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No801『じゃりん子チエ』~大阪弁がたまらん、涙と笑いの人情アニメ~

久しぶりに、映画館でころころと笑いたくなり
最後には、じーんと目頭が熱くなる作品に出会った。
けなげなチエちゃんの奮闘ぶりが、実にかわいらしくて、
大阪西成の萩之茶屋の映画の世界にすっかりはまった。
監督が、なんと高畑勲というから、びっくり。

大きな口で笑ったり、しゃべったり、
一見、がさつにみえるチエちゃんが、
多少、口はわるくても、
どんなに気が優しくて、頑張り屋さんで、とうちゃん(テツ)思いで、
しっかり者で、さみしがりで、かあちゃんが大好きか、よくわかる。

遊園地のシーンがどんなに楽しく、おかしく、
お母さんの膝の上で、眠ってしまうチエちゃんが可愛らしいことか。
しゃべるときは、大きな口だけど、
眠っているときの横顔の輪郭とかは
ジブリアニメの可愛らしい女の子の顔だった。

西川きよしが声の小鉄という、チエの飼い猫と
横山やすしのアントニオという、やくざの親分の愛猫の対決も
なんとも楽しく、涙を誘い、笑いを呼ぶ。
猫が日本語をしゃべる、しかも、漢字で、というのが笑える。

父親のテツのほうが、バクチが好きで、
いじけたり、かんしゃく起こしたり、こどもみたいで
でも、なんか共感もできる。

いっぱいの大人たちを相手に
チエちゃんが、気丈に、たくましく生きていく姿は
本当に頼もしく、惚れ惚れした。

百合根光三というバクチ打ちの親分(芦屋雁之助)の豹変ぶりもかわいらしく
(愛猫アントニオと、目の動きがおんなじ!)
担任の先生、その父親といい、魅力的なキャラばかり。
出てくる大人たちが、だれも愛敬があって、にぎやかで豊かな世界。

ザ・ぼんちのおさむとまさとが、縁日の屋台でカルメラを売る
チンピラの兄弟で、いつもチエには頭が上らなかったり、
チエをいじめる小学生のクラスメイトに、島田紳助と松本竜介
迫力満点のばあちゃんに京唄子、
気弱な担任のセンセイに桂三枝、
センセイの父親で、ど迫力のおっちゃんに笑福亭仁鶴と
皆、めちゃめちゃ上手いというわけではないが、
大阪弁のはぎれのよいセリフとリズムで、ぴったりはまっている。

私もチエちゃんが住んでいる西成の萩之茶屋という街の空気を吸って
一緒に生きてるような気になった。
街を通る環状線(?)や、お月さまや、風や、ごみ箱とか、街の描写もよかった。

チエちゃんのお母さんと公園で弁当を食べたり、
ぜんざいを食べたり、朝食をつくってくれたり、
食事の場面もいいし、
母の鏡台の大きな鏡を見て、「いろいろやりたなるわ~」と言って
あれこれ髪型を変える姿の楽しいこと。
脚本も、あれこれ盛りだくさんながら、
人の心を微妙にくすぐるところがいっぱいで、ようできてると思いました。

テレビで放送されていた当時、愛知県に住んでいて
なんか、大阪弁の濃ゆい世界で、暴力もいっぱい、乱暴な言葉ばかりにみえて
実は、チャンネルを合わせたことがなかった。
大阪に住んで云十年、というわけではないが、
(多分、大阪に住んでても、住んでなくても、きっと感想は同じだろうが)
今回、ヌーヴォでの「浪花の映画大特集」の機会に観れてよかった。
ずっと誤解してたと、今さらながら新たな発見ができ、
ちゃっかり、心の中に、チエちゃんという頼もしい友達ができた気分。

調べてみると、81年春の高畑勲監督による映画化が先で、
その秋からテレビ放送が始まったそうです。
日曜、月曜と、あと2回上映がありますので、ぜひお薦めです。

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