好きな方なら笑顔間違いなしですよ。

グルメばかりが多い中に、角館草履もありました。私が草履を手に笑っている写真が掲載され、「角館草履の実演をしていた工房沙佳屋のご主人。底抜けに明るく、ちょっとした有名人」と紹介文が付されています。
確かに明るいかも知れませんが、言うほど「有名人」ではありませんね。

それにしても掲載された写真、少し引きつった不自然な笑い顔ですよ。今年は震災復興支援企画など、『笑ってくださ~い』とカメラマンに言われることが何度かありました。私はそういうときに、なかなか自然に笑えないんですよねぇ。もしかしたら、底抜けに明るくもないかも知れません。

北東北三県を取材した記事の最後は、こんな言葉で締めくくられています。
『今回の四日間の北東北旅行を一言でいうと、“やっぱり東北はええなぁ”です。震災後の風評被害にも負けず、まじめに元気に頑張る東北人の姿に心打たれました。皆さんも今年こそ北東北を旅しませんか』。

なかなか上手に笑えない角館の草履職人ですが、出来る限りまじめな笑顔でお迎えしたく存じます。
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「和」の空気。

2012年02月26日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
お馴染み赤の唐草をベースに、紺無地を三本配しました。赤の唐草は定番配色③を筆頭に、多くは女性用に利用する布地です。それが組み合わせに紺や緑を使うと、男性用になんら不思議のない配色に変わるんですね。「今日の草履」も24cmで編んだのは、そんな理由からでした。

30歳前後と思しき男性のみ7~8人がお越しです。『なにかの研修ですか?』とお訊ねすると、『いえいえ、フツーの観光です』。
角館には研修や勉強会のご訪問が多いですし、「男性のみ」の点でも先入観が働いてしまいました。これは私のひとつ反省するところでしょう。

うちのおひとりが角館草履を高く評価してくださり、ご自身用と奥様用をお買い上げです。こちらの男性が角館草履に興味を覚えたのは、なんとなくですが分かるような気がしました。それは「日本男児」の空気が、短いおしゃべりの中にも感じられたからなんです。

日々の実演でときどき出会うのは、いかにも角館草履に興味を覚えそうな空気を持った人たちです。それは性別や年齢、地域や国でさえ無関係と思います。どこかに確たる「日本」を持っていて、さらに「和」が好きという共通項でしょうか。

もっとも角館自体がそんな町ですから、角館を訪れる人たちは少なからずそうした空気の持ち主なんでしょうね。
「角館」と「和」の象徴である桜満開まで、あと二ヶ月となりました。
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信頼の日本製。

2012年02月25日 | 実演日記




今日の草履は、神奈川県横浜市にお住まいの女性からの、ご注文フォームによるオーダー草履です。2足のご注文のうち、「紫系おまかせ」がこちらになります。
気に入ってくださることを願って、明日の便で出発です。お楽しみにお待ちくださいね~。

どちらからお越しか聞きそびれてしまいましたが、明らかに県外からのご夫婦です。草履の健康効果をご説明すると、子ども用草履をお買い上げくださいました。配色選びをしながらご夫婦に訊ねられたのは、『子ども用はどこで作ってるんですか?』。

子ども用とミニ草履は、私のカミさんがひとりで編んでいます。ときに子ども用の特注オーダーは私が編むこともありますが、まずほとんどはカミさんの作品なんですね。ご夫婦にそのままをお伝えすると、『じゃあ間違いなく日本製ですねっ』。

実演をご覧のお客様からときに訊かれるのは、『そのイ草は国産なの?』。
熊本県八代産であることをご説明すると、お客様は一様に安堵の表情をされますね。素材のイ草を確認したい気持ちは分からなくもないのですが、編みあがった草履の産地を確認されたのは初めてかも知れません。

ご夫婦が続けて訊くのは、『樺細工で、値段が安くて同じものがいっぱいあるのは、やっぱり中国製なんでしょ?』。
実はご夫婦の“産地確認”は、樺細工から来ていたんです。西宮家を訪れる少し前、武家屋敷通りの樺細工伝承館に立ち寄られたそうです。

樺細工伝承館では伝統工芸士の称号を持つ職人さんが、交代制で実演を披露しています。今日の職人さんに言われたのは、『こうしてひとつひとつ手作りしていくんですよ』。
丹念に仕上げていく工程を目の当たりにした後、売店へと進むご夫婦。そこで見たものは、千円や二千円という価格で同じものが何個も並ぶ商品群だったわけです。

