老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

菅首相の人権認識を疑う(年頭記者会見を聴いて)

2011-01-05 10:52:00 | 民主党政権
1月4日9時45分からの菅首相の年頭記者会見をNHKラジオで拝聴させて戴いたが、世の中の不条理を正していきたいとの趣旨の中で、小沢氏の政治とカネの問題に関して、強制起訴された場合には「政治家として出処進退を明らかにし、裁判に専念されるのならそうされるべきだ」と述べ、かなり踏み込んだ発言があった。このことに関してアサヒコムは『首相が小沢氏の「出処進退」に言及したのは、民主党離党だけでなく議員辞職も含めた対応が必要との考えと見られる 』と報じている。
http://www.asahi.com/politics/update/0104/TKY201101040079.html

一方小沢氏は菅氏の記者会見後、「僕のことは私と国民が裁いてくれる」と反論したとアサヒコムは報じている。http://www.asahi.com/politics/update/0104/TKY201101040133.html
小沢氏の主張は選挙で選ばれた国会議員として当然の反論であろう。

問題は菅首相の強制起訴された場合には「政治家として出処進退を明らかに」すべしとの主張である。一見ご尤な主張であるが、人は起訴されても裁判で判決が確定するまでは「推定無罪」で罪人ではない。政治家も政治家である前に先ず基本的人権を保証された一人の人間である。例え一国の総理大臣でも民主国家では個人の人権を侵害することは許されないし、逆に侵害された者には防御権が憲法で認められている。

そのような意味では、菅首相の記者会見での上記発言は基本的人権を無視したものであり、菅首相の人権認識を疑わざるを得ない。まして小沢氏の場合東京地検特捜部では2回とも不起訴となり、選任方法も平均年齢も得体の知れない民間人によって構成された検察審査会による強制起訴であり、検察に起訴されたものとは本質が違う。先日仙谷官房長官は起訴は起訴だと記者会見で述べたと報じられていたが、それならば推定無罪は推定無罪だの方が余程説得力がある。

又首相は「裁判に専念されるのならそうされるべきだ」と述べているが、例え起訴されても「推定無罪」で罪人でない以上、仕事は人間の重要な営みであり、本人に労働意欲と余裕があれば仕事(政治)を妨げられる何の謂われもない。まして政治家は選挙を勝ち抜いて選挙民に市政や国政を託された人間であり、専制君主でないかぎり議員資格を停止できないことは菅首相も百も承知の筈である。

衆議院では菅首相の方が小沢議員の1票を得て総理大臣に就いているのであり、菅首相の主張には全く説得力がない。また基本的人権を無視して人権を保身や権力闘争のために弄ぶような首相は薄情の極みであり、人間としても信頼できない。今年の菅首相の新年会への同志議員の出席数が一平卒の小沢氏の新年会の出席者数より遙かに少なかったことが何よりの証左であろう。

小沢議員には例え強制起訴されても民主党議員として国政に携わり、日本の社会に根付いている「推定無罪=罪人=職務の辞任」という誤った認識を払拭する先兵になって、国民の負託に応えてほしいものである。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
厚顔の美少年

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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全く同感です。 (豊後魂)
2011-01-05 16:52:05
 僕も還暦世代ですので、一言。
 全く正しいご指摘です。総理の発言は、いかに現代日本が刑事事件の近代原則すら否定している野蛮国であるかを証明するものであり、恥辱的歴史的事実を裏付けていますね。  がっくりです。
 他方で、官房長官たる仙石さんは、弁護士でありながら、この総理発言を否定していません。なんじゃ、この男は。 
 僕は、一昨年の三月、田原さんのサンデーモーニングにおいて、仙石さんが、「西松事件は筋が悪い。」「これで小沢さんに捜査が伸びなかったら、特捜の敗北だ。」と、弁護士として至極当然な発言をしていたのを記憶していますので、現状の「強制起訴も起訴」なる発言は、政治的立場の違いで法的主張を変える悪しき三百代言そのものの言い草として、憤激しています。こんな特捜が二回も嫌疑不十分として立件できない事件について、有罪の見込みをもてる法曹なんていますかね。僕は市井の弁護士ですが、無罪の判決となるはずだと考えていますが、ね。その意味で、仙石さんらは、弁護士はその立場如何で黒を白というものだとの侮蔑を招いており、早急に弁護士バッチを外すべきなのです。 法曹の出処進退こそ、厳格であるべきでしょう。
 とにかく、本記事に賛成しています。今後も健筆を期待しています。がんばってください。
コメントお礼 (厚願の美少年)
2011-01-12 23:39:26
豊後魂さん

コメントと励まし有り難うございます。
弁護士さんから人権擁護のご賛同を戴き光栄です。

ご投稿に気が付かずに亀レスになり済みませんでした。

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