角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

大らかさが世を救う。

2011年04月30日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調の白抜き斑点プリントをベースに、合わせは紺基調の女の子プリントです。
白抜き斑点が、舞い落ちる雪のように見えますね。さしずめ、降る雪に戯れる子どもたちといったイメージでしょうか。おっと、冬はつい最近終わったばかりでした。

どうにも天気が回復しません。朝のうちは良かったのですが、今日も次第に雨となりました。気温は相変わらずの低め、桜というのは15℃以上で開花が進む話を聞いたことがあります。ということは、今日のところ足踏み状態でしょうか。
復旧したばかりの新幹線でお越しのおばさまが、『窓から雪が見えましたよ』と言ってました。雪深い土地では、未だ名残の雪が残っています。それくらい今年の春は、ゆっくり進んでいるのでしょう。桜の開花が遅れていることで、角館観桜会は8日までの延長が決まったそうです。

新潟県からお越しのご夫婦旅。ちょうど一年前の観桜会で角館草履をお買い上げくださり、今日はご両親へのプレゼントということでお立ち寄りくださいました。母の日も近いことですから、きっと喜んでくださるでしょう。
角館の桜は去年も満開に出会えず、今年で二連敗と笑っておいででした。『また来年来いってことでしょ』とご主人。叶うものであれば、ほんとに来年も遊びに来て欲しいものです。

こちらのご夫婦にも、『東北旅行に抵抗はなかったですか?』と訊いてみると、『ん? 別にないですよ』と、質問そのものが意外そうにお答えでした。すぐに質問の意味を理解されたご主人は、『あっ、そういえば去年はもっと人が多かったなぁ』。
こちらのご夫婦くらい気持ちが大らかだと、世の中に風評被害なんかなくなるんですけどね。

横浜市からお越しの母息子さんペア。共に角館草履を気に入ってくださり、それぞれにお気に入りの配色をお選びです。
やはりこちらにも同じ質問をしてみました。お母さんは、『別に抵抗はないですよ。むしろ今年は、東北の内陸でお金を使うと決めましたから。ほら、こんなに買っちゃって、ははははっ。復旧が進んだら、三陸にも必ず行きますよっ』。

世の中を逞しくしたり明るくしたりできるのは、決断が早くて懐の大きい人なんじゃないでしょうか。そうした人たちが、明日も大勢秋田入りしてくださるでしょう。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人の思い、家族の思い。

2011年04月29日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
朱色基調のとんぼ&いらかプリントをベースに、合わせはエンジです。
ベースは朱色でもエンジに近い色調ですから、かなり近い色同士の組み合わせになりました。強い赤が夕日を想わせますね。ベースのとんぼプリントが、さらに初秋の夕暮れを演出しています。

ゴールデンウィーク初日の今日、49日ぶりに東京から新幹線が着きました。特に観光関連の従事者は、この日をどんなに待ったでしょう。昨日の地元紙朝刊に、「東京からの一番列車に手を振ろう」を呼びかける記事が掲載されています。これは“幻”と呼ばれる九州新幹線のCMを真似たもので、このCMには私も感動しました。秋田新幹線の線路はわが家から手を伸ばせば届きそうな位置にありますが、あいにくその時間は実演が始まっています。でも気持ちだけは、角館の草履職人もしっかり参加していました。

角館観桜会本来の人出には遠く及ばなくとも、これまでに比較すればGWが始まった印象があります。『満開かと思って来ましたよぉ』の言葉を何人もから聞かされ、見頃前のいつもの会話が戻ってきた感じですね。

その桜ですが、武家屋敷通り樺細工伝承館前の枝垂れ桜を、さきほど午後5時すぎに写してきました。こちらが画像です。かなり早いほうの木ですから、武家屋敷通り全体が薄紅色に染まるまで、あと三日~四日は欲しいところでしょうか。
檜木内川堤のソメイヨシノも同じような状況で、やはり見頃は5月3日~7日あたりと思います。

東京からお越しのおばさまふたり旅。うちのおひとりが五年ほど前に草履をお買い上げで、『二年くらい履いたんだけど、良かったからまた買って行こうと思って』。当時はなかった土踏まず付き草履に感心してくださいました。
おばさまに『東北旅行に抵抗はなかったですか?』と訊いてみると、僅かの時間答えが詰まりました。

