老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

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「足尾から来た女」(NHK土曜ドラマ)

2014-01-28 17:12:46 | 民主主義・人権
NHK土曜ドラマ1月18、25日に放送された「足尾から来た女」前、後編を紹介します。

明治の頃、栃木県谷中村は足尾銅山の鉱毒で川も田畑も汚染された。田中正造の闘いも空しく村は16戸まで激減し、国は残った家の強制執行に踏み切る。泣き叫ぶ村人達、家が故郷が取り壊され二度と人が住めない汚染地域になっていく。

この村で育ち、東京に出て兄信吉の仲介で社会運動家福田英子の下で働く新田サチが、この物語の主人公。

当時の谷中村民3000人は廃村でちりぢりになり、移住した不毛の土地で挫折し都市へ流出したという。この谷中村と今の沖縄、福島の姿が重なる。国策の名の下に住む家、故郷を破壊され強制執行の下に追い立てられる人達。

東京でサチが元足尾銅山の副社長だった原敬に「村を返して下さい、私達の故郷、家を返して下さい」と詰め寄るシーンが印象に残った。原敬は、サチの訴えに「私は足尾銅山の経営からは既に退いている。そういう訴えは県の役人に言いなさい」と薄ら笑いを浮かべ去っていく。

このシーンでは細かい突っ込み所はあるけれど、当時の強大な国策、公権力に対峙する時個人は非力だったことがよく現されている。それは今も変わらない。生活が幾ら便利に快適になっても一度国が「国策」という名の下に個人の権利、生活を破壊しょうとする時個人は非力である。その傾向はこれから益々強くなると思うが、非力な個人が何千、何万と集まれば、強大な権力者達を脅えさせる力があると私は信じている。

サチは東京で、福田英子、幸徳秋水、石川三四郎、石川啄木などの姿を見て、公安に福田邸の内情を探れと命令されていた自分と葛藤するようになる。

最後は谷中村に帰ったサチが「東京にもう一度戻って、勉強しなさい。東京で身に付けた事が必ずこの村の役に立つ時が来るから」と田中正造に諭され、再び裸足で大地を踏み締めながら東京に向かうサチの姿で終わる。

このドラマで北村有紀哉演じた石川三四郎は、女好きで臆病で福田英子に頭が上がらない些か軽佻な男であるが、それも人間らしさが現れていた。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
パンドラ

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