昨夜はとある男性の送別会でした。仕事の関係で当地に暮らすこと二年。自転車と徒歩だけで、私たちが暮らすこの地を縦横無尽に駆け回った御仁です。
さまざまな人々と出会う草履実演では、県外から当地へ一定期間移住して来られる方もいます。そうした方々がこの地を嫌いなはずはないとしても、こちらの男性ほど心からこの地を愛し、また愉しまれた方は珍しいのではないでしょうか。
私のお付き合いは二年のうち半分程度でしたが、まぁよく飲みました。いつも落ち着いた笑顔で、くだらない話に無邪気に笑う62歳。しかしその仕事は、舞台照明家として常に厳しいプロでした。かつて歌舞伎座の舞台照明をまとめていた職人は、あるときからいっときは東北で暮らしたい夢を持つようになります。そしてわらび劇場とのご縁が二年前に訪れました。
わらび座と共にこの地を愛してくれた御仁との別れは寂しいものの、それ以上にこのご縁に感謝し、そしてさらなるご活躍を願わずにはいられません。送別会閉会後そっと渡された直筆のお手紙は、私のこれからの人生に宝物となるでしょう。