温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

トラバーチン温泉 Travertine Hot Springs

2017年11月21日 | アメリカ
カリフォルニア州中部のモノ郡ブリッジポート(Bridge Port)という街には、アウトドア愛好家の間でとても有名な野湯があるらしいので、どんな温泉に出会えるのか、実際に行ってみることにしました。


 
今回目指す温泉の名前はトラバーチン温泉(Travertine Hot Springs)。デジタル大辞泉によれば、トラバーチンとは「大理石の一種。緻密な縞状構造をもつ。湧泉や地下水の炭酸カルシウムが沈殿してできる」と説明されており、漢字だけで表現すると「石灰質化学沈殿岩」と言われることもある鉱石の名称です。温泉ファンにとっては、二股ラジウム温泉や夏油温泉の石灰華ドームをはじめ、重炭酸塩を多く含む温泉でしばしば見られる石灰華としておなじみの現象であり、拙ブログでは以前に巨大なトラバーチンが世界遺産として認定されているトルコのパムッカレを取り上げております。そんなトラバーチンが温泉名になるほど、立派な石灰華の堆積ができあがっているのでしょう。

ブリッジポートの街はずれにトラバーチン温泉へ向かう一本道があり、その道に入口には看板が立っています。


 
その道の途中には一応ウエルカムの看板が立っているので、行政機関ではこの温泉を観光地として認識していることが窺えるのですが、温泉までの坂道は未舗装路が続き、しかも所々大きくえぐれているので、適切にハンドルをさばかないとスタックさせてしまうかもしれません。とはいえ、プリウスでアクセスしている人もいたので、運転技術さえあれば問題ないかと思います。



未舗装路のどん詰まりが駐車場になっており、トイレも設置されていました。この地域では名の知れた観光名所なのかもしれません。ちなみに右端に写っている白いSUV(JEEP Renegade)は、今回の私の旅の相棒です。


 
駐車場付近には淡い赤茶色に染まったテーブル状の台地が広がっており、その一部が湯溜まりになっていました。そして湯溜まりではグループ客が水着に着替えて湯浴みを楽しんでいました。台地の中央付近にはお湯が流れる幾本かの亀裂が走っており、その筋の最上流部ではシュワシュワと泡や音を立てながら温泉が湧出。そこで湧いた温泉が湯溜まりへと流れていたのでした。でも私が目指しているのはここではありません。


 
駐車場からトレイルを進んで小さな丘を越えると・・・



視界が一気に開け、シエラネバダの山稜が左右に広がる雄大な景色が眼前に広がりました。
そして壮大な絶景を背景にしながら、丘の下で大きな石灰華ドームがデンと構え、そのかたわらに小さな露天風呂がお湯を湛えていました。目指していた温泉露天風呂はここです。


 
丘から下って、石灰華ドームを正面から眺めてみました。横に長いコッペパンのような形状をしています。


 
ドームの周辺でも温泉が自噴しており、小さな湯の池を形成していました。そのいずれもが小さく且つ浅いため、足湯はできますが、全身浴には不向きです。



横に長い石灰華ドームの先端に複数の湯溜まりができており、そこが有名な入浴スポットになっているのでした。



湯溜まりは様々な大きさがあり、温度も様々。温泉はドームの上から落ちており、流れ落ちるドームの表面は細かなフローストーンになっています。ドームの先端に並ぶ湯溜まりのうち、上から落ちてくるお湯が短距離で注がれる最も手前側のプールは適温で、そこから奥へ行くに従って徐々に温度が下がってゆく傾向にあります。最も奥にある一番大きな湯溜まりは、ぬるすぎて入浴には不向きでした。


 
ドームの真上には亀裂が走っており、各湯溜まりへお湯を注ぐ温泉は、この亀裂を流れているのでした。どこから温泉が流れてくるのか、亀裂を遡ってゆくと・・・


 
亀裂の終端は、このような温泉湧出ポイントになっていました。


 
温泉が自噴している穴に計器を突っ込んでみたところ、温泉の温度は65.5℃という高温でした。なおpH値は6.97です。湧出時こそ高温ですが、ドームの上を流れるうちに温度が下がり、しかも各湯溜まりへ分配される際にお湯の流れも細くなるため、末端へ落ちる頃には適温かややぬるめになっているのです。
このような立派な石灰華を形成する温泉ですから、そのお湯は重炭酸土類泉か塩化土類泉に属するはずであり、実際にお湯を手にとってテイスティングしてみますと、薄い塩味と弱金気味、弱炭酸味、そして土類感が得られ、その手のお湯にみられる典型的な特徴が現れていたのでした。



湯溜まり上のフローストーンにはお湯が滴り落ち、そのお湯は陽光を受けてキラキラと煌めいていました。
その場で水着に着替えて・・・


 
いざ入浴!
絶景を目の前にしながらの開放的な湯浴みはこの上なく爽快です。しかも長湯仕様の湯加減であるため、時間を忘れていつまでも浸かっていたくなります。
さすがに超有名な野天風呂だけあり、この日も次々に訪問者がやってきて、ここで湯浴みを楽しんでいらっしゃいました。人気を集めるのも至極当然の、ワイルドな極上露天風呂でした。



GPS:38.24569, -119.20413,

常時利用可能(ただしキャンピング不可)
無料
野湯につき備品類なし

私の好み:★★★

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