角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

祈りの草履。

2016年07月26日 | 実演日記







今日の草履は、仙北市内の女性のオーダー草履です。わらび劇場「ハルらんらん♪」で桜月姐さんを演じる奥様から、「げんない」で小田野直武を演じるご主人への誕生日プレゼントを承りました。
ご希望配色は、「ご主人が好きな紫色をベースに直武風」。そうした無茶ぶりに俄然ファイトが湧く草履職人であります。

ベースの水玉は降りしきる角館の雪を表しました。あれだけの画を描く男ですから、直武はきっと心の優しい侍だったと思います。その心を暖色の組合せで表現しています。

「げんない」の県内公演は8月28日湯沢市、29日北秋田市。これまでの人生でやりたいことを何かに阻まれた経験をお持ちの方には、ぜひ観てほしい舞台です。劇中直武の台詞にあるのが、「秋田の画は祈りです」。角館草履もまた、足と心の健康を祈るばかりであります。




コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加

逆サプライズ。

2016年07月22日 | 実演日記





今日の草履は、女性用が劇団わらび座音響スタッフさんのオーダー草履です。お好きな色が紫とのことでしたから、紫色をベースに「ゆかた美人」を表現してみました。
男性用は、「ハルらんらん♪」に出演している客演さんのオーダー草履です。赤の唐草と紺無地をご指定で、デザインはお任せでした。そこでせっかくですから愉快な草履にしたいと、タイトルを「よこしまな心」としてみました。もちろん彼がよこしまな心を持っているわけではありません。シャレの分かる愉快な青年なんですね。

昨夜わらび座内にあるお食事処を会場に、集まれる人たちで「オーダー草履引き渡し式」を執り行いました。みなさんに配色をご覧いただきながら、ご注文主による履き初めも行います。思い思いに写真を撮って、これもまた愉快なものですよ。






先月「初わらび座」を堪能した、西宮家レストランの料理長も参加しました。料理長がみなさんに何か差し入れをしたいと言うので、誕生日を迎えたばかりの女優さんお二人の名前を入れたバースデーケーキを持参しました。よもやおっさん二人がケーキを持ってくるとは、かなりのサプライズだったようです。
しかし私が驚いたのは、それぞれご愛用の草履を持ち寄るという「逆サプライズ」でした。作者冥利に尽きるとはこのことでしょう。いささかの感動をいただきましたね。



コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

日ごろの環境。

2016年07月14日 | 地域の話







今日の草履は、千葉県君津市の女性のオーダー草履です。封書でいただいたご注文書には、過去の「今日の草履」がプリントアウトされていました。「まったく同じでなくていいので近い配色を…」ということなんですね。
ブログやfacebookにアップする草履は、一点限りもしくは数足限りの配色ばかりです。ですから過去の配色をまったく同じで再現するのは不可能に近いのですが、そのときの手持ち素材でかなり近い草履に仕上げられる場合があるんですね。「今日の草履」はまさにそんな一品となりました。
本日の便で出発済みです。早速履いてくださいね~(^^)/

いかにも梅雨らしい空が続く角館です。昨日は梅雨の晴れ間で32℃と思えば、今日は朝から降り続く雨で24℃止まり。それでも湿度の高さでやや蒸し暑く感じていたら、鹿児島県からお越しのご家族が「肌寒いくらいですね」。日ごろの環境がいかに体に染みついているかでしょう。
順調なら梅雨明けまであと二週間はないと思います。酷暑はツラいと言いながら、北国の短い夏が待ち遠しい気持ちもありますね。

角館あきんど塾と仙北市商工会青年部が主催する「第8回かくのだて絵燈籠夏祭り」は、8月6日(土)です。その前の今月はすでに飲み会が三つ決まっています。短い夏を待ち焦がれ、そして行く夏を惜しむときに「生ビール」は欠かせません。
…のような話をしたら、「冬も飲むよね」とカミさんに言われました。日ごろの環境がいかに体に染みついているかでしょう。
コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

笑う門には福来たる。

2016年07月08日 | 実演日記
「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」というラジオ番組をYouTubeで聴いています。実在の書物を読んだ雑感を自己流の屁理屈でいかにも哲学的に語るこの番組は、自宅作業のBGMに定着しました。人様の言葉を引用し己の都合の良いように解釈を加えるあたり、案外私も似たところがあるのかもしれません。

最近聴いたテーマは、「笑う門には福来たる」。人はそれまで経験したことのない壁にぶつかったり、手に負えない不運が重なったりすると、精神的にどん底へ突き落される状態に陥ります。極限まで追い詰められたときに現れる現象が、「もう笑うしかねぇや…」。実はこれが、本来持っている脳の働きなんだそうです。