『さっきの職人さんのように、ひとつひとつ丹念に手作りしていたら、こんな値段のはずがない。しかも同じものが何個もあるのは、きっと輸入品だからじゃないのか』。ご夫婦はこう思ったんですね。

天地神明に誓って、角館で輸入品の樺細工が販売されたことはありません。過去に秋田市の業者が製造した事実はありますが、少なくとも角館でこれらが流通した話はないですね。
ご夫婦にご説明すると、それこそ安堵の表情をされましたよ。

現代の日本において、輸入品を完全に避けては生活が成り立たないでしょう。でも先のご夫婦のように、「日本製」を譲れないものも確かにあります。これだけ自国の製品を信頼しているのですから、TPPも参加したら…というのはちょっと履き違えですかね。
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心清き人。

2012年02月24日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
お馴染み桜うさぎピンクをベースに、淡いピンクを三本配しました。暖かな優しい春を思い浮かべる「今日の草履」は、♪春を愛する人は 心清き人♪に履いていただきたい一品です。

神奈川県鎌倉市からお越しの母娘さんペア。娘さんの年齢は二十歳代前半と思います。角館草履の健康効果と配色に感心してくださり、それぞれにお気に入りをお選びでした。お二人とも終始にこやかな笑顔が印象的です。

ふとミニ草履の展示カゴに目が行った娘さん、『あっ、頑張ろう 東北だ』。売上の中から100円を義援金にします旨書いた額をお読みになると、『ひとつ買って行こっ』。
東日本大震災以来、こうした「心清き人」と何人も出会いました。

二度目の保育実習のため実家へ戻っている長女。先日の夕食時、テレビに被災地の映像が流れると、『あぁ、あれから一年だなぁ…』。しみじみと、悲しげに、懐かしく言うその言葉に、私もカミさんも大きく頷いたものです。

想えば長女の受験会場の下見のため秋田市を訪れ、あの震災と遭遇しました。停電のままの翌日受験に臨み、結果は不合格でした。合否と地震に因果関係などあろうはずはないのですが、ツラい思い出としてこの二つが重なるのでしょう。

今長女は青森市の学校で保育を学んでいます。子どもと接する仕事に必要な一番は、相手を「心清く愛する」こと。こうした心は、ツラい思い出を持つ人にこそ培われると信じたいものです。
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50歳記念同期会。

2012年02月22日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
シブ目の配色ながら、実はお洒落と思います。サイズは小さめの22cm。あまり明るい色を好まない、落ち着いたお洒落なおばあちゃんといった印象でしょうか。

いよいよ角館にも春の兆しです。今朝は放射冷却現象による厳しい寒さでしたが、時の経過と共に太陽が照りだし、窓辺や車中はかなり暖かい一日でした。このあとの週間予報を見ても、もう厳寒期の気温はありません。明日は暖かい雨の予報ですから、積もりに積もった雪もだいぶ融けるでしょう。

一昨日は月に一度、同期生が集まる日でした。昨年の晩秋あたりからチラホラ聞かれだしたのが、厄祓い以来の同期会です。この後確実に開かれるのは還暦年祝いですから、42歳厄祓いから還暦まで開かないとすれば、18年間のご無沙汰になってしまいます。

その中間で開くとすれば、45歳時の「中学校卒業30年記念」、もしくは「50歳記念」のいずれかなんですね。私たちの学年は45歳時をパスしてしまったことから、もう選択肢は今年の「50歳」しかないというわけなんです。

結果として、今年のお盆を開催日に開くこととなりました。詳細は今後の実行委員会で諮られるとして、とりあえず「開催」の報を早く広く同期生に伝えたいと思っています。

近年、町外あるいは県外に暮らす同期生から、「同期会待望論」も聞こえていました。角館中学校昭和52年度卒業生は、200名をゆっくり超えます。どれくらいの人数が出席できるか分かりませんが、今年の夏にひとつ楽しみが出来ました。
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「出掛ける」重要度。

2012年02月19日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
お洒落な桜プリントに、黄色を三本配しました。黒と黄色は相性が良いですし、なにしろ黄色には風水から来る開運の相があると言います。こちらの配色であれば、老若に関わらずお勧めできますね。

