rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

天皇を唯一神とするのは神道ではない

2017-03-28 14:40:07 | 社会

世間では森友学園問題と籠池理事長の証人喚問、安倍首相と昭恵夫人の関与についての話題で溢れていますが、根本的に何を問題にしているのかが不明で関心が持てません。国有地を廃棄物があると虚偽の申し立てをして違法に横領したのであれば、詐欺罪とそれを認めた官僚の職務怠慢の問題でしかないと思います。

それよりも今回森友学園の塚本幼稚園において行われていた教育が「神道系」と報道されていること、新しい小学校が「神道系」の教育をすると言われていること、その内容が「教育勅語」であったり、「天皇を絶対とする戦前教育」」とされていることに私としては違和感を感じます。それは「戦前の教育がいけない」と言う事ではなくて、戦前教育を「神道」と直結させている事に本当に「日本における神道」を深く理解した上でそう結論づけているのか疑問に思うからです。

私は最近暇があると妻と各地の神社巡りをするのが小旅行における主な日課になっていますが、日本各地には様々な由来の多種多様な神が祀られている事に非常に感心します。国造りの天皇関連の「神宮」と名のつく神社、古事記などの神と関連付けられてはいますが、各地に点在する八幡や稲荷はそれぞれ土着の雑多な神や仏教とともに祀られている例が多数あります。また天神様のように実在の人物を死後神として祀った神社も菅原道真、乃木将軍など多数あります。神道の多様性については、島田裕巳氏の著書「なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか」(幻冬舎新書2013年刊)などに詳しいのですが、要は「神道には厳格な規定がない」ことが要となって各地の多用な文化や宗教を取り込んで深く日本人の生活に馴染んで来たことが特徴ということです。神道には教書、教祖、修行、資格がありません(協会の定める神主の資格はありますが、後付けにすぎず、各地の氏神様の行事を行うのは氏子が交代で行っているものが殆ど)。出家の必要も念仏や経もありません。「何も無いのが神道の特徴」(神道はなぜ教えがないのか-島田裕巳 ベスト新書395 2013年刊 第一章 ない宗教としての神道)とは良く現した言葉であると思います。

「神ってる」という言葉が昨年流行りましたが、これなども一般人が人並み外れたパフォーマンスを行った際に「人に神が降臨してその行為をなさしめた」、という思想を現していて日本人に神道的な考え方が染み付いていることを良く現しています。つまり普通の人もいつでも神になれることが背景にあるからこその表現と言えます。一神教の外国人が"Oh my God!!"や"God damn it!"を良く言いますが、これは特定の人がそうだという意味ではなくあくまで「どこか空にいる神がやってくれたぜ」的な感覚がにじみ出ているように思います。

ところで各地の神社で祀られた「神」の本体は「山」であったり「岩」であったりします。またそれぞれに「神木」とされる高樹齢の大木が祀られています。そのような日本国の国土を造りなす全てが日本における「神」であって、天皇はその「日本国の神を敬う祭司を行う代表」であるというのが古来からの伝統的考え方です。天皇は神官の総帥として国民から敬われる存在であり、その意味では戦後定められた憲法における「象徴」という表現は日本古来からの天皇のあり方をより正確に定めたものと私は思います。明治以降、国民国家を形成する上で明治維新の元勲達が天皇を国家の元首として為政者(国王)としての地位を無理矢理定めてまるで天皇を唯一神の一神教国家であるような教育を行った時期もありましたが、それは日本の伝統的神道の考え方からは外れた物だったのではないでしょうか。

日本海軍の軍艦には即席の神棚が設けられ、出陣の際には艦長他乗組員が欠かさず参拝をして武運を祈ったと言われますが、神棚を設けて皆でそこに神が宿ると思えばそれで神が宿るのが伝統的な日本の神道の考え方なのです。この多様性、柔軟性を教育するのならば「神道系学校」を名乗るにふさわしいと考えますが、教育勅語や五箇条の御誓文を教育するのを「神道系」というのはどうなのでしょうか。