人はどんな状態にあっても、「笑顔」を作ればほんの少し気持ちが上向きます。腹を抱えた大笑いでなくとも、膝を叩く爆笑でなくとも、ふっと小さな笑顔だけでその効果はあるのだそうです。開き直りに向かう重要な一歩が、この「笑うしかねぇや」なんですね。

そしてその心境に達しやすいのは、平時に努めて笑顔でいられる人といいます。笑顔を作るには一定の努力が要るものです。これを日常に怠らずやっている人は、どん底からの立ち直りが早いといえるでしょう。

「福が来たから笑うのではなく、笑うから福が来る」。いつも笑顔作りに努力するのは、己が窮地に陥ったときの、まさに「保険」というわけです。今日はわらび劇場のみなさんが遊びに来てくれて大いに笑いました。明日も出来るだけ笑いましょう(^^)




コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

想い出の実演日記 第四話。

2016年07月07日 | 実演日記
「命を削る」2006年8月3日

およそ十年前の夏の日、お見受けするところ五十歳代の女性が一人入って見えました。私の草履を見て一番に「配色」を話題にされる旅人と出会いますが、こちらの女性もそうした典型例でした。紺の唐草の草履を見つけた女性は、「日本の祭りが表現されてて素敵ね!」。
その日編み上がったばかりの一点をお買い上げでした。

女性は東京に暮らす画家さんで、建設業界に配布される雑誌の挿絵を生業の一部としているそうです。草履の配色に関心を示されたのが頷けました。角館を訪れたのも、日本建築がテーマの挿絵モデルを探す旅とのこと。確かにそういうテーマなら角館はうってつけでしょう。

女性は二年に一度、銀座で個展を開くのだそうです。二年間描きためた作品数はおよそ30点。その四分の三がご売約となるのですが、撤収のたびに言いようのない寂しさがあるといいます。自分の画が認められ売れていく嬉しさはもちろんでしょうが、一方で手塩にかけた作品が目の前からなくなる寂しさは、毎回消えることがないのだそうです。女性はしみじみと…

『作家って、命を削って作品を世に出しているんだと思うの。売れていく作品は、すべて私の命なのよ』。

当時私は草履職人となってまだ三年目でした。それでも女性の言葉の意味が確かに伝わったものです。あれから十年が経って、一日の製作時間も一年の稼働日数もその頃と同じにはいかなくなってきました。言葉を変えれば、1足編むごとに草履職人としての寿命が僅かずつ縮む現実があるわけです。

「売れていく作品はすべて私の命」。突き詰めるとどんな仕事や活動をしている人も、人様のお役にたつ、人様に喜んでもらう分だけ自身の寿命は短くなります。これからの加齢は急ぎ足ですから、さらにこの気持ちを忘れてはいけないのでしょう。明日から草履実演再開です。
コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

世の中はご縁だらけ。

2016年07月05日 | 実演日記







今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[五阡四百円]
夏の新柄の中から茶色基調でまとめてみました。男性色のように思えますが、茶色を好まれる女性は案外多いものです。実際私も茶色の草履はとてもお洒落だと思っています。24cmで作りましたから、どのようなお客様がお選びくださるか楽しみにお待ちしましょう。

JR東日本大人の休日倶楽部乗り放題チケット期間が、本日をもって終了しました。新幹線が函館まで延伸し、また6月25日・26日は青森市で「東北六魂祭」がありました。角館をお訪ねくださる旅人はいかほどかと心配しておりましたが、思ったほどの落ち込みはなかったように感じています。中には函館帰りや青森帰りの途中下車ともお会いでき、私としては楽しい期間を終えられたと思っています。

中で栃木県鹿沼市のご家族旅と、横浜市戸塚区のおばさま二人旅は、まさに「これぞご縁!」を感じた二例と思います。鹿沼市のご家族はお父さんが部屋履き草履のご愛用者で、これまでの布草履にどこか違和感をお持ちだったとのこと。イ草を使う角館草履との出会いをことのほか喜んでくださいました。お父さんは五本指靴下をスポーツ専門店でお求めとのこと。やや高価なためためらっておりましたが、お父さんとの出会いをご縁に私も買ってみようと思います。ご家族三人分の草履は三日後の発送です。

