温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大船温泉 下乃湯

2009年10月14日 | 北海道


大船温泉は函館の東側に延びる亀田半島に湧く温泉です。この温泉には「ホテルひろめ荘」(南かやべ保養センター)があり、一般的に大船温泉といえばそこを指しますが、今回は同じ大船温泉でも知る人ぞ知る秘湯「下乃湯」をご紹介します。

まず大船温泉へのアクセスですが、函館から国道5号を北上して大沼で駒ケ岳の東側を走り、噴火湾に突き当たったら右折し、海沿いの恵山国道を走って旧南茅部町を目指します。鹿部の間歇泉を通り過ぎて大船集落に差し掛かったら、交差点に立つ「南かやべ保養センター」の看板に従い道道980号を右折して坂道をずっと登ってゆきます。「南かやべ保養センター」に行くならここから先も看板に従えばよいのですが、「下乃湯」には案内の類が全くありません。それどころか現地にも看板や表札はさがっていませんから、ここの文章や写真を参考にして見つけ出してください(私も迷いました)。

交差点(道道980号分岐点)から2km程で左手に砕石場が見えてきますが、そこで視線を右手に移すと谷に向かって一本の細いダートが下っていますので、その道を下りてください。200m程で道は途絶えて目の前に駐車スペースが広がりますから、そこで車をとめ、川に架かる橋を渡って対岸へ。対岸には茅屋然とした木造の建物が2棟建っており、右が民家で左が湯屋となっています。この民家に併設された湯屋が共同浴場として外来客にも開放されているのですが、お風呂に入る場合はいきなり湯屋に行かず、まずは民家(伊藤さん宅)を訪ね、ここで料金を支払ってください。余所の家のお風呂を借りるような感覚です。

湯屋はちゃんと男女別に別れており、脱衣所は古びてはいますが意外にも手入れが行き届いています。壁に掛かっているカレンダーが数年前のものであるのはご愛嬌。数段下がったところに設けられている浴槽は石組みコンクリート製で、男湯と女湯は板の壁で仕切られているものの、浴槽そのものは一つで男女が共有する形となっています。

湯船に張られたお湯は無色透明ですが、細かい湯の華が無数に舞っているので青白く濁って見えます。口に含むとマイルドな塩味とたまご味、そして粉っぽい味が感じられ、湯面からは硫化水素臭と油っぽい匂いがたちこめます。肌をさすると弱いながらつるすべ感が得られました。湯口からは熱いお湯が注がれていますが、木の栓が差し込まれているので湯量は絞られ、これによって湯温を調節しているようです。それでもやや熱めでしょうか。後から来た常連のお爺さんが湯口の栓を抜いたらお湯が大量にドバドバ注がれたので、湯量自体は豊富のようです。

お風呂を出て湯屋の表にまわってみると、源泉から導かれたパイプが中継設備を経てバスタブに接続されており、そこでパイプを通ってきたお湯が貯められていました。お湯はバスタブで湯船に注いでもよい温度まで冷まされてから湯口へと供給されているようです。
源泉がある川上の方を見ると、橋の上流左岸にも黄色く染まった沢が幾筋もありましたので、源泉がいくつもあるのか、あるいはひとつの源泉からお湯が洩れ出て幾条もの黄色い筋を作り出しているものと思われます。

看板も何もなく、しかも通りからちょっと入ったわかりにくいところにあるので、なかなか行きにくい場所かもしれませんが、温泉ファンなら必ず気に入っていただける素晴らしい温泉です。ゆっくりと時間の流れる静かな鄙びた木造の湯屋で、湯の華舞う白濁したお湯に浸かる幸せ。言葉に言い表せません。


橋を渡って右が民家(料金支払い先)、左が湯屋


手作り感たっぷりの送湯設備。
源泉から送られてきたお湯は画像中央のバスタブに貯められる。


橋から川の上流を見ると、左岸(画面右側)に硫黄で黄色く染まった沢が幾筋もみられ、
その沢からは湯気が立ち上っていました。


(分析表なし)
(おそらく、含硫黄-ナトリウム-塩化物泉)

北海道函館市大船町 地図

8:00~21:00
200円

私の好み:★★★

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2 コメント

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Unknown (Sinn/203JUB)
2012-10-13 21:01:34
ここは私も迷いましたね~
こちら大阪なんでなかなか行けないですけど、あの極上湯にまた浸かりたい~
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Unknown (K-I)
2012-10-13 23:24:16
硫黄感たっぷりの白濁したお湯に浸かると、えも言われぬ気分になりますね。ここはわかりにくい分だけ余計に秘湯度が増して、お湯に入れた時の喜びもひとしおでした。私もまた浸かりたいです。
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