下に教育勅語を載せます。やはり天皇に対する一神教的な思想を含んでいると私は思うのですが。

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4 コメント

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面白い記事でした (雨亭)
2017-11-21 23:32:43
私はカトリックですので。唯一神はユダヤ、キリスト、イスラムにしかない概念です。それは
フロイトの「モーセと一神教」を読むと解るのですが、出エジプト前に太陽神ラー=アメン=アモンを唯一神とした事に源があります。
当時の地中海からアフリカ北岸はギリシャのサントリニ島の爆発噴煙で急速な寒冷化が進み、太陽神を唯一神としたのですね。エジプト人は
多神教に戻りますが、奴隷のユダヤが継承して
メシア信仰に転じたと。そしてイスラムもキリストもユダヤ教の子孫です。
つまり唯一神は他には人類史に存在しません。
国家神道で天皇を唯一神としたのは良いとして、唯一神教ならば必要な検証をしない!
天皇が現人神であるならば、絶対神(ユダヤもイスラムもキリスト教も同じ神をあがめてます。
ゴッドもアッラーも普通名詞で、ヤハゥエの事を現します)が唯一神ならば、天皇はいつから神となったかです!
これは私ども唯一神教徒には必要な問題です。
ユダヤ教はイエス(キリストはメシアのギリシャ・ローマ語)は予言者(神の声を聞く人。予言者ではない)に過ぎないとするから問題ない。
イスラムはマホメッドは預言者に過ぎないから問題ない。
しかし、キリスト教徒のようにイエスを現人神として「神」にすると、どこで同化したのかが
問題となります。トリニティ問題です。
洗礼を受ける前は人であったのか?
産まれる時から神であったのか?
異教徒の方には理解がしにくいでしょうが、
「唯一神」教徒には重大な問題です。この解釈を巡り果てしない流血が起きました!
唯一神であるならば、例え宗教戦争になり、内戦になっても統一しなければドグマが崩壊するのです。それをヘイヘイと天皇が唯一神であると一言で談じる辺りは「底が浅い!」と言わざる得ません。国家神道の底の浅さが、透けて見えます。絶対神、唯一神を論じるには千年早い!クリスチャンとして思いますね!!
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でも神道を否定できない(笑) (雨亭)
2017-11-22 00:18:04
私の神に対する意見がSF的で異端すぎる事があるのですが。(私はgodが人格を有する「存在」ではなくロゴス=法則と考えているので)
神道や道教は否定できぬものがあります。
これは私が北方領土の漁船員や、冬期登山や狩猟を重ねてきたアウトドア好きも原因です。
解剖学者の養老孟司氏が仰るように、幽体離脱などの心霊現象は殆ど医学・科学で説明できます。しかしです。山には何とも解釈しかねる現象が起きるのです。殆どは焚き火を囲みながらの怪談なのですが。?と疑わざる得ない現象が起きる。仔細は遺族の為に書けないのですが、私の親友は他国の山で亡くなりました。
時速200キロで殺到する雪崩に際した時に、下界の三分の一の酸素(100米ダッシュで肺気腫を起こすとか)で、持てる空気を全て用いて、後方のキャンプにホイッスルを鳴らした。7000㍍で、それを行う事が、我が身を捨てた行為であるのは医師であるrakitarou様には御理解頂けると真実います。彼は雪崩に呑まれて死体が見つからなかった。それが数年前に氷河から片手だけ発見されました。指紋やDNA鑑定で…。
報道には遺族が訴訟も辞さない覚悟でしたし、大事件もあったので報道されてません。
発見者は彼が義兄弟のシェルパ頭であり、ほぼ命日の数日以内であり、地元の信仰と関わりある場所でした。偶然の一致はあれども!その確率は?
彼は地元民の信仰を大事にして、里山の復元に尽力する男でした。一挙に山で不思議な経験した事もあります。クリスチャンとして異端でも、山には「神々」が宿り、異国の岳人に情をくれたと思うています。
山にも海にも不思議な神が宿ると真実います。
例え異端と言われようと。
返信する
戦前の日本は欧米がイメージするファシズム国家ではなかった (rakitarou)
2017-11-23 12:20:17
コメントありがとうございます。
書評「未完のファシズム」でも述べましたが、神道における祈祷首領である天皇を国家元首に祭り上げながら独裁権力があるようなないような「未完のファシズム」の状態にあったことが戦前の過ちにつながったという分析があります。欧米では戦前の日本をいまだにヒトラーやスターリンの独裁国家であったような誤解(日本人でもそう教育されて信じてしまっている人が多いと思いますが)がありますが、それは全てが唯一神から始まるという一神教的な思考やイメージから来ているようにも思います。
返信する
先生、どうしたら良いですか? (河太郎)
2018-06-08 02:18:25
これは医師としてのrakitarou様へでなく、人生の先輩のrakitarou様にすがり付く思いで書いてます。世間を騒がすニャースは多いですが、
5歳の結愛さんが虐待で亡くなられたニュースでの、ひらがなの「もうゆるしてください。あしたはきちんとします……」には泣きました。
それで、憤慨した訳ですが、親が死刑になろうが(なれよ鬼畜が)、刑法を更生主義から懲罰主義に変えようと、彼女の魂の救いにはならないのですね。カトリックから神道に改宗しましたが、結局はご冥福を祈る事しかできない。
正直、私は輪廻転生を信じません。
けれど、来世や極楽の存在を今回ほと「信じないけれど願う」事はなかった。
あの世だろうが来世であろうが、そこで彼女が一度でも満ち足りた幸せを味わわねば救いが無さすぎる。
さすがに、ひらがなの文章を読んだ時には。
カトリックが神道に変わろうと、結局、祈る事しかできないのか?
無力感を信仰者として感じざる得ません。

