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COP26会議に先立ち、焦点は財政問題に向かう。DeutscheWelle,2021年10月25日

2021-11-03 15:33:07 | 政治
残された時間が少なくなっている厳しい現実の中、Glasgowに集まる参加者らは温室効果ガス排出を大幅に低下させるため、更に一致した公約の宣言を作成する事を目指している。
しかし参加国は財源的裏付けなしには、一致した公約の実施に困難さが生じるだろうと指摘している。

来る国連気候問題委員会COP26が地球の温度上昇を1.5℃以内に抑える計画を実施し、諸国が排出ガスをネットゼロにする運動を実行する最後であり最善の機会だろうと気候問題の専門家は強調している。

エネルギー事情をグリーン化していくこと及び気候変動に悪い影響を与える要因を取り除いていくこと等これらの公約を成功裏に導くには政策と共に必要な財源を調達することが喫契の課題となる。
“ネットゼロへの移行を加速させるためには、またパリ協定を完全に順守するためには財源問題が本質的な課題である”とJohnson首相のアドバイザーのCarney氏はいっている。

COP26のウェブサイトには強い宣言が出ている。

“ゴールに到達するには全ての会社、全ての財政組織、全ての銀行そして投資家が変化する覚悟が求められている”

「いくらの金額が必要か?」
炭素に立脚する経済社会を転換することを試みていて、採用可能な施策を探し求めている途上国は、地球規模の二酸化炭素排出の大半の責を負うべき先進富裕国が、約束した毎年1000億ドルの資金のかなりの部分を拠出する事を期待している。

COP26の交渉は2025年以降に要請されるだろう毎年1000億円では充分ではない、更に大幅の資金負担増に議論は集中するだろうと、気候問題の目標遂行を各国に指導しているNDCパートナーシップのVieira氏が指摘している。“拠出金のかなりの増額が必要だろう。永年の経験で慣れている簡単な公約すら上手く遂行出来ないのであれば、我々はどうやって目的地に到達したら良いのか?”とVieira氏はいう。

しかし、データ入手可能な最終年の2019年の段階で、OECDによると富裕国はまだ800億ドル以下の拠出であり、目標には到達していなかったという。

国連・世界銀行そしてOECDの予測では世界の気候と発展の目標を達成するには2030年まで毎年6.9兆ドルが必要とされている。この数字はCovid-19パンデミック発生前の2018年に発表されたものである。

気候財政:何が公正なのか?1000億ドル到達に必要な富裕国に要請された貢献金額
2019年の実績(OECDのデータ)     シェア割合から算出の拠出金不足分
米国 :1.9億ドル            米国  :41.6億ドル
日本 :9.4億ドル            日本  :2.4億ドル
独  :9.2億ドル            独   :0
英国 :2.8億ドル            英国  :3.1億ドル
仏  :4.9億ドル            仏   :0.6億ドル
カナダ:0.7億ドル            カナダ :3.5億ドル
豪州 :0.5億ドル            豪州  :2.5億ドル

Vieira氏は当初の1000億ドルは充分な金額ではないけれども、その達成が国際気候基金や開発銀行や民間セクターからの途上国への追加基金入手の呼び水の役目になることから、その達成は重要であるとしている。

“1000億ドルはシンボルである。シンボルであるが故に到達することが困難だ”とBogota在の環境非営利団体及び国連気候問題の情報発信を行う世界団体であるACT2025の事務局長のRojas氏はいっている。

「基金の公約を達成出来ないことは、信頼を毀損することに繋がるだろう」
“気候財政はその問題が信頼構築に関するものである故にCOP26会議の主要議題の一つになるだろう。”とグリーン気候基金(GreenClimateFund:GCF)のスポークパーソンのWilson氏は言う。基金の公約達成失敗は以後の議論の信頼性を損なうだろうと言っている。

“パリ合意の全体像は、全参加者がこれら約束目標作りを行い、時間をかけて彼らの目標を強化していくという事を相互に理解し、同意した協定を結ぶことである。しかしこの目的を遂行する途上国の協力を獲得していくには、途上国が支援されているという信頼感安心感を持てるかどうかが必要である。

例えばフィリピンは2030年までに排出を75%カットすることを目指している。しかしフィリピンの計画では、達成することが出来るのは計画の約3%のみだと言っている。
そして9月末のヨハネスブルグでの国際気候使節との会合で、南アは国家の80%の電力を作っている石炭発電プラントをクリーン発電システムに置き換えるのに数十億ドルが必要と言っている。

“南アは単に転換にコミットしている一方、我々はこの転換を促進するための財政的な確実性と予見性を必要とする”と環境局はいう。“我々は全ての参加国、団体に明確で、変更出来ない協定が締結されることを必要としている”とMantashe鉱業・エネルギー大臣が言っている。“南アは先進国、ではなく、すべての代替資源を持っているわけではない。”とも言っている。

