角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

遥かなるふるさと。

2013年03月30日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
ベースにいらかプリントを使うのは、これまであまりなかった気がします。シンプルな柄ですから見た目もあっさりしていますね。組み合わせは紺基調のトンボ柄、夏から秋にかけてのイメージでしょうか。

昨日のブログで少し触れましたが、先日の実演席にちょっと話題性のあるご夫婦がお越しでした。60代後半と思しき奥様は、白髪がお洒落でどこか気品があります。ご主人はと言いますと、年齢はおそらく奥様と同じくらいじゃないでしょうか。分かりづらいのは欧米外国人だからなんですね。ただ実にスマートな紳士というのは、私にも分かりました。

奥様は米蔵に入って見えるなり、建物内部をキョロキョロと見渡しています。何かを探しているというわけでもなく、とにかく目で情報を集めているといった感じでしょうか。
奥様が私に訊くのは、『ここも佐竹さんの家臣なんでしょ?』。歴史に関心のある方には、私が持つささやかな知識をお伝えしています。

ひとしきりご説明が終わると、『いや~、なんだか楽しいわぁ。やっぱり来て良かったっ』。この言葉は私への礼と、ご自身への確認と、そしてご主人への報告という趣旨に感じました。それはご主人がニコっと笑ったからなんです。
そして私に言うのは、『実は私、小野崎家にゆかりの者なんです』。

小野崎家というのは佐竹北家の家臣で、お屋敷は武家屋敷通り最北に位置します。門や屋敷の造りからかなりの上級武士とされていて、北家当主のお屋敷が目前であることからも、家臣団の中で重きをなした家柄だったでしょう。
その末裔が目の前にいるのですから、私もちょっと興奮しましたよ。

ご主人は英国紳士でありました。おばさまは20年間日本で仕事をしていたご主人と結婚され、今はイギリスでお暮らしだそうです。
どうやらこの旅はご自身のルーツを確認するためのものらしく、ご主人が強く勧めたんじゃないですかね。それがご主人の笑顔につながったのでしょう。

現在のお住まいを思うと、二度目のご訪問はないように思います。小野崎家末裔のルーツを辿る旅、遥かなるふるさとを訪ねる旅に、僅かの時間でも関われました。私にとっても心に残る思い出となりそうです。
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ブログの鉄則。

2013年03月29日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
ブルー基調の花柄プリントにエンジのいらかですから、まず女性向けの配色と思って間違いないでしょう。でも26cmで編めば、それはそれはお洒落な男性用草履になるんですね。お洒落でシャレが分かる男性をお待ちしたいと思います。

ここ数日の実演席では、このブログの話題が続いていました。子育て支援グループ「はっぴぃ・マム」の活動をお手伝いしている女性は、このブログの読者でもあります。ちょうど立ち寄られたときにちょっと話題性のあるお客様がいて、『この話もブログになるんでしょ!?』。
その通り、次回のブログに取り上げるつもりです。

またわが家の娘たちと同い年を子に持つお母さんが、正月以来のお立ち寄りです。こちらのお母さんもかねてからの読者で、『ブログから情報収集してるものっ』。
たいした情報でもないのですが、そう言われると筆者としては嬉しいものです。

東京からお越しのおじさまひとり旅。すぐに展示してある草履を触っていましたから、おそらく初対面でないとは思いました。
『去年の4月25日に夫婦で買いましてね。今回は私のだけ買い換えに寄りました』。やはりリピーターさんでしたか。
それにしても「4月25日」とはっきり憶えてらっしゃるのは、きっと何か意味があるのでしょう。その理由はすぐに分かりました。

『去年の4月25日であれば、まだ桜はなかったでしょう?』と訊いてみると、おじさまは『そうなんです。そのときの日記を持って来たんですよ』と、白い紙を私に見せました。私はてっきりおじさまが書かれている日記と思い手に取ると、それは2012年4月25日のこのブログだったわけです。

その後おじさまがブログコメントもお寄せくださったことで、全国を旅歩きながら写真に収め、インターネットでご紹介している方と知りました。特筆すべきは写真画像の多さです。一年前の角館を記した記事がこちらです。

おじさまが私のブログを読んでの感想は、『あなたのブログには愚痴がないですよね。“疲れた”とか“面白くなかった”とかがぜんぜん出て来ない』。
そう評価された以上、これからもその類は書けませんねぇ。
もうひとつ去年4月25日のブログにある奥様の言葉についても、『ほんとにうちの家内が言っているのと同じ口調なんですよ』と笑っておられました。