そして、『実は娘が大反対だったの。東北であれだけの災害に苦労しているのに、よくその上を飛行機なんかで飛べるわねって言われたわ。さすがに私も考え込んじゃって。でもね、やっぱり行こうって決めたの。飛行機がダメなら、夜行バスでもなんでもゼッタイ行ってやるって思ったら、なんかすーっとしちゃって』。

公開実演を再開してすぐの頃、お客様の人数は数えるほどというときに、私も周囲とこの話をしていました。仮に自分の家族がどこかへ旅行したいと言ったとき、そこが大地震に見舞われたばかりの近くだとしたら、中止を進言するのが当たり前じゃないかということなんです。復興のために経済活動が重要と分かってはいても、余震が続く土地へわざわざ出掛ける必要はあるのかということなんですね。

ですから娘さんの気持ちも言葉の意味も、実によく分かります。でも今まさに東北に暮らす私たちは、娘さんの気持ちも分かるからこそおばさまの選択に心からお礼を言いたいわけなんです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

被災地からのお客様。

2011年04月28日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
黒基調の桜花プリントをベースに、合わせは紺です。
黒系で統一された色調は、お洒落さが際立ちますね。お若い女性がお選びになると思いますが、私も楽しみに待ちたいと思います。

今日も相変わらずの寒さでした。冷たい雨に風が加わると、ほんとに桜の季節なのかと思ってしまいます。散策のお客様には雨合羽姿が見られました。今日のような天気のときは雨合羽に限りますね。臨機応変に対応できる、おそらく旅慣れた方なのでしょう。

ご夫婦が興味津々実演をご覧でした。角館草履の特徴をご説明すると、奥様がご自分用をお買い上げです。『どちらからお越しです?』のお訊ねに、『仙台からです』とご主人。
これまでも『どちらから…』のお訊ねは日常にありましたが、震災後はお客様の人数が少ないせいもあって、実演席の丸太椅子にお座りになるすべてに訊いています。

ご主人は、『毎日地震のことばっかりなもんだから、気分転換にふたりで出かけて来たんですよ』。隣りで奥様も大きく頷いていました。角館にいても震災の話がひとつも出ない日はないのですから、被災地にいたらそれは推して知るべしでしょう。するとときに、別の世界へ行きたくなるのも分かる気がします。

『じゃあ、被害という被害はなかったんでしょ?』と訊いてみると、『津波の来る場所じゃないですけど、台所とか結構壊れましてねぇ。大工さんも忙しくて、順番待ちなんですよ』と苦笑いのご主人。
確かに津波とは無縁の場所でも、屋根瓦が落ちていたりシャッターが壊れたりの家が、車で走りながらたくさん見かけました。

わが家の次女が今月から仙台暮らしをお話しすると、『それじゃあ心細いでしょう。お父さんもたまには仙台を訪ねてくださいよ』とご主人。震災を体験した人だからこその、優しい言葉に出会いました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GWはマイカーで。

2011年04月27日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調の和柄プリントをベースに、合わせは朱色基調のとんぼ&いらかプリントです。
白抜きのベースがいささか寒く見えるかも知れませんが、和が活きたお洒落な配色と思います。浴衣地をイメージさせますから、やっぱり夏向きでしょうかね。

今日の角館も雨の一日でした。それでも比較的気温が高かったので、蕾の赤みは強くなっています。咲くのが早い樺細工伝承館前の枝垂れ桜が、何輪か開きだしたようです。このあと周囲の枝垂れ桜も開き出し、月末には檜木内川堤のソメイヨシノも開花の便りがお届けできるでしょう。

桜見物や散策の人影は、僅かですが増えてきました。もちろんいつもの角館観桜会とはまったく異なる様子ながら、ついこの間まではほんとにゴーストタウンでしたからねぇ。
横浜市からお越しのご夫婦は、『ぜんぜん人がいないから、平日はこんなものかと思ってましたよ』。これも地震の影響と知って頷かれ、『確かに私も会社には内緒で来てますからね』と苦笑いでした。

これから桜の見頃を迎え、東北新幹線が全線開通されると、まずそれなりのお客様はお越しになると思っています。“希望的観測”が加味されているとはいえ、例年満開となればマイカー組が大挙押し寄せますから、道路や駐車場もある程度観桜会らしい混雑は見せるんじゃないでしょうか。

