角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

陰で支える職人たち。

2015年08月29日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
白の強い布地は基本的に利用しないのですが、プリント柄が可愛らしく浮き出る場合はその限りでありません。「今日の草履」の組み合わせに使っている布地もそんなタイプで、エンジのベースとの対比に可愛らしさがよく出ていると思います。
「今日の草履」は、神奈川県茅ケ崎市からお越しの女性がお持ち帰りになりました。

世の中には表に出ることなく陰で支える人が必ずいるものです。むしろそうした人数のほうが多いでしょうか。今の角館は九月七日・八日・九日のお祭りの準備が着々と進められていて、町内五ヶ所に建つ「大置山(おきやま)」がその姿を完成させつつあります。これは専門の業者さんが造るもので、作業風景を眺めているとまさに職人仕事です。お祭りの表舞台に出ることはなくとも、あの方々を抜きにお祭りは始まらないことがよく分かりますね。

昨日実演席をお訪ねくださったのは、劇団わらび座で舞台小道具を専門に作る女性スタッフさんです。facebookではかねてより存じ上げていましたが、互いに念願叶い昨日が初対面でした。一時間余りの滞在時間、ものづくりについていろんな話をしましたよ。
それぞれの舞台設定に合わせ作る小道具は、実に多岐に渡ります。ホームセンターで売っている素材を使っていかに本物に見せるかが腕なのでしょうが、そこには「ひらめき」「アイデア」「技術」「知識」と多彩な要素が必要とされます。

高級食材を贅沢に使うレストランの「有名シェフ」ではなく、家庭の冷蔵庫にある食材で見たことのないような料理を作る「天才シュフ」を連想しました。有名シェフであればときにはマスコミにも登場しますし、お客様のお席へご挨拶にも出向くでしょう。舞台一つ一つのシーンにおいて小道具の役割は極めて重要なれど、彼女が客席に顔を出すことはありません。まさに陰で支える「縁の下の力持ち」というわけです。

先日観劇した「ジュリアおたあ」のパンフに、「小道具 〇〇〇〇」との名前を見つけたときは、なんとなく嬉しかったですね。角館のお祭りチラシにも、「大置山組立 〇〇〇〇」の名前があっていいかもしれません。

コメント (2)
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