マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ベートーヴェン:月光ソナタ

2012-12-01 19:02:31 | ラ・プロムナード・ミュジカル
コンサートは明日、寒くなるようですね。
演奏する方も、手が冷たくなると困るし、ご来場の方々も寒いと出かけにくくなるでしょうし…。
カイロを持って頑張ります。

さて、ベートーヴェンの月光ソナタについてです。
私が弾くのは1楽章だけ。
2,3楽章は米田さんが弾きます。
米田さんは、赤ちゃんが生まれて7か月、ゆっくりした曲を練習する気持ちのゆとりが持てないようで、1楽章は弾かないとのことだったので、私が弾くことに。
何と言ってもよく知られているのは1楽章ですから、「月光」と書いてあって1楽章がないとがっかりかも…と。
このソナタは、正式名称はソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2「月光」です。
ベートーヴェン自身の命名は「幻想曲風ソナタ」です。
「月光」という俗称は、レルシュターブがこの曲の1楽章を形容して、「スイスのルツェルン湖の月光の波にゆらぐ小舟のよう」と言ったことに端を発したと言われています。
作曲されたのは1801年、19世紀開幕を告げるのにふさわしいロマン的ムードの曲です。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタは全部で32曲、初期のころは4楽章形式で作曲していましたが、折に触れて、どれかの楽章を省いて3楽章にするという試みをしていました。
冒頭のソナタ・アレグロ楽章を省略したのがこの曲で、その結果、「緩徐→中庸→急速」という、終わりに向かってテンポを上げて行くという楽章配列の効果は大きかったようです。

緩徐楽章の1楽章、4/4拍子かと思いきや、意外に2/2拍子なのです。
あまりゆっくり弾き過ぎるのはダメだということです。
そして、フォルテも出てこないしほとんどピアノ、ピアニッシモなのですが、ベートーヴェン自身が「この楽章全体を通じて最もデリケートに、ソルディーノ(弱音ペダルのこと)なしで演奏せよ」と但し書きをしています。
なので、弱音ペダルなしで非常に弱い音を出す努力をしていますが、なかなか難しい…。
2楽章は、同主長調の変ニ長調で、1楽章とはうって変った軽快な表情と、不気味なトリオの気分が美しく調和していて、1楽章と3楽章をうまく結びつけています。
3楽章は、また嬰ハ短調に戻り、堂々たる構成とピアノ的効果と音楽的内容を持って、激しい感情が表現されています。
この楽章で初めてフォルテが出て来るので、それもまた効果的です。
ピアノを弾く人にはとても人気のある楽章です。

お勧めCD
ルービンシュタイン ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」&第14番「月光」&第23番「熱情」&第26番「告別」
ホロヴィッツ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「月光」「悲愴」「熱情」他
アシュケナージ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ<悲愴><月光><熱情>




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