角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ある職人との別れ。

2017年01月11日 | 地域の話



昨夜はとある男性の送別会でした。仕事の関係で当地に暮らすこと二年。自転車と徒歩だけで、私たちが暮らすこの地を縦横無尽に駆け回った御仁です。
さまざまな人々と出会う草履実演では、県外から当地へ一定期間移住して来られる方もいます。そうした方々がこの地を嫌いなはずはないとしても、こちらの男性ほど心からこの地を愛し、また愉しまれた方は珍しいのではないでしょうか。

私のお付き合いは二年のうち半分程度でしたが、まぁよく飲みました。いつも落ち着いた笑顔で、くだらない話に無邪気に笑う62歳。しかしその仕事は、舞台照明家として常に厳しいプロでした。かつて歌舞伎座の舞台照明をまとめていた職人は、あるときからいっときは東北で暮らしたい夢を持つようになります。そしてわらび劇場とのご縁が二年前に訪れました。

わらび座と共にこの地を愛してくれた御仁との別れは寂しいものの、それ以上にこのご縁に感謝し、そしてさらなるご活躍を願わずにはいられません。送別会閉会後そっと渡された直筆のお手紙は、私のこれからの人生に宝物となるでしょう。




コメント (3)
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あけましてあめでとうございます!

2017年01月02日 | 製作日記



2017年。新年あけましておめでとうございます。今冬の角館はいささか珍しいくらいに雪が少なく、もう数日の間雪かきというものをしていません。今日新年2日も空から落ちてくるものは雨で、わずかに残った雪をさらに消しています。
すべての住民が喜ぶ暖冬ではないものの、周囲でこれを歓迎しない人は少ないでしょう。

今日の草履は、仙北市内の女性のオーダー草履です。明日3日知人男性へプレゼントしたいとのことで、昨日元日の朝に編み上げました。本年製作第一号です。
平成18年から続けてきた「元日草履実演」を、今年10年ぶりにやめました。理由は複数ありますが、元日の朝から私の朝食や弁当作りのため早起きするカミさんに、やや気の毒を感じたのが一つです。

昨年は通算実演日数を326日と記録更新しました。その間弁当のなかった日はカミさんがインフルエンザで寝込んだ日と、私がお客様との会食を決めていた日、合わせて1週間もないでしょう。つまり一年に320回に及ぶ弁当作りを、年末と年始の1週間ほど休ませてあげることになったわけです。カミさんも、「弁当作るから稼いで来い」とは言いませんでしたね。

それでも「一年の計は元旦にあり」が頭にありました。元旦に何かしらの仕事に触れることは私にとっても望むところ。今日の草履は12月26日にオーダーを承ったものです。元旦にこちらを編みあげることは瞬時に決めました。
しかし10年間続けてきた元日実演を断念したことは事実です。そこで本年お正月のご挨拶は…

信念 曲げまして おめでとうございます。




今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。4日からはきちんと実演に励みますm(__)m
コメント (2)
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