マイカー組に期待するひとつの理由は、「高速道路上限制」の廃止ですね。震災復興資金を確保するため、これまでの上限二千円は六月で廃止となるようです。特に東北復興を目的に東北自動車道の扱いは含みを残してましたが、間違いなく安く乗れるのは六月までというわけでしょう。
高速料金が元に戻る前に東北地方の桜見物という方が、少しはいらっしゃるんじゃないでしょうか。

わが家の双子が青森と仙台に暮らすようになって、私の東北自動車道利用が増えています。そのため、これまで必要と思ってなかったETCを付けました。六月の廃止まで元が取れるか分かりませんが、これもまたやむをえませんなぁ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

忘れない観桜会。

2011年04月25日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
赤基調の歌舞伎プリントをベースに、合わせはエンジです。
巻かれてしまうとなにやらゴチャゴチャで分からなくなりますが、こうした賑やかな草履も楽しくてイイものですね。赤は言わずと知れた「元気」の象徴、楽しく明るければまず良しでしょう。立派な歌舞伎の平生地はこちらです。




昨日も今日も寒い角館です。冷たい雨音を聞いていると、咲き初めの一報を近日中にお届けできるとは思えません。よほど早い木で今月末じゃないでしょうか。
この寒さと同調するように、散策される人影もまた寂しいです。今朝郵便局で、武家屋敷通りにお店を持つ方とお会いしました。昨日の日曜日、大型車専用駐車場に入った観光バスの数は4台だったそうです。例年であれば一日200台前後ですから、震災と原発の影響の大きさが推し測れますね。

それでも観光目的で当地を訪れる方は、決して皆無ではありません。奥様が草履を気に入ってくださった東京のご夫婦に、『東北旅行に抵抗はなかったですか?』とお訊ねすると、『まぁ、ないこともないけど、それより桜が楽しみでねぇ。そっちが残念だったよ』。
初角館のご夫婦は、例年の人出を知りません。私が『人を見るだけで疲れるくらいですよ』と笑うと、『じゃあ、案外イイときに来たのかな』とご主人。せっかくの初角館ですから、静かな町で存分に楽しんで欲しいものです。

ご夫婦おふた組が、実演席目がけてお越しです。『以前送ってもらって今も履いてるんですけど、せっかく来たから買って行こうと思って…』。確かに以前お会いしているお顔というのは、すぐに分かりました。『お住まいはどちらでしたか?』とお訊ねすると、『京都ですよっ』。
やはり『東北旅行に抵抗はなかったですか?』と訊いてみると、『一度はキャンセルしたんですけどね、やっぱり考え直して。東北に行くことで、少しでも役に立てるんじゃないかって』。

大げさでなく、熱いものがこみ上げてきました。いつもの桜シーズンであれば、どんなお客様とどんなおしゃべりをしたのか思い出せないこともしばしばです。極めて稀な今年の観桜会を、一生忘れないと今確信しています。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

闘病と角館草履。

2011年04月23日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調のお魚プリントをベースに、合わせは朱色基調のとんぼ&いらかプリントです。
紺系と赤系の組み合わせは定番ですが、朱色はエンジより優しさを感じますね。「魚」に「いらか」の組み合わせは、昨日の今日の草履同様、ある意味ベストマッチでしょう。可愛いお魚プリントはこちらです。




昨日のこと、町内在住の女性が角館草履を試し履きして、『土踏まずがちょっと気になるなぁ』とお話でした。ときにあるご相談が、足裏の痛みについてなんです。記憶ではこれまで3人ほどと思いますが、「うおの目」で苦労されている方がいますね。それでも室内草履に関心が高い場合、刺激を小さくする意味で「土踏まずなしタイプ」をお作りしたことがあります。

こちらの女性にも『うおの目ですか?』と訊いてみると、『いえ、そうじゃないんですけど、子どもの頃から足の裏に痛みがあるんですよねぇ』。言われてみれば、確かに以前同じようなことを聞いた憶えがあります。それでも女性が室内草履に関心が高いのは、通っている鍼灸師の先生に勧められたからなんですね。
というわけでこちらの女性にも、「土踏まずなしタイプ」をお作りすることになりました。

今日お越しの女性は、『一年前に北海道のともだちが遊びにきたとき、記念に二人で買ったんですよ。そのともだちが新しい草履を送ってって言うもんだから、また二つ欲しいと思って…』。リピーターさんのお訪ねは、一年中いつでも嬉しいものです。

