■有馬記念は
ディープインパクトが波乱もなく 引退レースを勝って七冠達成。 後方から一気に追い込むいつも通りの彼のレースだったが、今回は若干早めに仕掛けたような気がした。鞍上の
武豊の脳裏に昨年の苦い記憶があったか、それとも最後のレースということで遠慮なく圧勝してファンに応える意図があったのか。
シンボリルドルフは有馬2勝、
テイエムオペラオーは春天2勝でのGI・7勝だから、勝ったGIレースが全て違っての七冠は初になるのか。まぁ今年の宝塚記念とJCのレベルがどうなのかという議論は別として。 そういえば
シンザンは「五冠馬」と呼ばれるけど、あの当時は宝塚記念が冠にカウントされないのね。勿論JCなんて当時ないし。
■ディープインパクトは先輩の無敗三冠馬である"皇帝"
シンボリルドルフと比較されることが多いと思うけど、個人的にはルドルフよりも
ミスターシービーを思い出すことが多かった。勿論、あの極端な追い込み、特にダービーと菊花賞で見せた通常ありえないレース運び(シービーが勝ったときに実況アナが揃って口にした「物凄い競馬」)という要素が大きい。僕は小学生の頃にたまたまテレビで見た菊花賞のミスターシービーで競馬にハマった口なので、ついついディープの走りに往年のシービーを重ねて見ていた気がする。
あれだけ極端な追い込みは一歩間違えると玉砕する危うさを孕むわけで、それだけに勝ったときには観る側にも爽快感がある。だからいくらルドルフが強くても、世間的な人気は常に一歳上のシービーの方にあった(直接対決では一度も勝てなかったことへの判官贔屓もあったろうけど)。
シービーやルドルフが走っていた頃はまだ、好位差しで危なげなく勝つルドルフの正攻法での圧倒的強さというのは面白味に欠けてファンを惹きつけられない面があった気がする。もちろん常識外な走りのミスターシービーとの対比もあったろうし、
オグリキャップ以降の時代であればまた人気も別だったんだろうけど。12年前の三冠馬
ナリタブライアンは正攻法によるぶっちぎりの強さで、かつ人気も得たわけだから。
■で、ディープインパクトという馬があれだけ人気も持ち合わせていたのは、あの小柄な馬体で圧倒的な強さを誇った点や、ひと昔前と違って純粋なスポーツ競技としてレースを観る人が増えたこと等、色々と理由はあるんだろうけど、僕の感覚としては、いってみれば
「シンボリルドルフ的な飛び抜けた能力をもってミスターシービーの競馬をやっていた」馬だったからのような気がする。
そういえば去年のダービーのレース直前、ゲート前の輪乗りで何故か武豊が必死になってディープを動かしていたので、その時は馬に落ち着かずになだめているのかと思ってテレビを見ていたのだが、武豊によると「(ダービー直前の)あの緊張した雰囲気の中で、ディープが寝ようとした」からだったそうな。…大物すぎ(笑)
この話を聞いてから妙にディープに好感を持ったのだが、皐月賞や菊花賞で見せた危なっかしさとか、小柄なせいか栗東のトレセンでは牝馬に全くモテないとか(笑)「無敗の三冠馬」という至高なイメージからは程遠いエピソードが多かったのも人気の理由だったのかな。
正直、もう一年見てみたかったな。
で、今日の6Rで兄と同じような勝ちっぷりを見せたニュービギニングが過度の期待を背負わされるハメになるのだろうか…。
■夜はこれまた年末恒例の
M-1グランプリ。2003年王者の
フットボールアワーの再挑戦・史上初のV2が注目された
(デビュー10年以内+勝ち抜け制だとてっきり思っていたので、参戦を知った時は驚いた)が、今回は
チュートリアルが最終決戦で審査員全員が投票するという完勝。たしかに今日の出来は一組だけとび抜けていたような印象があり「あれ? 前からこんなに面白かったっけ?」と驚いてしまった(後日、以前の決勝の模様をビデオで見たが、久々に決勝進出した去年の段階で独自のスタイルを見つけ出し、この1年で完全に掴んだという印象を受けた)。
事前は
麒麟や
笑い飯に期待があったが、期待が高すぎたのか、今日は思ったほど突き抜けられずに終わってしまった微妙な印象があり、その雰囲気を審査員も感じていたのだろうか。麒麟にしろ笑い飯にしろ、去年の最終決戦で彼等の持っているパターンを一部崩して爆笑を取りに行く一種の「禁じ手」を既に使ってしまったせいかなぁ
(今年も麒麟・田村のアドリブ「お前がしっかりせぃよ麒麟は!」には腹抱えて笑ったが)。初のアマチュア決勝進出として注目された変ホ長調は、たしかにネタは面白かったが
(てかアレは素人だからこそ触れられるネタのような…)喋り口調や間のユルさや素人っぽさが
(狙ってやってるのか素なのか知らないけど)僕には合わなかった。