The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

グラナダ版「犯人は2人」 (1)

2015-06-09 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 「犯人は2人」 : The Maser Blackmailer (1)



1992年放映


正典のタイトルは The Adventure of Charles Augustus Milvertonでグラナダ版
で ”The Master Blackmailer (恐喝王)”となり、日本版では 「犯人は2人」と
なっています。「犯人は2人」では内容ネタバレになるのではないかとの意見もあり
「恐喝王ミルバートン」と言うタイトルで出された翻訳本もあります。
今回はTV放映時タイトルの「犯人は2人」を取りました。
云うまでも無く、BBC版 ”His Last Vow"  のモチーフです。

正典は短編で(未だ英語版を読んでいないのですが、正典はたった12ページだそ
うです。) これまで正典に一番忠実に描かれているとされていたグラナダ版が 
今回は正典には語られていなかった部分を深く掘り下げ、登場人物の背景を膨ら
ませ2時間特番として映像化された作品で、グラナダ版シリーズの中で最高傑作
と言われている作品です。

ホームズの動きも初期作品の様にキビキビして 一味違った姿が見られるし、
221Bの部屋の様子もライティングのせいか今迄とは別物の様に鮮やかです。
改めてジックリ見直してみると 如何に多くの点でBBC版に影響を与えていたか
感動さえ覚えました。 あちこち気付く嬉しさが多いのもこの作品の楽しみです。
何より、この作品は色々な点で話題になった場面があり、ドッキリしたりジェレミー
萌えのファンにはこたえられない場面があったり あれやこれや楽しませてくれる
作品です。(これについては追々・・・)。

今回HDリマスター版が入手出来なかったので画像が余り鮮明で無いのが残念
です。




オープニングシーンもこれまでの雰囲気とは全く違って、お馴染みのテーマ曲も無
し、クレジットだけの静止画で鳥の羽ばたきの音だけ。
出だしから おッ!何時もと違う。 と期待感膨らみます。

12年前、パリにてレディー・ダイアナが不倫相手の伯爵に書いた手紙を従僕のベ
ルトランに託したが、伯爵が暖炉に捨てた手紙を回収し馬車で待つ人物に渡し
多額の報酬を得た。



後日レディー・ダイアナはその男に脅迫され金を要求される。
「何故今・・・情けをかけて下さい。 夫には内緒に」と慈悲を乞うも、男は
「情け等無縁だ」と金を要求する。
レディー・ダイアナは「一銭も払うものか。 卑怯者!」と罵りその場を去りました。


12年後、ホームズは地方の上流階級の老婦人から孫のクロフト子爵兄弟に絡む醜聞事件で
孫を窮地に陥れた男に関しての調査を依頼される。


(この老婦人撮影当時100歳を超えるお年だったそうです)。
このシーンでワトソンは外聞を憚るためか同席を許されなかった様で 庭の片隅
で手持無沙汰そうにブラブラ。
ホームズがご婦人の手にキスをするのも優雅で珍しいシーンです。


↑ CAM Devil 見えにくいので黄色で囲みました。

唯一の手掛かりと思われる詩集の見返しに書かれていたのは ”CAM  Devil ” 
(これに関しては、字幕版では確か ”来たれ悪魔” つまりCAMをComeと解釈
していた様な記憶がありますが、そのまま ”CAM は悪魔だ” の解釈でも良い様
な気がしますが)。CAM=Charles Augustus Milverton 
(BBC版では”Charles Augustus Magnussen”)
ホームズは他の人達も救ってあげたいと調査を引き受けます。
 
「他人の弱点に付け込む にこやかで心は石の男だ。 恐喝王だ。噂を耳にするが
誰もその名前を知らん」とホームズ。


↑ CAMについて話し合うホームズとワトソン ↑ここでも又鏡登場です


↑ 考えながら実験中のホームズ。 何か爆発したりしてます。


ワトソンが例の詩集を読みたいと言うと、ホームズは 「後にしろ。 全精力をゴシッ
プ欄に傾けろ。 草地だよ、ワトソン。 毒蛇は草地に行く」と言います。


↑ CAMの屋敷内ー部屋の中 : アテナ像が飾られています
  アテナ像はBBC版CAMのマインドパレスにも置かれて初めて見た時から妙に
  気になってました。

一方 エヴァ・ブラックウェルは結婚を目前にしていたが、同じく結婚を控えていた親友の
シャーロッテの婚約者であるドーキング大佐は実はバイで男性歌手の恋人も持っていた。
ところが大佐は恋人に裏切られ 彼に宛てた手紙をもとに脅迫され 挙句の果てに暴行を受け
その上その手紙を婚約者に送られてしまった。
シャーロッテは衝撃を受け婚約を破棄。
その醜聞に耐えられずドーキングは遺書を残しピストル自殺をする。





その遺書の中にホームズ宛の手紙を見つけたレストレード警部は事情を確認する為ベーカー街に
赴いた。

 
(実際はこの手紙を見つけた当番兵が警察の隙をみてこっそりホームズに届けていた為余計にレス
トレードの疑惑を招いていた)。
「大佐は強請られていた?」と訊ねるレストレードに 「ご明察です。 大切なのは大佐以外にも
犠牲者が居る事だ」とホームズ。



恐喝事件である事を示唆したホームズは 封筒の中から「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン
美術商、住所 アップルドータワー、 ハムステッド」の名刺を見つけた。
ホームズは 「50人の殺人者と対決したが 最も凶悪なヤツにもこれ程の憎悪は感じなかった。
この男程にはね」と言い珍しく嫌悪感を隠しません。

ホームズとワトソンはCAMの屋敷を偵察にいきます。
”APPLEDORE TOWERS”  と表札がある堅牢な邸宅です。



「自分で自分の牢獄を建設したんだ」とホームズが感想を述ベているとミルバートンの乗る
馬車が通り過ぎました。 (馬車にもCAMの文字が書かれています)



「今夜ある画廊に出向いてくれ。 次の犠牲者を探し出さなければならない。 今夜敵の正体
を探る。 評判や背景をね」とホームズはワトソンに言います。





・・・・・to be continued です。




→ グラナダ版「犯人は2人」 (2)

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