角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

明日から九月です。

2014年08月31日 | 地域の話




今日の草履は、西宮家から三軒お隣に暮らすおじいちゃんが、可愛い孫娘のためにオーダーされた草履です。一歳を超えて歩行も幾分スムーズになった孫娘に、おじいちゃんは角館草履を履かせたくて仕方のないご様子。しかし子どもが草履を履いて普通に歩けるとすれば、おおむね二歳半から三歳ほどと思います。履かせてみるのは構わないとして、本格的に役立つのは今しばらくあとかもしれません。

今日で八月が終わり、トップページの実演スケジュールカレンダーを更新しました。「あけましておめでとう」から早八ヶ月、今年も残すところ四ヶ月しかありません。商いが出来る時期を思うとあと三ヶ月ほどでしょうか。今から冬を考えるのも寂しい話ですが、朝晩がこれだけ涼しくなると「今冬」を語り出す人が確かにいるものです。

今日はお祭り前最後の日曜日。五ヶ所の大置山のうち最も早く明日人形を飾る駅前大置山は、すでに黒木綿が巻かれて準備万端整っていました。明日の何時に人形が乗るのか分かりませんが、おそらく撮影隊が大勢集まるでしょう。その後6日までにすべての大置山が飾られ、18台の曳山もそれぞれ完成の運びとなります。いよいよお祭りが始まるといった町の空気になってきました。

スケジュールカレンダーにもある通り、9月は9日・10日・11日の三日間をお休みとさせていただきます。8月は16日をお休みしただけで草履作りに務めて参りましたところ、さすがに手の疲労感が否めません。そのうえお祭りは睡眠不足と酒が追加されますから、お祭りが終わった10日と11日は全身の完全休養といたします。これからのオーダーは12日以降の製作となりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

さて今年のお祭りはどんなドラマが待っているでしょうか。わが家の長女と三女は今年も踊り子として曳山に乗ります。楽しくも疲労感の大きい曳山のスタッフたち。でもこの人たちが一番お祭りを満喫しているわけです。とにかくケガのないよう、思う存分楽しんでほしいものです。
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失って気付く健康効果。

2014年08月29日 | 実演日記
長雨から抜け出た角館は、ここのところ好天が続いています。週間予報を見るとこの先も大きな崩れはなさそうなのですが、そろそろ角館人が心配し出したのはお祭りの天気なんですね。9月5日までの予報で傘マークがほとんどありませんから、その先の7日・8日・9日が気になるのも無理はありません。雨が降ろうが槍が降ろうが中止はありえない角館のお祭り、だからこそお天気が気になるわけですね。

神奈川県平塚市からお越しのご家族旅。還暦ほどのご夫婦に娘さんの三人がお立ち寄りでした。角館草履に関心をお寄せはお母さん。右足に外反母趾の兆候が見られ、日常に五本指ソックスをご利用とのことでした。今日も靴下は五本指で、いかに足の健康を考えているかが分かります。試し履きで履き心地を気に入ってくださり、人気の定番配色①でオーダーとなりました。

ご主人が最も関心をお寄せだったのは素材の「イ草」です。イ草は畳でお馴染みとはいえ、一本一本バラバラになったイ草を見ることは日常にありません。ご主人は触ってみたり匂いを嗅いでみたり、イ草に興味津々でしたね。
かつて日本家屋の大部分を占めていた「畳」。現在では一軒家でさえ一室あるかないかくらいと聞きました。マンションなどの集合住宅では皆無に近いとも云います。




先日の地元紙に、「住環境における畳イグサの機能性」と題する講演会の記事がありました。
「イグサに含まれる香り成分がリラックス効果を生むことや、足の臭いの原因となる微生物に対する抗菌作用があり、臭いを抑えることができる」といった内容が紹介されたそうです。北九州市立大学の先生が講師ですから、さすがイ草の産地だけありますね。
イ草の抗菌力は私も存じ上げており、実演席でのおしゃべりでもよく話しています。ただ「足の臭いに効く」というフレーズは、角館草履に関心を寄せる多くが女性であることを考慮し、今後の課題としておきましょう。

いずれにしても現代の日本人は、畳を軽視したことでイ草が持つ健康効果を失いつつあります。そして靴の普及により、草履の持つ健康効果を失ってしまいました。しかしそんな社会だからこそ角館草履が重宝されるのですから、世の中は分からないものだとも思うわけです。
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アレンジが職人力。