私は実はこの種の話は嫌いなんです。
でも、あの、ひらがなの文を見ると、心が定まらない理由があります。

随分に前ですが、私は制服組ではなかったけど、億ション警備する警備会社の私服組だった事がある。立ち上げ時点では制服を着て、現場の警備計画を立案し、コストを算出する。
そんな時に居住者の児童に「虐待」疑惑が出ました。肉眼視できるアザや火傷痕が。
会社に隊員からの報告を受けて報告しても動いてくれない。社内規則に反しても、児童相談所などにリークしました。証拠写真も撮って。
行政を動かして、会社もクライアントも動かす……それしか思い浮かばなかった。
情けないけど、相手は金持ちで知的エリート。
下手に動けば、現場は解体され、20人の隊員と家族が路頭に迷います。
しがし…看過してはならない。
そんな日々に、習志野出身の部下の一人が、ある時に児童の傷をめくり、
「どうしたんだ? 誰にやられた?」
詰問したんですね。
そうすると、児童は親を必死に庇うんです。
彼はエレベーターに突進しました。あ
「M士長、まて命令だ!」
シャバなのも忘れて叫んだ。
でも彼は突進して、駐車場で親をタコ殴りにきて病院送りにしました。
彼は虐待されて育った人でした。市場のゴミを漁りながら独学で、自分の作った巻き藁を毎日を叩き、必死に鍛えて、親父を殴り倒して家出して、飯場で飯を食って鍛えて、自衛隊に入りました。憑かれたように鍛えて、レンジャー資格を取った。そんな彼には許せなかったのでしょう。俺はそれまで「できればかかわりたくない」でした。正直に告白いたします。
あー、やっちゃったか!
他の隊員を集めて相談しました。みんな子供がいる世代で、何人かは一緒に現場で鉄バイプ振り回す暴漢を取り押さえた事がある。
私は私服組でしたが、隊員の、
「嫁や息子も許してくれると思います。再就職は不安ですが、それでも自分の息子があれだったらと思いますと」に肩を押されました。
現場の隊長と「引き下がれないな!」
警備記録と、証拠写真を集めました。
それで二人で幹部に詰問される場に行きました。「会長に会わして下さい。直接に御報告を致します」
貴様、何様だと思ってる!
このグループの総帥は会長ですから。常務じや悪いけど役不足なんだよ!
俺らも一同、覚悟してるからね!
それがダメならば集めた証拠をマスコミにリークしてやる!
会長でてきました。
「君らの言い分は?」
我々の会社は、顧客の身体生命財産を護る仕事ではないでしょうか?
その通りだ。
では、この証拠があります。既に複写してます。くだんの隊員が訴訟された時に、会社が契約解除されぬ為に「見捨てる」ならば、全てをマスコミに流します。
それで義憤に駈られた若者は、処罰を受けませんでした。
しかし、クライアントから契約解除され、現場は解体し、何人かの高齢隊員は仕事を失いました。そんな一見があるのです。
結局、私は誠実な隊員の何人かを失業させた事になります。私も隊長も責任を取り辞職。
二人とも二度と警備業界には戻ってません。
あの時の判断が企業として正しいのか解りません。しかし契約者の身体生命財産を護る仕事である以上、間違っていなかったと思います。

しかし、結局は後手なのですね。
何も本当に解決できてない。

今回のニュースで噛み締めたのは……
結局はご冥福を祈るしか出来ないのか?
なんか、あの時の結末と変わらんなぁ?
子供をどうしてやる事も出来ないし。
ただ祈るだけ。ご冥福を。
つくづく「信仰の無力さ」を感じます。
神々に祈るなら、神々の力でなんとかしてやれそうなものですが、何にも出来ない。
それが人の世なのでしょうが。
なんと言うのか、信仰の無力さを感じます。
こういう時に信仰は何をできるのでしょう?
私は疑問に思います。
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