函館のタクシーに乗るたび、運ちゃんが異口同音に「西ききょう温泉は凄いよ」と絶賛するので、物は試し、行ってみることにしました。五稜郭公園の電停からタクシーで2200円弱。周囲は何も無い原っぱで荒涼とした景色が広がる物寂しい立地です。グラウンドが隣接しています。温泉入口が見当たらずに迷いましたが、目の前のグラウンド使用受付に訊いてみたら、そこが温泉の受付を兼ねていました。
料金および下駄箱のカギと引き換えにロッカーキーをもらいます。下足場の隣には足湯スペースが設けられていますが、この日は蓋が閉じられ使えませんでした。
足湯(受付)と浴室の間にある休憩室には、温泉分析表が沢山印刷されて持ち帰られるよう束になっていました。お湯に対する自身の表れでしょう。
これはおそらく源泉が発見された当時の写真。
脱衣所は狭く、訪問時はお客さんで混雑していたため、みなさんスペースを譲り合いながら着替えていました。
(内湯は混雑のため撮影していません)
こちらの温泉の特徴は浴槽にヒューム管が使われている点。内湯と露天があるのですが、両方とも浴槽は輪切りにしたヒューム管が3本ずつ並べられています。いかにも既製品らしく、管の縁の(ソケット状の)出っ張りがオスだったりメスだったりと様々。
内湯のヒューム管は直径が2メートルほど。上述の通り浴槽は3つあって、一番手前がややぬるく、中央が普通の湯加減、奥がかなり熱めという設定になっていましたが、常連さんが湯口の蛇口を各自で勝手に調整し、自分の好みに湯加減を変えていました。でも、熱くて火照る泉質のお湯なので、みなさんお湯には長く浸からず、すぐに上がっては洗い場でグッタリと胡坐をかいていました。
カランはお湯と水の蛇口が10組。お湯は源泉が使わていてめちゃくちゃ熱く、水の蛇口にはネットが被せられていました。異物が混入しやすい地下水を使っているんでしょうか。
一方、露天のヒューム管は若干大きく直径が2.5mぐらい。こちらは脱衣所に最も近い側がちょうど良い湯加減で、中央がピリピリくるほどの熱さ、一番奥(内湯との出入口傍)は水風呂みたいなぬるさでした。
ぬる湯とあつ湯ではお湯の濁り方が異なり、ぬるい方は透明に近いのですが、熱くなるほど貝汁のような濁りが強くなる傾向にあるようです。あつ湯とぬる湯を何度も往復するお客さんが多く、サウナのようにこうして温度差を楽しむのがここの流儀なのかもしれません。
塩味はっきり+薄い出汁味+いかにもカルシウム的な味+金気といったような色んな味がミックス、金気臭と海水臭が混ざり合った匂い、トロミがある濃いお湯で、キシキシ引っかかりの強い浴感。お湯自体が熱い上に濃厚な食塩泉なので、ものすごく温まりが強く、むしろ冬ですら火照ってしまうほどです。
露天の床はカルシウムの析出で石灰棚が千枚田状態に形成されており、温泉ファンなら間違いなく興奮してしまうはず。お湯の濃さがこうした状況からも実感できます。
内湯・露天ともに浴槽の湯口は蛇口(バルブ)なのでお客さんが締めちゃうと供給は止まってしまいますが、そうでなければ常時源泉そのままの熱湯が注がれ、これを冷ますために水も同時投入されています。湯船に入るとザバーっと一気に溢れ出るので実に豪快な気分を味わえました。
頻繁に係りのおじさんが見回りに来ており、お風呂に対する熱意が伝わってきました。
質素な建物ですが、お湯の良さに惹かれて訪問時はお客さんで大賑わい。タクシーの運ちゃん曰く、朝も混雑しているんだとか。また、源泉が発見された当初は無料で入浴できたんだそうです。
函館には温泉が沢山湧いていますが、ここはその中でも屈指の質を誇るお湯ではないかと思います。
2号井
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 68.2℃ pH6.6 400L/min(動力揚湯) 溶存物質10.65g/kg 成分総計11.21g/kg
JR江差線・七重浜駅から徒歩30分(約2.5km)
(でも解りにくい場所なのでタクシーで行った方がベター)
北海道函館市西桔梗町444-1 地図
0138-49-7294
5:00~23:30 無休
370円
ロッカーあり、シャンプー類やドライヤーは無し
私の好み:★★★
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