老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

安易な京大の被害届け出

2011-03-01 06:28:59 | 社会問題
2月25日に京大の入試時間中に試験問題が「ヤフー知恵袋」に投稿され、その内容が答案を求め、解答が為されていたことに対して、早速京都大学は27日に副学長が記者会見で被害届を警察に出すことを発表し、28日午後にも被害届を京都府警に出すことが同日昼のNHKニュースで放送されていた。

京大執行部の被害届け出の決定は既に類似の事件が発生していた同志社大学(2月8日発生)、立教大学(2月11日)、早稲田大学(2月12日)に比べ、あまりにも早すぎるように思う。学内の協議機関、例えば学部長会議や教授会でどこまで議論されたのであろうか。

今回のような入試漏洩事件は公序良俗に反する行為で許されるべき行為ではないが、一方で京都大学は公権力から学問の自由、大学の自治を護る立場から、警察権力に解決を委ねることとのバランスをどのように判断したのか、他の大学に比べ疑問が残る。

一方同志社大学も京大の決定に追随するかのように、28日中にも被害届を警察に出すことが報じられたが、立教、早稲田は学内協議後と慎重姿勢である。昭和8年の京大滝川事件等で反権力の伝統を持つ京都大学が、いとも簡単に公権力に解決を委ねる姿は残念である。立教大学、早稲田大学の慎重姿勢を支持したい。

ところで今回の試験問題の投稿漏洩事件であるが、果たして受験生が監督官が見回り歩いている試験場から携帯電話を操作してあのような送信をできるものであろうか、28日朝のバラエティ番組でも疑問を呈しているコメンテイターが多かったが同感である。

例え可能だったとしても、現代風に手段方法が変化したカンニングの一種と見れば、あまりに騒ぎすぎではなかろうか。一個人のカンニングを大学の自治を揺るがしてまで公権力に委ねる京都大学の統治自治能力を疑わざるを得ない。大学側が内部犯行の可能性も含めて問題作成・印刷・保管に携わった関係者への事情聴取まで想定しているのであれば話は違ってくるが、それでも「緊急止むを得ない場合」に照らして判断されるべきであろう。

最後にウィキペディアより「大学の自治と警察権」、「京大滝川事件」、「東大ポポロ事件」及び大学の自治と学問の自由について識者の意見が掲載されたブログのURLを紹介しておきたい。

大学の自治と警察権(ウィキペディア)
『施設などの管理自治においては、警察権との関係が特に問題とされる。現代日本においては大学は治外法権を有するわけではない。したがって正規の令状に基づく捜査を大学が拒否することはできない。また、大学当局の力では収拾がつかないほどの不法行為が発生した場合、あるいはそれらが発生する差し迫った危険が存在する場合は警察力の出動がありうる。しかしこの場合でも緊急止むを得ない場合と大学の要請のある場合に限定される。
 これに対して公安警察による潜入活動(犯罪予防のための諜報活動を称する)は治安維持を名目として学問の自由や大学の自治を侵害する危険が高く、特に大学の了解なしに行われることはきわめて問題がある。』
京大滝川事件(ウィキペディア)
東大ポポロ事件(ウィキペディア)

学問の自由と大学の自治」は、なぜ大切なのか?


■日本国憲法第23条(学問の自由) 
学問の自由は、これを保障する。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔の美少年

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3 コメント

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Unknown (AS)
2011-03-01 11:05:35
もしこの告訴が受理されたら、試験不正行為は犯罪と定義されますね。
高校や大学でのハイテクカンニング犯は校則学則によって処断されるのではなく警察に引き渡される事になる。
国家試験でさえそんな事はあり得ないのにそれでいいのでしょうか。自分も疑問です。
返信する
選挙の公正さを国民自身の手で守る (通りがけ)
2011-03-03 07:00:27
選挙の公正さを日本国憲法主権者国民自身の手で守る。

総務省が管轄する選管職員による不正投票事件は全国で続々と明らかになっています。これは憲法に銘記された国民主権の正当な行使を不正な手段で妨害する公務員の憲法違反犯罪です。非常な重罪ですが、選管は投票箱から開票場の密室過程をいいことにほしいままに開票結果を操作することができるのです。

この不正役人の卑劣な妨害行為から自分の一票という国民主権行使を合法的に守るためには、次の準備が必要となります。

1.投票用紙への記入は備え付けの鉛筆でではなく、必ず持ち込みの黒ボールペンで強い筆圧でできるだけ大きい文字で記入する。

2.白紙投票は絶対にしてはならない。必ず黒ボールペンで強く「なし」または「棄権」と大書して投票する。

これだけで開票までに票に不正な操作を加えることがなんびとにも不可能となります。

また、投票場現場で選管職員や役所の職員が有権者の黒ボールペンの使用を禁止制止することは、憲法の国民主権の正当な行使権規定に反する公務員職権濫用行為となりますから、制止してくる役人があれば誰何して不正役人として記録し、その記録を証拠として公務員職権濫用投票妨害罪で警察に告発することができます。

参考:
>>http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2011/02/post_1991.html#22313
>>上記ブログの名古屋市選管関係エントリー
>>http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-894.html
etc

国民審査も「持ち込み黒ボールペンで」最高裁判事オール×印不信任懲戒審査どぞよろしく
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コメントお礼 (厚願の美少年)
2011-03-03 11:53:29
アンノンさん、通りがけさん

コメントありがとうございます。
今朝のバラエティ番組で、昔ながらのペーパーカンニングは影響が個人の範囲内で限定的、よって偽計業務妨害罪は適用できない、と言うようなことをヤメ検が言っていたようです。まあ公序良俗に反する行為は無理矢理にでも何かの法律違反に問えると言う裏返しでもあるような気がします。

通りがけさんにそう言われれば、投票所の筆記具は鉛筆ですね、また言われる様なことも否定出来ませんね。そのようないみでは鉛筆よりボールペンが適当かも分かりません。
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