角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

「楽しみ」は見つけるもの。

2006年04月21日 | 実演日記
今日の草履は、リサイクルシリーズMサイズ23.0cm〔2300円〕
これまで随所に使用してきた布地でしたが、いよいよ最後残り少なかったので合体しました。思いのほか可愛い草履になりました。タイトルは「道化師」、そんな感じがしませんか?
こういう少し変わった感じで可愛いと、作っている傍から「予約」が入ります。めでたく秋田市からのお客様に連れられて行きました。

今日も桜目当てのお客様がいっぱいです。武家屋敷枝垂れ桜も檜木内川堤ソメイヨシノも、桜の「さ」の字さえありません。軒を並べる露店も閉まったままで、一層寒さと寂しさがこみ上げて来るようです。どんなに楽しみにしていらしたか、現場で生の声を聞く私たちには、悲痛な叫びにさえ感じます。
もちろん私が悪いわけではありませんが、申し訳なさで心が痛みます。思えば昨年の今頃も同じ思いをしていました。

そんな中で、桜のない角館を元気に楽しんでいるご一行様、東京からお越しのおばさま四人旅です。入って見えるなり、私の草履にエラく関心を寄せてくださいました。
『これどう?』『こっちも素敵ね~』『あんたこれ欲しかったら譲るわヨ~』。
すでに実演会場は、おばさま四人の「舞台」へと変貌しておりました。その時間帯、確かにほかのお客様は少なかったのですが、おそらくそこは他の誰も入って来られないステージだったと思います。

それぞれに草履をお買い上げいただいた上、『私たちも草履作りやらない? この草履台四つはないの?』。在庫が三本しかないことをご説明すると、『あら~、次はいつ作るの?』。完全にやる気満々です。
結局、六月頃にはなんとかお作りして、東京宛てに発送することになりました。そして今年の11月、作り方の分からないところを教わりに、紅葉見物を兼ねてまたお越しになることで落着です。この結論がでるまで、一体何分かかったでしょう。
まだ草履台もないうちから、すでに私のことを「師匠」と呼んでいました。

夕食の店を紹介して欲しいということで、温泉と、隣りにある居酒屋をご紹介しました。するとひとりのおばさまが、『一緒にお風呂入って、夕食食べない?』。さすがにこればかりは丁重にお断りしました。

『桜はなかったけど、とっても楽しかったわ~』という最後の言葉に、おばさまたちのパワーを感じました。
角館は「桜」だけではありません。どんな状況下でも、「楽しみ」は自ら見つけることに旅の意義があるようです。

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秋田言葉講座その33『なったり‥』

「ぜんぜん」や「まったく」といった否定詞です。
『桜、咲いだがー?』と問われれば、『だめダー、なったり咲がねー』となるわけです。

確かに町の桜はいずこも咲いていませんが、西宮家米蔵の中には・・・
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