マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ショパンの舟歌

2018-06-09 17:32:20 | ラ・プロムナード・ミュジカル
ショパンが、舟歌(バルカローレ)と名付けた曲は作品60の1曲のみ。
バルカローレとは、ヴェネツィアのゴンドラの船頭の歌で、本来8分の6拍子ですが、ショパンは8分の12拍子にし、旋律線をより長く流暢なものにしています。
1845~46年にかけて作曲されました。
このころショパンは、恋人であるジョルジュ・サンドとの破局の寸前で、自身の病気も悪化し、心身ともに疲れ果てていたと言われています。
秘められた思いがにじみ出るような、静かで美しいこの曲を、ショパンは「二人以上の前では弾いてはならない曲」と語ったとか。
ゴンドラの歌のリズムを採用したにもかかわらず、風光明媚なイタリアを描写したのではなく、「船の上で、自分たちのことしか考えない二人の恋人の、劇的な対話を表そうとしている」ような曲でもあります。
構成の美しさ、主題材料の発展の精密さ、旋律や和声の優雅さなどにおいて、ショパンの作品中もっとも完璧なものと言えるでしょう。
その分、技巧的にも表現的にも非常に難しい曲でもあります。

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ショパン:即興曲(全曲)、舟歌、子守歌 & 幻想曲(期間生産限定盤)
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