2014年08月27日 | 実演日記




今日の草履は、福島県須賀川市の女性のオーダー草履です。こちらの女性は8月14日に掲載した「今日の草履」のご注文主の娘さんです。お母上の草履を見た娘さんが、ご自分用にとメールでご注文をくださいました。中に添付されていたのが色とデザインを指定する「草履図面」。図面通りに編み進めるためには、さすがの草履職人も若干無口になりましたね。
もう今ごろは到着しているでしょうか。早速履いてくださいね~(^^)/

定番配色以外のオーダーは「基本おまかせ」が多いのですが、ときに色とデザインの指定をされる場合があります。「今日の草履」がいい例で、ほかに最近では7月6日の「ももクロ草履」が記憶に新しいところでしょうか。
図面を見ながら草履を編み進める。今レストラン北蔵では厨房の増築工事が進んでいます。大工さんの気持ちが少し分かった気がしますよ。

ただし「今日の草履」も100%がお客様のご指定ではありません。お好みの色調に合った素材を見つけ、私なりに全体のまとまりを考えて構成しました。おおむね80%がご指定で、残り20%が私のアレンジということになりますか。
「ものづくり」は基本的に作者のセンスが現れます。私の場合そうしたセンスに自信がないため、お客様のご指定はむしろありがたいともいえます。それでも職人の端くれ、少しは私の個性も見せたくなるわけですね。

先日「アポなし」で面白いご来客がありました。わらび劇場で公演中の「げんないチーム」から、平賀源内・小田野直武・お千世を演ずる三人が舞台衣装そのままに実演席をお訪ねです。やや見慣れたお顔ぶれながら、舞台衣装のままではさすがに驚きましたよ。もっと驚いたのは居合わせたお客様でしょうか。そのときの画像が「げんないブログ」にアップされています。

私に演劇は素人ですが、彼ら役者さんも「職人」に違いありません。脚本家や演出家、あるいは舞台監督が全体を決める芝居の中にあって、個性と技術でアレンジして観せるのが役者じゃないですかね。四月の初日公演を一度観た「げんない」が、その後どう変化し成長を遂げているのか。来年正月のフィナーレまでまた必ず観に行くつもりです。
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ハレの日の必要経費。

2014年08月26日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
定番配色⑥「桜うさぎブルーに黄」と同じ布地でデザインを変えてみました。するとどうでしょ、「ふなっしー」っぽく見えませんか。しばらくの間定番配色のオーダーばかり編んでいますから、少し気持ちを切り替えるためにアソんでみました。ときに必要な頭のリフレッシュですね。

今朝しばらくぶりで朝の町を歩いてみました。心身ともにリフレツシュさせるには良い手と思います。目的のひとつは、角館のお祭りで不可欠な存在である五つの「大置山(おきやま)」の撮影でした。まだ完成まで少しありますが、途中経過を見るのも角館人の楽しみなんですね。



角館神明社の大置山。お祭り初日9月7日の午後四時から、18台の曳山が順次参拝に訪れます。




安藤家の大置山。五つあるうち安藤家だけは自費で製作します。




薬師堂の大置山。9月8日もしくは9日に、18台の曳山が順次参拝に訪れます。




立町の大置山。町の最も中心部にあります。




駅前の大置山。五つのうち最も早い、9月1日に人形が設置されます。

角館人はこの時期になると、お祭り待ち遠しさを表現するのに「はかはかじぃ」という言葉を使います。もう楽しみで楽しみで仕事も手に付かない状態を指すんですね。大置山や18台の曳山の飾り付け作業が進むにつれ、この「はかはかじぃ」も次第に大きくなっていきます。9月6日の前夜祭がそのピークでしょうか。

古今東西どこも同じと思いますが、お祭りには多大な出費が付き物です。角館のお祭りも言うに及ばず、寄付やお祭り衣裳、食材や酒代など家庭の出費はたいへんなものです。景気の良い時代ならいざ知らず、どこの会計さんも楽はしていないと思いますね。今年はとある舞台で存廃が話し合われたと聞きました。

日々旅人と出会う日常で、とにかく「旅行好き」とおっしゃる話を聞きます。定年後の余生が比較的多いながら、中には今まさに働き盛りという年代やお若い女性も少なくありません。その費用は決して少額ではないでしょう。よく聞く言葉が、『旅行がリフレッシュになるんですよ』。つまり非日常を愉しむための費用は、生活を維持していくうえで「必要経費」というわけですね。

角館のお祭りも非日常、いわゆる「ハレの日」です。そこに一定の費用が発生するのは、言わば角館人にとって必要経費なんでしょう。まもなくお祭りへのカウントダウンが始まります。
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気分の高揚と購買欲。