横浜市のおばさまお二人も、角館草履との出会いに強いご縁を感じてくださいました。その日はちょうど雨が降っていて、おばさまたちは雨宿りを兼ねて西宮家へお入りだったとのこと。米蔵をぶらぶらするうち私の姿を見つけたおばさまは、「あれっ、草履…ですか!?」のご質問のあと30分以上実演席に滞在されました。お帰りの際「ここへ入って良かったわね~!」と何度も言ってくださり、私こそおばさまたちとのご縁に感謝です。おばさまお二方の草履は昨日発送しました。

リピーターさんを除く一見さんとの出会いは、すべて「ご縁」の賜物です。中でも強いご縁を感じてくださる旅人との出会いは、その日一日の私の存在がお役にたったという喜びに溢れますよ。世の中はご縁に溢れ、ご縁に生かされているとしか思えませんね。
昨日のブログ「はじめましてからはじめましょう」でカップルとなったお二人は、その最たる例だと思っています。いつかお二人で西宮家をお訪ねくださるのを、とても楽しみにしているところです。

明日から二日間お休みをいただきます。草履実演のご縁はお休みとなりますが、そればかりではないご縁があるかもしれませんね。
コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

久しぶりの達成感。

2016年07月04日 | 地域の話
一昨日7月2日、男性5名・女性4名のエントリーをいただき、角館あきんど塾プレゼンツ「はじめましてからはじめましょう」を開催しました。5月に第1回を計画したものの、参加人数が規定に達せず順延。構想から一年の第1回開催はそれだけで嬉しさがこみ上げるものでした。

第一部「トークリーグ戦」は会場の小倉園庭園に簡易テント4台を立て、中に縁台を置き二人に座っていただきます。それぞれ10分間のトークは終了まで雨が降り続きました。
第二部「はじめまして夕食会」はお座敷での本格料理です。乾杯して間もなく外の雨がやみました。そんなものですよ。

夕食会はとても盛り上がりました。初対面の婚活イベントとはとても思えないのが秋田県人の酒席かもしれません。一時間半にわたってお酒と料理を堪能したあと、いよいよ「最終判定」です。参加者は熟慮のうえカードに判定を書き入れました。私を含め4人のスタッフが開封確認するとき、私がこの日一番緊張した瞬間かもしれません。

そしてめでたく一組のカップルが誕生しました。正直1回目の開催からカップルが生まれるとは思っていなかったこともあり、まずスタッフに興奮が見えましたね。発表を聞いた参加者全員が大きな祝福の拍手をくださいました。ちょっとした感動ですよ。

そして感動はこれで終わりません。参加者9名が「同志」のごとく意気投合し、閉会となってもなかなか帰ってくれないんですね。やがて8名が二次会としてカラオケへ出発していきましたよ(笑)。それだけこの場の出会いに「ご縁」を感じてくださり、そして会が楽しかったのでしょう。
カップルとなられた女性から翌日メールをいただきました。

昨日の「はじめましてからはじめましょう」では、大変お世話になりました。
大雨の中でしたが、庭園でのお話も天気がよかったら最高だねとお互いに言い合いながらのものでした。
晴れであっても、日よけ対策になるテントの存在はとてもありがたいものですし、
もし時間がゆるされるならば、少しライトアップされる時間にトークタイムが入るのもまたよいかもしれませんね。

会のあとは、カラオケでまた皆さんと違う一面を見ながら楽しませていただきました。
異性との出会いばかりではなく、同性とのすてきな出会いもあり、本当に感謝しきれません。
このご縁から、まずは〇〇さんとの時間を大切にしていきたいと思います。
本当にありがとうございました。


イベントの運営側へ身を置くようになって二十五年ほどになりますが、これほどの達成感を味わったのは過去多くありません。これはスタッフ全員が同じ想いでおりました。第2回はこの秋必ず開催します。
















そして草履職人は一息入れることにしました。どうぞ宜しくお願いしますm(__)m


コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

はじめまして…事前エントリー。

2016年06月24日 | 実演日記



角館あきんど塾が主催する未婚男女の夕食会「はじめましてからはじめましょう」。チラシ裏面に必要事項をご記入のうえFAX送信をお願いしておりましたが、このたびネット上で簡単にお申し込みが出来るようになりました。
ひとまず事前エントリーとしてご登録いただき、開催日が確定したところでメールを差し上げます。その日は都合が悪い、あるいはやや気乗りしないなどの場合、「不参加」でご返信いただければそれで結構です。年数回の開催を予定しておりますので、その後もご案内を差し上げます。

一回の参加人数が男性5人・女性5人を基本としておりますため、事前エントリーされたすべての方へ、毎回必ずご案内を差し上げるとは限りません。これは男女共に同じ顔ぶれが続かないようにする配慮もございます。
また、ご友人や知人で5人グループを作れるようであれば、随時開催も可能です。