今冬の厳しいところもあと少しと言いながら、ほんとによく降る雪です。ここ一両日の降雪で、また少し周囲の景色が変わりました。昼の長さや日差しの優しさに僅かな春を見つけたと思っていたら、またまた厳寒の真冬に戻された気分ですよ。

朝から吹雪模様や大雪警報が出ていると、マイカーで遊びに見える方々が激減します。ツアーやすでに角館入りしている方々の散策はあるのですが、秋田市を中心に県内のお客様はほんとに少なくなりますね。

私がその立場であっても、無理に出掛けるのはやめるでしょう。仮に家族が出かけるとしたときも、単に遊びに行く程度ならやめるように言うと思います。あとは目的の重要度でしょうね。昨日の大雪の中、カミさんが早朝秋田市へ出掛けました。それは三女の卓球大会の配車係りですから、天気によってやめるというわけにはいきません。

過日発生した玉川温泉雪崩事故は、その後大きな波紋を呼んでいます。2月2日のブログで、湯治客を現場へ行かせた施設側の過失に少し触れました。地元紙の報道では、事故検証委員会のメンバーのひとりも、『ケンカしてでも止めなければいけなかった』と語ったそうです。おそらくこの意見に、真っ向から異論を唱えられる人はいないでしょう。

ただ、その後詳細が伝わるにつれ、部外者ではなかなか分からない部分がありました。
被害に遭われた三人は、全員ガンを患っていたそうです。「ワラをもすがる思い」「最後のよりどころ」という気持ちで玉川温泉の岩盤浴を訪ねる人は、実際とても多いと聞いています。

天候状態によって施設スタッフは、『今日はお出掛けにならないほうが良いですよ』とお声掛けをしていたと言います。それで当座諦めてくれる人もいれば、『命をかけて来ている。自己責任で構わないので行かせて欲しい』と言う人もいたんですね。
スタッフは、『そこまで言われると、もう引き留めることが出来ませんでした』と語っていました。

この事故を受けて仙北市長は、雪崩防止柵の設置を県や国に求めたいと言っています。対して県と国は、国定公園という性格と設置費用の膨大さ、そもそも柵の設置で事故を防げるかの点で消極的とのことです。

費用対効果など詳しいことは私に分かりません。ただ仙北市長が冬場も利用できるようにしてあげたいとするのは、玉川温泉を訪ねる人たちを知るからではないでしょうか。
『天気が悪いから出掛けるのは止しなさい』は、遊びに行く人へ使う言葉なのかも知れません。
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それなりの49歳。

2012年02月16日 | 家族の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
お馴染みの夜桜をベースに、淡いピンクを三本配しました。濃い色と淡い色とのコントラストに、春を待つ北国の情感が現れています。
この配色パターンは、冬場の在庫作り時期によく編みます。今のうちにもう少し編んでおくつもりです。

仙台市からお越しのご夫婦。ご主人が先に草履コーナーを見つけ、関心高く実演をご覧でした。間もなく合流した奥様にも角館草履の健康効果をご説明すると、ご主人へお勧めです。
『健康、健康っていろんなモノを集める割に、長続きしないんだもの。草履なら履いてるだけでいいんだから、あなたは買ったほうがいいわよっ』。

ご主人のお歳は50歳代半ばでしょうか。健康については、いろいろ心配になる年齢ですよ。奥様に手厳しい評価をされたご主人も、配色選びはご自身の意見を通しました。早速今日から履いてくださいね。

町内のおばさまお二方。西宮家の常連さんであるおふたりは、これまでも幾度となく挨拶を交わしています。私も気にしてなかったのですが、実演をゆっくり見るのは今日が初めてでした。そういうお客様は、今でもときどきおられますね。

素材やら健康効果をご説明すると、角館草履を見る目が今までと違ってきたようです。おばさまは、『よしっ、次の年金は草履だなっ』。
そういえば昨日が年金の支給日でしたね。

角館の草履職人が、本日49回目の誕生日を迎えました。先の仙台市のご主人のように、健康については複数の課題を持っています。不健康を威張ることはないにしても、49歳のおっさんに珍しい話じゃありません。

数日前に「ねんきん定期便」が届き、現状を確認したところでした。受給資格はすでに得ていますが、今後もせっせと掛け金を納めないと、年金額は恐ろしく低いですよ。先のおばさまの通り、数千円の買い物をするときはしばらく前から計画が必要そうです。

