ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




山梨中央銀行東京支店。千代田区鍛冶町1-6。1985(昭和60)年8月4日

中央通りの今川橋交差点のすぐ南に、山梨中央銀行(本店は甲府市、山梨県では唯一の地方銀行)の東京支店がある。『千代田区>景観まちづくり重要物件指定一覧表>』によると、「設計者=不詳、竣工=昭和4年(1929)」であるが、いろいろのサイトでは徳永庸の設計で、竣工年は1931年としているのが多い。『一覧表』には、「昭和16年(1941)に「第十」「有信」の2銀行が合併し「山梨中央銀行」が誕生した。現在の山梨中央銀行東京支店は、第十銀行時代からの建物を使用している」とあり、「意匠・構造の特徴」として「第一層基壇部の上に、古典主義オーダーを模した柱列を並べたファサードを載せた、昭和前半期の支店銀行建築の典型。凝ったディテールはないが、手堅くまとめたプロポーションと納まりの処理に手腕が感じられ、近代的なスマートさも感じられる秀作。大理石貼りのカウンターや床のタイルは、ほぼ竣工当時のままである。1 階営業室の天井 は 2 階分の高さまである」としている。
ぼくは今見られる外観は竣工時からあまり変わっていないのだろうと思っていたから、古典様式を簡略したデザインで、戦前に建てられたとしても昭和10年代かと考えていた。ところが『峡陽文庫>第十銀行 東京支店』に竣工時の写真が載っていて、それを見て驚いた。前面の4本の四角い柱は、竣工時は半円柱ではあるがイオニア式の立派なオーダーで、建物横の窓もひとつひとつ額縁に納めたような古典的なものだ。古くて権威主義的に見えるのを嫌って、軽快に見えるように改修したのだろう。

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