“財政面の観点で何が利用出来るかの考えがないのであれば、長期計画を実施することは困難である”とWilson氏はいう。アフリカや太平洋やカリブ海島嶼国にある、もっとも開発が求められる地域に“適応:adaptation(自然や人間社会のあり方を調整する仕方)”する努力を確実にすることに、GCFが強く焦点を当てていると彼は言う。この部分に対してGCFは適応プロジェクトの財源の半分以上を割り当てている。その中にはタイの持続可能型農業やケニアのコミュニティへの水確保がある。

「適応(adaptation)と緩和(mitigation:温室効果ガスの排出を抑制する)」
9月末のイタリア・ミラノでの緊急サミットで、国連のGuterres事務局長は途上国に対する予測可能な資金の必要性を強調し、その50%は気候危機への“適応(adaptation)と強靭化(resilience)”の為に取っておくべきと言っている。

”適応(自然や人間社会のあり方を調整する仕方)の必要性は毎年上昇している”と彼は言う。”途上国は既に適応の為に700億ドルを必要としている。そしてこの数字はこれから10年後には4倍以上の3000億ドルに膨らむだろうという。

ほとんどの部分でこれらの基金は返金の必要のない助成金(grants)の形をとるべきだ。
OECDからの最新データは2019年にコミットした800億ドルの内の4分の1が適応向け、であったという。残りの基金は温室効果ガスの排出を抑える緩和の努力に向かっている。

”適応の活動は、それらが利益を生むことが無いので助成金の形をとる必要がある。”とGCFスポークスパーソンのWilson氏はいう。
”これらの活動は極端な気候の衝撃から人々を守ったり、気候変動による海面上昇に対処したり、洪水や干ばつから人々を守ることである。そして通常は実行が難しい事柄である。”

COP26に先立ち、ドイツ政府の支援のもとNDCパートナーシップは67カ国が国として決めた貢献(nationally determined contributions:NDC)目標の排出量低減化の長期目標の改訂作業の手伝いを行っている。監督官のVieira氏は彼らが“適応”に実質的に焦点を移すことを認めたと言っている。しかしながら氏は付け加えて排出低減に比べて投資家が最終ゴールの結果を判断するのが困難であるが故に、“適応プロジェクト”への基金はよりチャレンジングだといっている。

”世界の基金の大半は“適応プロジェクト”に向かうよりも、明らかに再生可能プロジェクトの方に向かう”とWilson氏はいう。そして気候変動により影響される広範な健康問題についての計画に投資するよりも、ソーラー施設のような単一で大規模化が容易であり、しかも利益も保証されるプロジェクトに投資家の注目が集まると指摘している。

一方IMFは500億ドルまでの資金で、強靭化と持続可能性信託基金を設立して低収入国が気候変動とパンデミックの両面で強靭で持続可能な経済を確立することへの支援を行うとしている。ゴールは“低炭素で、気候変動に抵抗性があり、賢い包括的経済への転換を国々に促す”こと、であるとIMF専務理事のGeorgieva氏が言っている。加えて気候問題はIMFの貸与プログラムにもっと深く組み込まれるだろうとしている。

「まだやるべきことが残っている」
Wilson氏、Vieira氏、Rojas氏らはBiden政権や他の主要国の指導者が基金の増額に約束している最近の動きに警戒しながらも楽観的な姿勢を取っている。しかし彼らは民間セクターを引き込む事とか地域や地区レベルの小規模な実施団体が基金を利用しやすくするような工夫の点で、まだまだやり残している事柄が多いと考えている。

Rojas氏は気候財政の提供の観点だけでなく、政府と投資家が間違いなく化石燃料の支援ではない活動に取り組むように仕向ける等やるべきことは多々あると言っている。

“どの位の資金が気候問題に投入されているかを知れば、少しは希望がでるかもしれない。
しかし、今だに化石燃料や採掘や抽出法等に資金が流れているのを見ると、本当の意味での真の変化が求められる。変化なくしては我々に進む道はない。”

岸田首相が最大100億ドルの追加拠出を打ち出している。1兆円程の追加拠出を途上国への約束になる。2019年の実績の9.4億ドルからすると10倍以上の額にはなるが、今回のCOP26では現在の1000億ドルでは足りず、最大だとは思うが毎年6.9兆ドル(770兆円)が2030年まで必要という試算もある。今後の進展を待つが7~8年間の期間、毎年数兆円が求められる公算は充分あると思われる。

先ずは無駄使いの最たる利権行政体質を徹底的に正すことを槍玉に挙げたい所です。防衛費の縮小も視野に入れる必要もあるでしょう。NHKに毎年7000から8000億円集まるのも無駄と言えば無駄でしょう。他国に比べて割高な電力料金や議員歳費や活動費そして公務員の歳費にも切り込む余地があるでしょう。

地球環境・気候変動対策の費用捻出を真剣に考えていく過程で係る無駄使いの実態をあぶり出していく作業が併せて求められると感じています。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan

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