「はじめましてからはじめましょう」facebookページはhttps://www.facebook.com/hajimemashite.deai/?ref=aymt_homepage_panel

事前エントリーはhttp://www.kagudade-zouri.jp/hajime/ent.html

コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

想い出の実演日記 第三話

2016年06月20日 | 実演日記
「じいさんへの道」2010年9月1日

九月に入ったばかりのその日、角館は朝から夏の太陽が降り注いでいました。その日はテレビ収録の予定があり、時刻が近づくとさすがにやや緊張感があったものです。番組名は「ちい散歩」、さまざまな役柄をこなすベテラン俳優でありながら、遠い存在ではないイメージを持っていました。おそらく私は、地井武男という人物に関心を持っていたのだと思います。

西宮家に入って見えた地井さんは、自然な足取りで草履実演席まで進みます。番組スタッフは立ち寄り先を知っていますが、地井さんはそれを知らされていません。自然な…というのは演技ではないことになります。
『んっ、これはなにを作ってらっしゃるのですか?』。出会いはこの言葉から始まりました。

丸太椅子に腰を下ろし、地井さんとのやりとりは15分ほどだったと思います。その間に訊かれる一つ一つが、日頃旅人から訊かれる内容と何一つ違いがありませんでした。それはつまり、地井さんが私との時間を素のままで愉しんでくれたことに他なりません。嬉しかったですね。たった15分ですっかりファンになりました。

もう一つ強く感じたのは、周囲のスタッフです。照明さんも音声さんもカメラさんも、皆20代から30代ほどとお見受けしました。そのみなさんがニコニコ顔で仕事をしているんですよ。確かに地井さんと私の会話で笑える部分はありましたが、彼らの笑顔はそれとやや違って見えました。それは、「地井武男さんとの仕事が楽しくて仕方ない」がぴったりでしたね。

そんな地井武男さんは、収録から二年も経たない2012年6月29日に還らぬ人となりました。テレビで訃報を聞き、その日の夕方お悔やみのメールを送った相手は、「ちい散歩」のADをされていた20代の女性です。彼女は収録の数日後、ホームページからメールで草履のご注文をくださっていたわけです。

4~5日経って彼女から届いた返信には、地井さんとの想い出が綴られていました。その一部にあったのは、「地井さんを思い出すのは地方ロケなんです。泊まりの宿でずっと地井さんのお話を聞けたのが、なによりの想い出です」。
20代の女性が70歳のおっさんに対して、「その会話が想い出」といいます。私は自身が目指すべき将来像を、彼女の言葉にしっかり見えた気がしました。

「地井さんへの道」は、理想的な「じいさんへの道」です。それを教えてくれたのは20代のADさんでした。これからもお若い女性との出会いから、きっと何かが得られると確信しています。
コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

店主が作者。

2016年06月18日 | 実演日記
JR東日本大人の休日倶楽部乗り放題チケット期間が、今月23日から始まります。直前の角館は、やはり新幹線で降り立つ人影が多くはありません。今日は雨上がりに思い立って訪れたという感じの、秋田県内のお客様が多く感じられました。年に数回角館散策を愉しむ人々は思いのほか多く、草履のご愛用者ではなくともお顔馴染みさんが多数おられます。

能代市からお越しのご年配グループも、年に二、三度お越しでしょうか。そのたびに実演席の丸太椅子へ腰を下ろし、しばしの休憩をとっていかれます。一人のおじさまが言うのは、『それにしても角館っていうところは、ものづくりが盛んだな』。
国の伝統工芸樺細工を始め、イタヤ細工、白岩焼、押絵等の雛人形や吊るし雛、パッチワーク愛好家も結構な人数に上ると云われます。おじさまは角館草履もそんな一つと思ってくれたのでしょう。

多様な手作り品が一堂に会するイベントは、世の中に案外多く存在します。人気を集めるイベントになると、車が置けないほどのご来客数とも聞きました。年に一度、二日か三日しかないチャンスであれば、興味を持つお客様がこぞって訪れるのになんの不思議もありません。それは「一堂に会する」という点が大きな魅力なのだと思うんですね。

私がずっとイメージしているのは、「街がいつでもイベント会場」です。角館の中心部面積などクタクタになるほど歩かなくていいですから、その中に点々と立ち寄れる手づくり品のお店があったら、それは「街がいつでもイベント会場」になり得るのではないかと思っています。
願わくば仕入品が多数を占めるのではなく、「店主が作者」がより好ましいでしょう。それは私の経験則でいくらでもご説明が適います。
コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加