49歳という年齢の「老若」はそれぞれでしょうが、健康や年金を考えるくらいですから「若い」とは言えないのかも知れません。そんな自分自身を顧みて、褒められるほどではないにしても、ここまではそれなりに上手く年齢を重ねたようにも思えます。

長女が二度目の保育実習に臨むため、数日前から実家に戻っています。一人暮らしも一年に近くなると、それなりの手料理を作るんですね。今日は私の誕生日に、お昼の弁当を作ってくれました。ランチジャーのご飯の蓋を開けると、「Happy Birthday」と海苔で書かれてあります。
仙台にいる次女からは、「Happy Birthday」のメールがありました。

褒められるほどではないにしろ、子育てもそれなりに上手く出来たかも知れません。
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仕事で得る満足。

2012年02月15日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
こちらも以前に色違いを編んだことがありましたが、「紫系」が品薄になったことで新たに仕入れた布地です。せっかくの紫系ですから、思いっきり「紫づくし」にしてみました。お洒落な中に優しさも感じられる一品と思います。平生地はこちらです。



角館の小正月行事「火振りかまくら」は、昨日で終わりました。それでもイベント規模の大きい「横手のかまくら」が今日と明日のせいか、今日の角館もそれなりの人数が散策を愉しんでおられます。

実演席でときにあるのが、ほぼ一日お客様の丸太椅子が空かないのに、売上はない日。今日がまさにそんな一日でした。これは愚痴ではないんです。売上は「時の運」みたいなもので、それだけを深刻に考えることはないですね。それよりも実演に関心をお寄せくださる方が多かったことに、満足感を覚えますよ。

東京と沖縄からお越しのおばさまは、おともだち同士です。それぞれご自宅で布草履をご愛用とのことで、角館草履にも高い関心をお寄せでした。買って帰ろうかしばらく悩んだ理由は、布草履の在庫が5足もあることでした。布草履の場合、長く履けないことと値段が手頃なために、まとめ買いをされる方が多いと聞きます。

結局お買い上げは、しばらく後のネット通販になりました。それでも実演に関心の高いお二人は、しばらくの時間を見学とおしゃべりに費やされましたね。
『失礼ですけど、おいくつです?』のお訊ねに、『明日で49歳になりますよ』とお答えしました。帰り際におばさまは、『いいものを見せていただきました。じゃあ明日は、良いお誕生日をお迎えくださいねっ』。

仕事で得る満足というものは、金銭だけではありませんね。
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旅のネタ。

2012年02月13日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
2月11日の「今日の草履」と同じベース生地に、男性用として紺を組み合わせました。まぁ、男性用だから紺だとかエンジだとかはないのですが、絣風のこのベースには紺無地の組み合わせも間違いないと思いました。平生地はこちらです。



「今日の草履」は、昨日長野県からお越しくださったご夫婦がお持ち帰りです。


また暖気となった角館。最高気温がプラスに転じるのが、そんなに嬉しいかと言うくらい嬉しいですよ。散策のお客様も冬用装備は身につけていますが、お顔がなんとも余裕に満ちています。それだけ真冬日の吹雪模様は体にキツいということでしょう。

今日は角館の小正月行事、「火振りかまくら」です。稲ワラで編んだ炭俵に火を着け、そこから伸びた縄を手に持ち、自身を中心にグルグル回します。無病息災や家内安全を祈願する田舎の冬行事ですね。
見物に訪れた方々が間断なく西宮家にも入って見え、首都圏や関西からのお客様もおりました。

そんな中、神奈川県川崎市からお越しのグループは、『去年から履いてるんですけど、また買いに来ました~』。大仙市大曲にご友人が嫁がれ、そこへたびたび遊びに見えるとおっしゃいます。話を聞いて、昨年の出会いを思い出しました。

『小正月行事は見ましたか?』とお訊ねすると、『いえいえ、さっき屋根の雪下ろしを手伝って、雪国を充分堪能しましたよっ』。
確かどこかで「雪下ろしツアー」なる旅があったと聞きました。どんなことも旅の「ネタ」になるんですよね。

ここ数日の秋田の「旅ネタ」は、まさしく小正月行事でしょう。明日もそんなおしゃべりが楽しみです。
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