2014年08月25日 | 実演日記




今日の草履は、由利本荘市にお住いの女性のオーダー草履です。女性のご希望により、大人の女性の温かい優しさを表現してみました。真ん中にエンジの帯を配したのは、武道をたしなむ女性の「燃える闘魂」を意味しています。『あたしにしてはちょっと可愛いすぎませんか~!?』とおっしゃりながら、笑顔でお持ち帰りくださいました。早速履いてくださいね~(^^)/

二日前に大曲の花火が終わり、今日から平日。お客様の姿はだいぶ減るだろうと思いきや、予想以上に散策される姿がありました。何人かにうかがってみると、花火からの延長なんですね。関東や中部、あるいは関西と遠方からお越しのみなさまは、花火を機会に少し周辺を歩いてみようとお考えになるのでしょう。そうなれば角館が含まれないわけがありません。

東京都世田谷区からお越しの二人旅。やはり大曲の花火の延長で散策されていました。しばし花火が話題になり、お二方とも文句なしの世界一に唸ったそうです。
角館草履も健康効果を高く評価してくださり、ご自分用はもちろんのことご家族や日ごろお世話になっている方への贈り物として、7足のオーダーを賜りました。

昨日お立ち寄りくださった新潟市のご家族も、やはり大曲の花火を日本一と評価されていましたね。ここ数年毎年訪れているそうで、『長岡は行かない年があっても大曲は来ちゃうのよね』とお母さん。正直すぎて笑ってしまいました。西宮家は初訪問といいますから、これからは毎年立ち寄ってくれたら嬉しいです。こちらもご家族分3足のお買い上げをいただき、笑顔で角館をあとにされました。

人は何かに感動すると気分が高揚します。その影響で財布のヒモが緩むことってあるんでしょうか。毎年花火直後はお客様の人数も多いうえに、さほど悩まずお買い上げの方が多いように感じます。
角館のお祭りでは、地元民の気分が最高に高揚するときです。お祭りが終わって財布が軽くなっているのは、そのせいかもしれません。
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大曲の次は角館。

2014年08月23日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
色彩のイメージでしょうか、あっさりとスマートな印象がありますね。紺系の布地は多種にわたり、それぞれ組み合わせによってずいぶんイメージが変わるものです。「今日の草履」は男女問わず爽やかな人によろしいかと思います。
「今日の草履」も先ごろ完売となりました。

当たり前と言えばその通りながら、今日お立ち寄りのお客様はほとんどが花火見物の方々です。初めての方もいれば、昨年初めて観て感動し、今年二度目の方もいましたね。東京からお越しの母娘ペアさんも、『去年あまりにも感動しちゃって…』。お気持ちは十分分かりますよ。
それまでの人生で見ていたものとあまりにレベルが違うと、人はカルチャーショックに陥ります。世界一の花火と角館草履を同じ土俵で語るのはいささか失礼ながら、こちらのお母さんは『こんな草履見たことないわっ』とご注文くださいました。

昨日のこと、大阪と滋賀からお越しのお若い女性に『明日は花火ですか?』とお訊ねすると、『それが、こっちへ来て初めて知ったんですぅ』と苦笑い。今日のうちにご帰宅とのことでした。いろんなお客様がいて良いのですから、なにも気にされることはありません。ご家族へお土産にミニ草履をお買い上げくださり、『いつかきっと花火に来ま~す!』と元気に西宮家をあとにされました。

明日はお顔に「感動」と書いた人々が角館を散策されます。花火の様子をうかがうと、『素晴らしかったです~!』の言葉が100%返ってきますよ。その表情を見るこちらも笑顔になりますね。天気もずいぶん回復しました。今18時を少し過ぎ、すでに感動の序章が始まっていることでしょう。

「感動」と言えば夏の甲子園。角館高校野球部は帰郷して翌日から練習が始まっているそうです。この間までは甲子園出場が合言葉でしたが、これからは「甲子園一勝」に変わると思います。
かねてからお伝えの通り、私の母校は大曲工業高校です。近年野球部が力をつけ、この夏も優勝候補筆頭とまで云われていました。その母校が勝ち進んでいるうちは、大きな声で角館高校を応援するのがはばかられたものです。その母校が準決勝で敗れたのちは、当然ながら応援を角館高校一本に絞りました。

「大曲の花火」が終わる明日からは、いよいよ「角館のお祭り」一本に照準を合わせた草履作りが始まります。
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亡夫の思い出と角館草履。