その後のおしゃべりで分かったのは、北海道のおともだちが現在闘病生活をしていることでした。病名はガン、発見されたのは昨秋と言いますから、一年前に草履をお買い上げくださったときはまだわかっていなかったんですね。ご本人が女性との電話で、『新しいのは病室で履きたいから…』と話していたそうです。

角館草履は健康効果が大きな特徴です。健康な人が健康に過ごすためのお手伝いは当然ながら、体調が思わしくない人や闘病生活を送っている人、そうした方々の生活に僅かでも「癒し」をお届けできたなら、作り手としてこれ以上の喜びはないと思っています。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少数に全力で。

2011年04月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
黄色基調のヒョウ柄プリントをベースに、合わせは朱色地の招き猫プリントです。
一年に一度くらいヒョウ柄の布地が入ってきますが、これがなかなか楽しいですね。「ヒョウ」と「ネコ」の組み合わせですから、ある意味ベストマッチでしょう。
実際のところヒョウ柄なのかどうか、平生地はこちらです。




40日ぶりに実演再開の今日は、朝からほど良い暖かさでした。出勤前に武家屋敷通りを車で走ってみたのですが、いたるところに交通整理のスタッフが着いています。もちろんこれが角館観桜会ではお馴染みの光景なわけですが、いつもと違うのは桜の咲く気配がまったくないことと、町に進入してくる車がほとんどないということでしょう。

西宮家米蔵二階では、今日から「洋服リメイク展」が開かれています。関係スタッフさん何人かが米蔵を出入りしているうち、秋田市からお手伝いに見えたおばさまが角館草履を気に入ってくださいました。金が散りばめられた桜花プリントの草履、『孫に派手って言われそう』と笑っておいででしたが、きっとお似合いと思いますよっ。

二十歳代半ばと思しき娘さんとご両親がお越しです。実演を見ていたお母さんが真っ先に気に入ってくださり、娘さんとそれぞれにお気に入りの配色をお選びになりました。
『どちらからお越しです?』の問いかけに、『私たちは東京で、娘は長崎からなのっ。きっと桜が見られると思って呼び寄せたんだけど、ぜんぜんダメだったわぁ』。

桜が見られなかったご家族には本当に申し訳ないのですが、たった一組でもこの会話ができたことを嬉しく思いました。本来であればこの時季、こんな会話が一日に何度もあります。今日顔を合わせた地元民との会話は、そのほとんどが「静かさ」を憂うものばかりでした。

明日もまた多くのご来客は望めないでしょう。でもこんなときだからこそ、おひとりおひとりにしっかり対応するのが重要ですね。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心機一転の開幕です!

2011年04月21日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
朱色地の招き猫プリントをベースに、合わせはエンジです。
暖色系のぽかぽかした配色は、ちょうど今くらいの季節にお似合いですね。なかなか一気に暖かくならない角館ですが、ぽかぽか陽気はもうすぐでしょう。
縁起物の招き猫プリントはこちらです。




「がんばろう!東北 角館の桜」と銘打った観桜会が、いよいよ明日開幕を迎えます。これに合わせ、角館草履コーナーを先ほど完成させてきました。陳列を終えて40日ぶりの実演席に座ると、『よしっ』という気分になりますね。
日中に一度、武家屋敷通りを車で通過してみました。依然として寂しい光景が続いているからこそ、より「縁」を感じる実演になるのかもしれません。

武家屋敷通りにほど近いふたつの駐車場では、駐車料金の40%を義援金とするそうです。西宮家にほど近い立町ポケットパークでは、地震以来元気をなくした角館を賑やかにしようと、明日から農家のおばちゃんたちが野菜販売をします。だれもがこの大震災からの復興を願い、明るい笑顔を作りたいと思っているのでしょう。

肝心の桜はまだ少し蕾が固そうです。この分だと見頃は今月末から五月上旬になりますか。新幹線の全面復旧に満開を合わせたとしたら、角館の桜たちが一番お客様を思っていることになりますね。
大震災に見舞われた年の桜まつり、草履職人となって七年目の「がんばろう!東北 角館の桜」は、生涯忘れられないものになるでしょう。

心機一転の開幕、明日からどうぞ宜しくお願いいたします。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋田県人は堅い!?