角館草履の実演日記はこれからも長く続けたいと思っています。今日おじさまとの再会で確認したのは、「愚痴は書かない」ことと「セリフは忠実に再現する」ということですね。
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桜まつりへカウントダウン。

2013年03月26日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き〔五阡四百円〕
ベースの黒基調がお洒落に和を表現しています。組み合わせの唐草も日本古来の柄ですから、これこそ「粋な草履」と呼びたくなりますね。27cmと少し大きめに編みましたので、体の大きな日本男児にお勧めしましょう。

かなり雪解けが進みました。道路はもちろん人が歩くスペースも大方雪はありません。今でも目立つのは日陰部分と除雪で積み上げられた雪ですね。これを見ると今冬の積雪量にあらためて感心してしまいますよ。散策のお客様も、『まだこんなに残っているんですね』と驚いていました。

いよいよ今年度も残すところ5日間となりました。私の生活に年度替りはほとんど無関係です。わが家ではやはり娘たちが忙しいですね。長女は社会人一年生として保育園勤務がスタートし、次女と三女はそれぞれ最終学年に進級します。また少し環境が変わるのでしょう。

年度替りそのものは無関係でも、角館最大のイベントである桜まつりを目前に、草履職人としては在庫作りにスパートをかける時期です。今冬も予定外のお休みはありませんでしたから、生産量は例年通りできました。むしろ今冬はお客様が少なかったので、昨年より在庫量が多いと思います。せめてお花見期間は展示パネルいっぱいの草履を見ていただきたいですからね。

例年4月半ばから「お花見モード」に入っていきます。今年の桜まつりは4月20日~5月5日と決まりました。西宮家で昼食を摂るツアー予約も、隙がないだけ埋まったそうです。今年の桜まつりはどんなドラマが待っているのか、年度が変わればもう目前ですね。
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治世の温故知新。

2013年03月24日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
ベースの赤にはポップ調の花柄がプリントされています。草履は「和」を代表する文化ですが、こうした洋風のポップ調も可愛らしくていいですね。
「昔」の技術が「今」に溶け込む、まさに「温故知新」の世界でしょうか。

秋田県知事選挙が、初の無投票に決まりました。現職の佐竹敬久知事に対抗する人が現れず、闘わずして二期目に突入です。政治のことはよく分かりませんが、自民党系の現職に対して野党が対立軸を見出せなかったと新聞にありました。

つまり県議会をはじめとする秋田県民の多くが、現職知事に及第点は与えたということでしょう。中には「県民に選択の機会を与えられず遺憾」のように言う人もいましたが、「選挙がなくてとても残念」と言う人は私の周囲にいませんね。

もっとも佐竹知事は、藩政時代角館を治めた佐竹北家のご子孫。角館はいわば「ホーム」ですから、二期目就任を素直に喜ぶ人が大勢でしょう。
地元紙では昨日の朝刊から、「佐竹県政2期目を問う」と題したインタビュー記事の連載が始まりました。今朝は観光に関しての取り組みが書かれてあります。

震災以降観光客の落ち込みが著しい現状について、「本県は隣県からの周遊観光が多いため、影響を受けている。デスティネーションキャンペーンを通じて直接来てもらう発想でやっている。(中略)多くの人が訪れると批評が出る。観光関係者がそこから学ぶことは必ずあり、改善にも結びつく。本県に人を呼ぶという一点で取り組んでいる」。

まったく同感ですね。隣県と歩調を合わせた環境づくりに異論などあろうはずもないですが、たとえば「青森に来たらこっちにも寄って」とか、「山形のついでに秋田にも」という考え方ではいけません。私たちのような観光業者ひとりひとりが、「直接秋田に来てもらう」という気概を持ちたいものです。

最後の質問「県民に何を望む」に対しては、「素朴さは持ち続けて欲しい。ただ、社会の動きに疎い面がある。情報は与えられるものと思わず、自ら取りに行く貪欲さを望みたい」。

なんだかこれも商業人に対して言われているように感じましたよ。先日のブログに触れた「繁盛店づくり実践プログラム事業」の記憶が新しいせいか、情報を自ら取りに行く貪欲さは商人に不可欠です。そして「素朴さ」もまた商人に重要と思いますね。