2014年08月22日 | 実演日記




今日の草履は、群馬県太田市からお越しくださった女性のオーダー草履です。定番配色③の無地をエンジから紺に替えたタイプですが、以前からときどきオーダーされる配色です。そして特徴的なのは比較的お若い女性に多いんですね。こちらの女性も二十代とお見受けしました。
もうそろそろ到着している頃でしょうか。早速履いてくださいね~(^^)/

「大曲の花火」を明日に控え、今日は花火見物の人々がたくさん角館を散策されています。草履ご愛用者のお立ち寄りも多く、『おかげさまで足がいいよ』や『頑張ってるね~』などのお声を掛けていただきました。お買い上げの有無にかかわらず、こうしてお顔を見せていただけることに感謝ですよ。一年に一度だけ、この花火しか秋田県を訪れない人もいますからね。

一方で年に複数回当地を訪れる方も珍しくありません。静岡県沼津市からお越しのおばさまは今年四月に草履をお買い上げでした。『飼い犬に片方かじられちゃって、花火に来たついでに新しいの注文していくわ』。あらあら、草履の犬被害はこれまで何度か聞かされています。
ちょうどそのとき居合わせた別のお客様が、『犬の分も買って行かれたらいかがですか!?』。一同大爆笑でしたよ。

東京からお越しのおばあちゃんと孫娘さん。おばあちゃんは七十代後半、お孫さんは小学校高学年でしょうか。試し履きしているお孫さんの姿に目を細めながら、『おじいちゃんがずーっと履いてたもんねぇ』とおばあちゃん。
『私の草履をですか?』とお訊ねすると、『二度か三度送ってもらって、もう十年くらい前からでしょうか。それが去年亡くなったんですよ』。

十年前といえば角館草履の草創期。当時からの常連さんは複数いらっしゃいますが、亡くなったおじいちゃんもそんなお一人だったんですね。
角館草履はイ草を芯にするため、ご高齢者でもすべらず安心の評価をいただいています。発売から十年が経過すると、草創期からのお客様の中にはご他界される方がいて不思議はありません。

しばし思い出話にふけったおばあちゃんがふと、『今度はあたしが履いてみようかしら!?』。出来上がって展示パネルに置いたばかりの23cm草履をお持ち帰りになりました。おじいちゃんの思い出に角館草履が脇役として存在してくれるなら、これに勝る喜びはありません。
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誤解のない説明。

2014年08月20日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
メルヘンチックな優しいベースに、セオリーといえるエンジを組み合わせています。可愛らしく温かいイメージは、お若い女性でなくとも気に入ってくださる方が多いです。ほぽ空っぽの展示パネルにようやく飾った「今日の草履」も、愛知県からお越しの女性がお持ち帰りになりました。早速履いてくださいね~(^^)/

こちらの女性は外反母趾のせいもあって、足指の掴む力がずいぶん落ちているのだそうです。ひとつの目安としてスリッパが簡単に脱げると言うんですね。スリッパは元来足の健康と裏腹な性格を持っていて、足指の掴む力が失われると云われます。若いうちは気にならなくとも、ご高齢となる前にスリッパから草履に移行するのは大きな意味があるんですね。外反母趾を感じたら、年齢と無関係にスリッパはやめたほうが良いと思います。

女性曰く、『あたしのこの困った足に草履が効くのねっ』。これはよくあるご質問なのですが、草履を履くだけで外反母趾が治るものではありません。外反母趾の方は足指で掴む力がどうしても落ちてしまいます。それを少しでもカバーする効果は草履に大きいと思うんですね。実演席で試し履きをされるお客様がよくおっしゃるのは、『あっ、足の指が掴んでるっ』。これが大切と思うわけです。
外反母趾は骨格の異常ですから、草履を履くだけで元に戻ることはありません。誤解が生じないよう、実演席でのおしゃべりにも日頃から気を付けているところです。

千葉市中央区からお越しのご夫婦旅。やはり奥様が外反母趾で、室内草履に関心があったそうです。試し履きでその履き心地をエラく感心してくださったのは、むしろご主人のほうでした。定番配色①で仲良くペア草履のオーダーを賜っています。
奥様が23cm草履を試し履きしながら、『これくらいでいいんじゃない!?』。するとご主人が、『踵がはみ出てるじゃないかよぉ。何でも小さく思い込むのはやめといたほうがいいぞ』。

角館草履を履くと足が小さくなることもございません。
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イ草縄を持った少年。

