角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

初任給と母の日。

2014年02月20日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
ピンクでまとめた可愛らしい草履です。女性で素足サイズ24cmといえば比較的大きいほうですが、足が大きくても可愛らしい女性はたくさんいます。今日常連さんからいただいたオーダーは、女性用28cm草履でした。バスケットボール選手へのプレゼントとのことでしたが、とても可愛らしい女性のようです。

この時季出会うのが、3月に卒業を迎え4月から社会人となる大学生の卒業旅行です。角館のような癒し系の街を旅先に選ぶ若者には、ひとり旅が多いんですね。仲良しグループでワイワイガヤガヤももちろん楽しいでしょうが、私が出会う若者は少し別のセンスを持っている気がします。

千葉県からお越しの青年ひとり旅。やはりこちらも卒業旅行でした。子供の頃ご両親に連れられ一度訪ねた角館を、今一度ひとりで訪ねてみたくなったんだそうです。当時はなかった角館草履の実演を、一時間余りにわたって観てくれました。『手作りに興味があるの?』と訊ねると、『はぁ~、見たことがないものって面白いですよね』と笑う青年。子供が珍しがってよく観て行く話をすると、『ボクもそんなレベルですぅ』。

今はまだ収入のない若者へ、いつの日か母の日の贈り物に…とよく話します。事実母の日のプレゼントはとても多いですし、ご愛用者で主婦層が占める割合は七割にも上るんじゃないでしょうか。「いつの日か」の言葉は、仮にそのまま忘れてもかまわない意味を含んでいます。長い時間を実演席で過ごしたことに、若者が恐縮と感じてしまったら気の毒ですからね。

この話題で思い出すのが、2012年5月7日のブログでご紹介した北海道の青年です。もう社会人になって丸二年ですから、立派に仕事をこなしているでしょう。
千葉県の青年も、『母の日ならもうお給料をもらってますからねっ、きっと注文のお願いをします!』。
お会いしたことのないお母上の、嬉しい笑顔が見えるような気がしました。
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