ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




鎌倉市立御成小学校講堂。鎌倉市御成町19。2010(平成22)5月14日

御成(おなり)小学校の創立は1933(昭和8)年12月で、写真の建物は10月に完成した講堂である。明治期の木造校舎かと思っていたが案外新しいものだった。当時の名称は「鎌倉郡立御成尋常高等小学校」。平屋の講堂なら屋根の上の2基の塔のようなものは換気口の屋根ではではないかと思う。
小学校が建つ以前は鎌倉御用邸があった。1931(昭和6)年8月にそれが廃止されて鎌倉郡鎌倉町に払い下げられた。現在の校門は御用邸の正門だった冠木門。御成町(おなりまち)という町名も御用邸に因むもので、1965(昭和40)年の住所表示変更のときの起立だから新しい地名だ。古くは「大町蔵屋敷」といったらしい。



鎌倉市立御成小学校講堂。2010(平成22)5月14日

現在、この旧講堂はほったらかしで、倉庫として使われているようだが、たぶん不用品を放り込んでいるだけと思われる。市の景観重要建築には指定されていないのは取り壊しを考えてのことと疑われている。勿論、古都鎌倉としては残せるものなら残したいのだろうが、維持管理の費用をだれが出すかとなると難しいところだ。そんなものに金を使わず福祉を充実させろという市民も多いだろう。鎌倉の世界遺産への登録も、静かに暮らしたいから観光客が増えるのは困ると反対する人もいる。

1937(昭和12)年にヘレン・ケラーが来日して、全国を回って講演した時に、この講堂でも行った。5月2日のことで、横須賀での講演を済ませてから鎌倉を訪問したようだ。名所を観光したとは思えないからいったん東京に戻ったのだろうか。
7月7日盧溝橋事件が勃発するが、女史はその直後、日本の植民地だった朝鮮・満州を回っている。このときの日本滞在は約4カ月にわたった。

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