2014年08月19日 | 実演日記
角館草履の「骨」に相当する芯は、イ草を手綯い(てない)した縄を用います。一般の布草履はこれをビニールロープで代用するのですが、その強さは比較になりません。おおむね2㍍の縄で片足を作ると、最後に20㌢ほどの端材が2本生まれます。これはもう使い道がないので捨てるわけですが、ときにこれを欲しがるお客様がいます。それは草履をお買い上げの方がご家族に素材を見せたい場合と、もうひとつに多いのが子どもなんですね。



東京都青梅市からお越しのご家族旅。小学生の男の子とご両親の三人が、興味津々草履実演をご覧でした。試し履きのうえご両親がそれぞれオーダーとなり、男の子の20cmは在庫の中からお選びです。ご家族の中で最も草履実演に関心が高かったのは男の子、『なんか作り方を覚えたぞっ!』。ご両親は苦笑いでしたが、興味を持って見ているとそういう気になるのかもしれません。

男の子に『記念にこれをあげようか』と差し出したのが、イ草縄の端材でした。男の子ははちきれんばかりの笑顔で『ほしーい!』。手元にあるゴミ箱の中からもう一本見つけ、『これももらっていい?』。相当気に入ったようです。さらに男の子は、『次はいつ捨てるの?』。片足を編み上げるのにおおむね一時間と教えると、さすがのご両親も苦笑いで次の目的地へと出発されました。

それから二時間ほども経ったでしょうか。武家屋敷通りの散策を終え駅に向かう途中、男の子がどうしてもまた寄りたいとご両親を説得したようです。そうしてそこまでに出た今日の端材は、すべて男の子が東京へと持ち帰りました。カメラを向けるとちょっと緊張気味の男の子でしたが、角館の良い想い出になってくれたでしょう。



この端材、これからは草履をお買い上げの方にすすんで差し上げたいと思っています。

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夏が終わり、舞台は秋へ。

2014年08月18日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
ピンク色で統一した配色は、「可愛らしい」と「角館らしい」の二つの評価がよく合うと思います。桜の季節でなくとも桜の木は一年中ありますから、散策のお客様がピンク色に染まった街並を想像するのは難くないでしょう。「ピンク=角館」は自然な印象ですね。「今日の草履」もすぐにお持ち帰りのおばさまがお越しでした。

八月に入って間もなくのうちに天候が崩れ、一週間ほど雨が続きました。この雨が上がった途端、季節が完全に変わりましたね。日中の最高気温は30℃に届かないくらいで、朝晩はずいぶん涼しく感じられます。いつもの年もお盆が過ぎれば秋風を感じるのですが、今年はさらに顕著な気がします。異常気象はいまさらですが、角館の真夏はもう終わったと思っていいでしょう。

夏の終わりをさらに感じさせたのが、角館高校の甲子園でしょうか。選手も監督も応援団もすべて初体験の初出場は、初戦で敗退しました。敗けて悔しくない話はありませんが、多くの人々は夢をもらったことに感謝しています。甲子園の切符を手にしたときもブログで触れた通り、老若男女がひとつの話題でこれだけ笑顔になる様子をはじめて経験しました。AKBやジャニーズが町に来たとしても、これほどの一体感は生まれないでしょう。

甲子園情報をネットで伝えるサイトでは、角館高校のアルプススタンドを高く評価していました。900㌔の距離から四千人の応援隊もそのひとつながら、応援の構成、一体感、声量のどれをとっても今大会トップクラスとの記事です。この評価は角館人としてなにより嬉しいですね。
角館人を言い表す言葉として「祭り好き」があります。一体感もそのお祭りによって培われた部分がありますから、アルプススタンドは「より角館らしい」姿だったということでしょう。

真夏と甲子園が終わっても、当地の話題はまだまだ続きます。今週末23日は世界に誇る「大曲の花火」です。旧大曲市の人口は4万人、そこへ一晩で60~70万人を集める大曲の花火は、隣接する角館にとっても一大商機ですよ。花火翌日は早朝から角館を散策される人々が見られます。西宮家北蔵レストランでは一年に一度だけの「朝食営業」を計画すると聞きました。
世界一の花火に、今年も大勢の人々が魅了されることでしょう。

花火が終わるといよいよ角館のお祭りです。期日は9月7日・8日・9日、お祭り情報については営業時間等も併せあらためてお知らせします。
平日ではありますが、関心がおありの方々にはぜひ遊びに来てほしいと思います。春の桜色が「角館らしい」に異論はないとして、秋のお祭りが「より角館らしい」ことを感じていただけましたら幸いであります。
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