「ホーム」の人間がこう言うと苦笑いされそうですが、いくら時代が変わろうともかつて土地を治めた血筋は、やはり治世に長けた子孫を輩出するのかもしれません。侍の気質を持ちながら現代を治める。これも「温故知新」でしょうか。
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心配な開花予想日。

2013年03月23日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
若干シブ目にも見えますが、深い紺がむしろ引き締まった印象に映ります。赤系の可愛らしさと異なる、凛々しい雰囲気ですね。サイズは小さめの22cm、小柄で和が似合うお母さんにお勧めでしょうか。

静岡市からお越しのおじさまひとり旅。草履実演を関心高くご覧になり、試し履きのうえご自分用をお買い上げくださいました。今日の角館も暖かくはないのですが、裸足での試し履きは私も嬉しく感じます。

お住まいが静岡市と聞けば、どうしても桜の開花状況が話題に上ります。情報番組が毎年取り上げる最初の満開映像は、静岡の「河津桜」じゃないですかね。赤の濃さが印象的で、角館の桜とはまた趣を異にします。

おじさまの話では、一般的なソメイヨシノがちょうど満開を迎えているそうです。今朝のテレビでは、首都圏の桜も今が盛りと咲き誇っていました。平年と比べ、一週間から十日ほど早いようです。
首都圏からおおむね一ヶ月遅れで角館に到達する桜前線。今年はちょっと心配な開花予想日になっています。

思い出すのは四年前と五年前の桜まつり。2008年4月20日のブログには、「満開」の言葉が書かれています。2009年4月20日のブログには、見頃が近い旨の記述がありました。
4月20日でこの状態は、今年の予測とほぼ一致するんですね。

これがなぜ心配なのかと言いますと、桜が散ったあとのゴールデンウィークは、いささか寂しい人影となるのを経験したせいです。8人や10人しか乗っていない大型バスが、何台も角館に到着しました。つまり大勢の人が「桜のない角館」をキャンセルしたわけです。

まぁ、なんだかんだ心配したところで、桜の開花は人の手でどうにもなりません。草履職人のやるべきは、ひたすら草履を編み続けることでしょう。けれども震災の影響から未だ立ち直りきっていない秋田県には、少しばかりキツい試練になるかもしれません。
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別れもまた年度末。

2013年03月22日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
赤ベースのとても可愛らしい配色は、お雛様を連想させます。雛人形というものは馴染みの薄い男性が見ても、気高い美しさを感じさせるものですね。「今日の草履」も気品のある女性にお勧めでしょうか。

ロングランの「角館雛めぐり」が一昨日で終わり、角館にまた少しひっそり感が漂い始めました。それでも学校が春休みに入りましたから、週末を中心にご家族連れの姿が見られると思います。
年度をまたぐ春休みは、「旧」と「新」の入れ替わりでもあります。

今日の夕方近く、角館草履の常連さんである男性が駆け込んできました。『いや~、昨日も来たんだけど、5時をちょっと過ぎちゃって間に合わなかったんですよぉ』。
なぜ二日続けてお訪ねになるくらい急いでいるのか、そのワケはすぐに分かりました。

男性とのご縁は四年前にさかのぼります。奥様と娘さんと三人で遊びに見え、そのとき初めてお買い上げくださいました。首都圏から転勤でいらしたご家族で、秋田市に居を構えて間もなくの頃だったと思います。

『実は千葉県へ転勤が決まって、明日出発なんです。もういつ来られるか分からないから、どうしてもひとつ買って行こうと思ってね』。
四年前の初お買い上げから、一年に一足ずつ必ずお買換えでした。毎年やってくる年度替りの如く、「旧草履」と「新草履」の交代だったわけです。

転勤での秋田暮らし以外、この土地になにほどの縁はないと言います。ネット通販でのご注文は容易ながら、西宮家を訪れることはもうないかも知れません。
それでもどうしても言いたいのは、『また会いましょうよ』。男性はすかさず、『やっぱり桜の季節がいいなっ』。

角館の桜は、当地にいっとき暮らした人々の心にも、しっかり根付くのだと思います。今はひとまず別れがあっても、いつかまたお顔が見られることに疑いの欠片もありません。
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「意識する」ということ。

2013年03月21日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡八百円〕
色が対称的なので分かりづらいと思いますが、同じ柄の色違いなんですね。ピンクとブルー、共に明るく可愛らしい色ですから、お若い女子学生さんにお勧めかもしれません。

今冬もミニ草履の売れ行きが好調です。「トイレの神様 足の神様」が大きな要因で、お土産や簡単なプレゼントに複数個をお買い上げの方が珍しくありません。
何人かから言われたのは、『そのウンチクが書いた紙が入ってるといいのに…』。これも昨年の初冬から入れ始めました。

昨年の暮れあたりにお買い上げだった町内のおばあさんが、久しぶりに遊びに来てくれました。『教えられた通り、すぐにトイレさ飾ったよ。あれからトイレさ行くたびにこの草履を見て、足腰のこと考えるもの。雪も融けてきたし、そろそろ歩こうかなって…』。

おばあさんの言葉に、私のほうこそ「目からウロコ」でした。ミニ草履をトイレに飾って、「はい、おまじない」だけではダメなんですよ。ミニ草履を見ることで足の健康を「意識」し、なにか行動に移してみる。これが重要であることを、おばあさんの言葉から学びました。

先回のブログでご紹介した「繁盛店づくり実践プログラム事業」。コンサルタントの先生からいただく提案や助言に対して、積極的に動いている各店の様子がよく分かりました。おそらくこの事業が終わったあとも、誰かからの意見を「意識する」、お客様の反応を「意識する」ということが、お店の内外で続いていくのでしょう。

昨晩100円ショップに立ち寄り、「靴べら」を買ってきました。数日前のこと、仙台市から訪れたおじさまが試し履きをされたときです。ご自分の革靴に戻る際、靴べらが欲しい様子を見せたんですね。基本的に女性が多いせいか、はたまた私がセッタしか履かないせいか、靴べらは今まで気づきませんでした。

お客様の様子を「意識する」を考えていて、こちらのおじさまを思い出したわけです。勉強会がムダでなかった実感がありますね。
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繁盛店「三つのゾーン」。

2013年03月19日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
茶系で統一した配色ですが、ベースに見える金色が厳かに見えます。茶の唐草はそのシブさが特徴で、比較的ご年配の男性がお似合いになるでしょうか。これからもたびたび編んでいこうと思っています。

布草履を編んだ経験のあるおばさまとの出会いは、実演席で日常です。よく言われるのが、『やっぱりプロは違うわね~』。
樺細工という伝統工芸の世界に長く身を置いたせいか、正直なところ草履を編む技術がなにほど高いとは思えません。

だからといってそのままを口にすれば、おしゃべりの楽しさが台無しになってしまいます。いつもお返しする言葉は、『毎日編んでいれば誰でも上手くなりますよっ』。
草履を編み、それを販売して生計を立てているのですから、確かに「プロ」であることに違いありません。過剰に謙遜するのは、むしろ控えたほうがいいと思うんですね。

昨晩、角館あきんど塾の仲間5人で、大仙市大曲へ出掛けました。夜のお出掛けは酒盛りと相場が決まっているのですが、昨晩だけはちょっと違います。
大曲駅前から伸びる花火通り商店街で、「繁盛店づくり実践プログラム事業」というものが行われていました。その終結に、参加店の取り組み結果を報告し合うイベントがあるというので、勉強のために出掛けたわけです。

事業参加店は、時計眼鏡店、和装小物店、ラーメン店、和菓子店、生花店の五店舗。自ら名乗りを挙げてコンサルタントの指導を仰ぐのですから、どのお店もその取り組みは真剣そのものでした。店舗装飾や商品陳列などが指導点となるのですが、基本的にお金をかけない趣旨のため、むしろ面白かった気がします。

実際に五店舗を回り、指導を受けての取り組みと結果を聞きました。みなさんが一様に言うのは、コンサルタントの的確な助言なんですね。大胆な変革ではなく、ほんの少し目先を変える。たったこれだけ…と思えることでも、はっきりその差異が生じるということでした。それはお客様の反応にも顕著だそうです。

私はこれまで自分の商いに、コンサルタントから意見をいただいたことはありません。敬遠しているのではなく、独立店舗を構えたことがないので機会がなかったわけです。繁盛店づくり云々の講義もはじめて聴きましたが、なかなか面白いですね。まさに「プロ」ですよ。

事業のまとめでコンサルタントの先生が話したのは、繁盛店に共通する「三つのゾーン G・S・T」です。
Gは、最も見ていただきたい自信の商品群を展示する「ゴールデンゾーン」。
Sは、最も人気が高く売れる商品群を展示する「ストライクゾーン」。
Tは、売れ行きよりも面白さを展示する「トライアルゾーン」。