2011年04月18日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
緑基調の唐草プリントをベースに、合わせは黄土色の渦巻きプリントです。
ときにこの唐草プリントを見て、「ドロボウ柄」と呼ぶお客様がいらっしゃいます。ドロボウのイメージが、風呂敷を担いでいることからそう思うのでしょう。言い方を変えれば、唐草柄は風呂敷の代名詞であり、古くから日本人に根付いている柄とも言えますね。

以前新聞かなにかで読んだ気がするのですが、秋田県は犯罪率が低いという記憶があります。田舎はだいたいそんな感じなんでしょうが、凶悪犯罪というのではなく日ごろの生活における「ルール」や「モラル」。そんなことも秋田県人は案外厳しいと言いますか、お堅いのかもしれません。

日常の「ゴミ出し」は、身近なルールとして最たるものでしょう。たとえばわが仙北市角館町は、自治体指定のゴミ袋を買い求めます。可燃ごみ・不燃ごみ・ペットボトルなどに分別したうえ、集積所へ出す際は「町内名」「氏名」を記入しなければいけません。間違ったゴミが混じっていると業者は持っていかず、町内の担当者がその家まで返却することさえあります。

こうした仕組みは、全国どこでも大差なく行われていると思っていました。それが長女の引っ越した青森市は、氏名の記入がないばかりかゴミ袋そのものも結構甘いんですね。ホームセンターで売られているゴミ袋は、「青森市指定」ではなく「青森市向け」。訊いてみると、中が見える半透明であればOKとのことでした。次女が引っ越した仙台市も氏名の記入はなく、同じ東北でも結構違うことが分かりました。

青森市の家電量販店で担当してくれた若い男性スタッフさんは、角館にマイカーで遊びに来たことがあったそうです。『秋田県はスピード違反に厳しいって聞いてましたけど、やっぱり捕まっちゃいましたよ。多分青森の人は結構捕まると思いますよぉ』。
真偽のほどは定かじゃないですが、運転マナーも秋田県民は悪くないデータがあるそうですね。

この話を聞いた日の帰路、東北自動車道で覆面パトカーに2台捕まっていました。パトカーはどちらも秋田ナンバー、捕まっていた車はどちらも秋田県以外のナンバーだったのには、思わず吹き出しそうになりました。
秋田県警が特段厳しいのかどうかは分かりませんが、これから当地をマイカーで訪れる予定のみなさま、制限速度にはくれぐれもご注意くださいませ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

電気と暮らし。

2011年04月15日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
黒地のカラフルな小花プリントをベースに、合わせはエンジです。
小花の可愛らしさに、比較的シブい黒がよく似合います。「秋田おばこ調」にも共通するこうした色調は、年齢を問わずお選びになりますね。可愛い平生地はこちらです。




今日の角館は、まさしく春の陽気でした。午前中から気温が上がりだし、最高気温は20℃に達したかという感じです。春の土埃に汚れた車を洗うと、48歳のおっさんでさえ暑さで冬用下着を脱ぎました。
もっとも今日は四月の折り返し地点。暖かくて当たり前ですし、例年であれば西宮家で草履を編んでいるはずです。『まだぜんぜん咲いてないのね~』などと言われながら、お客様とのおしゃべりが始まっている時季なんですね。そう思うと今春の異常さがまた頭をよぎります。

福島原発の事故以来、広く節電が訴えられています。計画停電の言葉が出たときは、娘たちでさえ神経質に電気を消すものでした。部屋を出るときは照明の豆球もすべて消灯、門燈や玄関の照明は誰かが訪ねてきた場合にのみ点灯、浴室に入ったら脱衣所は消灯。いざそんな「節電生活」をしてみると、特段困ることもまたないんですね。それまでいかに無策に電気を使っていたかが分かります。

長女と次女がそれぞれ暮らし始めたアパートは、基本的な家電が備え付けられています。学生のように比較的短い年数で立ち退く場合、大掛かりな引越しがないので楽なんでしょう。実際私もずいぶん助かりました。
このたびの引越しで分かったのですが、石油ストーブは使わせないんですね。冷暖房はエアコンのみ、寒がりな人は電気ストーブかコタツを持参するということでした。台所の調理台もいまやIH、わが家が使っているガスレンジなんてありません。

生活がこれだけ電気頼りになると、「停電」の言葉はほんとに怖いですね。娘たちは必ずや節電生活を続けてくれるでしょう。そう言い切れる理由はふたつ。震災の記憶が未だ新しいことと、これからは毎月娘たちの元へ電気料金の請求書が届くことです。人が暮らすために水道光熱費がどれくらいかかるのか、もう理解して良い年齢ですからね。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする