前にも拙ブログで取り上げた話題ですが、一向に現実が理解されず、誤った対応しか出てこないので再度取り上げました。厚労省は医師不足の対処として次年度から各大学医学部にそれぞれ10-20名の定員増を認めました。増加を認められた大学は全てではなく、地域などにより偏りがありますが、医師不足の対処としての有効打と見られています。
私は医学部定員増には反対はしませんが、私が前から指摘しているように現在医療問題になっているのは「医師不足」ではなく「過重労働に耐えてリスクの高い医療を行う勤務医の不足」であって、医学部定員増はこの真の問題の解決とは言えません。むしろ学生が増える事で大学病院の指導医師の負担は増加します。
過酷な勤務環境から脱出して勤務医から開業医になる「立ち去り型サボタージュ」が勤務医不足の原因であることを紹介しましたが、これに対する対処法は誰も考えていないようです。現在毎年8000人の新しい医師が誕生していますが彼らが皆今不足している「過重労働に耐えてリスクの高い医療を行う勤務医」になってくれれば10年で現在の医師不足は解消します。しかし初期研修を終えた多くの若い医師達は皮膚科、眼科、老年科、腎臓内科といった今不足している科の特性とは反対の診療科に入ります。医学部の定員を増やしても不足している科の医師にならなければ意味がありませんし、「現在がんばっている勤務医がこれ以上立ち去らないような手」をまず打たなければ医師不足がますます深刻になるのに政治家から聞こえてくる声は「モラルの問題」とか「非常識」とか全く的外れな「私は何も考えていません」ということを言い換えたことばしか聞かれません。
私なりに「真の医師不足」を解消する方法を呈示しますと、
1) 開業医と勤務医の所得差が2倍近くあることは厳然たる事実なのですから勤務医の給与を倍にして開業へのインセンチブを少なくすること。特にリスクの高い医療を行う医師にはそれなりの報酬を保証すること。
2) 開業医も地域の救急医療を担うことを義務づけること。
3) 情報公開を原則とした上で、リスクの高い医療を行った結果が悪くても医師の責任を追及しないこと。
1)についてはどこにそんな金があるのかという疑問もあるでしょうが、ではIMFにぽんと10兆円もくれてやる金がどこにあるのかと私は聞きたいです。
また3)については患者さん側から反発がありそうですが、医者は失敗しようと思って医療を行っている人は一人もいません。これは「失敗し放題」を容認するということではありません。治療経過の公開、情報公開を義務づけた上で結果責任は問わないという意味で、裁判を起こしている患者さんの多くは「事実を知りたい」ということですから神の業を行っている神ならぬ医師がどこで限界があったのかを知ってもらうことが医療の現実を知ってもらう上でも大事だと考えます。昨日の投稿にある不昧因果(因果をごまかさない)という姿勢があれば良いのです。2)は既に一部の地域では行われていますが、科を問わず全ての開業医は交代で夜間休日の救急当直をすることを義務づけ、病院勤務医は入院になった場合にのみ夜間休日診療するようになれば公平になります。
我が病院の我が科も3人いた医師が秋に一人辞めて現在小生を含めて二人体制になりました。週3日は50歳の私が当直をしております。前に勤めていた病院でも同僚だった医師が来春開業すると聞いています。現場の医師が立ち去り型サボタージュによる医療崩壊についての正しい情報をいくら発信しても正しく聞く耳を持たなければ正しい対応は出てこないでしょう。
「医師不足」ではなく「過重労働に耐えてリスクの高い医療を行う勤務医の不足」であることを重ねて主張します。
私は医学部定員増には反対はしませんが、私が前から指摘しているように現在医療問題になっているのは「医師不足」ではなく「過重労働に耐えてリスクの高い医療を行う勤務医の不足」であって、医学部定員増はこの真の問題の解決とは言えません。むしろ学生が増える事で大学病院の指導医師の負担は増加します。
過酷な勤務環境から脱出して勤務医から開業医になる「立ち去り型サボタージュ」が勤務医不足の原因であることを紹介しましたが、これに対する対処法は誰も考えていないようです。現在毎年8000人の新しい医師が誕生していますが彼らが皆今不足している「過重労働に耐えてリスクの高い医療を行う勤務医」になってくれれば10年で現在の医師不足は解消します。しかし初期研修を終えた多くの若い医師達は皮膚科、眼科、老年科、腎臓内科といった今不足している科の特性とは反対の診療科に入ります。医学部の定員を増やしても不足している科の医師にならなければ意味がありませんし、「現在がんばっている勤務医がこれ以上立ち去らないような手」をまず打たなければ医師不足がますます深刻になるのに政治家から聞こえてくる声は「モラルの問題」とか「非常識」とか全く的外れな「私は何も考えていません」ということを言い換えたことばしか聞かれません。
私なりに「真の医師不足」を解消する方法を呈示しますと、
1) 開業医と勤務医の所得差が2倍近くあることは厳然たる事実なのですから勤務医の給与を倍にして開業へのインセンチブを少なくすること。特にリスクの高い医療を行う医師にはそれなりの報酬を保証すること。
2) 開業医も地域の救急医療を担うことを義務づけること。
3) 情報公開を原則とした上で、リスクの高い医療を行った結果が悪くても医師の責任を追及しないこと。
1)についてはどこにそんな金があるのかという疑問もあるでしょうが、ではIMFにぽんと10兆円もくれてやる金がどこにあるのかと私は聞きたいです。
また3)については患者さん側から反発がありそうですが、医者は失敗しようと思って医療を行っている人は一人もいません。これは「失敗し放題」を容認するということではありません。治療経過の公開、情報公開を義務づけた上で結果責任は問わないという意味で、裁判を起こしている患者さんの多くは「事実を知りたい」ということですから神の業を行っている神ならぬ医師がどこで限界があったのかを知ってもらうことが医療の現実を知ってもらう上でも大事だと考えます。昨日の投稿にある不昧因果(因果をごまかさない)という姿勢があれば良いのです。2)は既に一部の地域では行われていますが、科を問わず全ての開業医は交代で夜間休日の救急当直をすることを義務づけ、病院勤務医は入院になった場合にのみ夜間休日診療するようになれば公平になります。
我が病院の我が科も3人いた医師が秋に一人辞めて現在小生を含めて二人体制になりました。週3日は50歳の私が当直をしております。前に勤めていた病院でも同僚だった医師が来春開業すると聞いています。現場の医師が立ち去り型サボタージュによる医療崩壊についての正しい情報をいくら発信しても正しく聞く耳を持たなければ正しい対応は出てこないでしょう。
「医師不足」ではなく「過重労働に耐えてリスクの高い医療を行う勤務医の不足」であることを重ねて主張します。