今日草履を編みながら、これらを角館草履コーナーに照らし合わせてみました。「G」は看板商品の土踏まず付き草履が並んだ展示パネル、「S」は多くのお客様が手に取るミニ草履、そして「T」はイ草などの素材コーナーじゃないかと思います。『私も作ってみた~い』は、まさにトライアルですからね。

昨晩の勉強会は、今後の草履実演にいささかの影響があると思っています。
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卒業式と「和」。

2013年03月16日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
紺ベースにエンジシーチングとの組み合わせは、角館草履の王道的配色と思っています。豊かな配色が持ち味はもちろんながら、それも「今日の草履」のような中心的配色があってこそでしょう。多くの方々に好かれるのもまた、こうした配色なんですね。

短大生活二年間の最終日、長女が昨日無事に卒業式を終えました。私もカミさんとふたり出席し、「まずひとり終わったな」と安堵しているところです。
卒園・卒業の類は、保育園・小学校・中学校・高校・短大と五回目になるわけですが、いつもそれぞれに感動がありますよ。

卒業生を代表して謝辞を述べた学生さんは、長女と同じ学科の女性でした。姿勢も言葉も堂々としていて、とても感心したものです。聞けば学科内の中心的存在で、トップクラスの成績ではないものの、人心掌握に長け、広く愛される人物とか。やがて世代交代のあかつきには、なんらかの肩書きを背負う人になるでしょうね。

それにしてもこれまで経験した卒業式と異なるのは、卒業生の華やかな衣装ですよ。圧倒的に女子の多い学校ですから、おおむね「袴姿」なんですね。カラーバリエーションの豊富さには、角館草履も太刀打ちできません。実に美しい卒業式でありました。

一週間ほど前、東京からひとり旅を愉しんでおられるおじさまと出会いました。角館あたりではちょっといないミュージシャン風の紳士で、内田裕也さんを大人しくした感じでしょうか。

そのおじさまが言うのは、『今どきの女の子だって、卒業式っていえばちゃんと袴を身に着けるでしょう。そういうものがしっかり残っている日本って、スゴいと思うんですよ。あと何年かしたら、昔の学生たちが着ていたマントなんかが流行るんじゃないですかね』。

私にはいささかの異論もありませんでした。いくら時代が変わろうとも消えてなくなることのない「和」を、昨日の卒業式で見た思いがしています。
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50歳の初心者。

2013年03月13日 | 家族の話




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡四百円〕
角館草履は二種類の布地を使うのがセオリーです。その二種類は、同じ系統で組み合わせる場合とまったく別を組み合わせる場合とがあります。「今日の草履」は後者の組み合わせで、はっきりとした好対照が特徴でしょうか。

四月から社会人となる長女が、『スマホに替えたい』と言い出したのは二月の初旬でした。四月からの電話代は自分の給料で払うのですから、基本的になにを買おうが自由です。
それを傍で聞いていた三女、『あたしも欲しー!』。結局二人を連れてケータイ屋さんへ行くことになりました。

当たり前ですが、お店の中はスマホだらけ。私が使っている三年前のケータイは見る影もありません。娘たちがスタッフさんの説明を聞きながら、指先でスイスイやっているのを見ていると、時代に取り残されていく50歳のおっさんが頭に浮かびます。
その直後『俺でも使えるスマホある?』と、スタッフさんに訊いている草履職人がおりました。

性能はともかく、キャンペーンかなんかで安く購入できるスマホを手に、かれこれ二週間ほど使い方の勉強を続けています。日常の用途をなんとかクリアしたあとも、イジればイジるほど確かに面白いですよ。
これで若者たちに“近づける”とは思っていませんが、先を行く背中が見えるくらいに留まりたいとは思いますね。

四月からマイカー通勤が始まる長女は、運転の練習が喫緊の課題となっていました。練習車輌は保険の都合でもっぱら私の車です。仕事が終わってから私が助手席に座って練習するわけですが、免許取得後一年半は経っているものの、ここまでまったくのペーパードライバー。「初心者マーク」が必須です。

毎日の練習に初心者マークの取り外しが面倒になった私は、付けたまま西宮家の通勤をしていました。あるときふと気づいたのは、後続車がずいぶん距離をとってついてくるんですね。

前を行くのは「おっさんの初心者マーク」、“近づけない”と思うのは私も理解できますよ。
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