写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

輝きを取り戻す

2016年11月09日 | 生活・ニュース

 60歳を前にしたころ岡山のマンションの10階に住んでいた。毎朝出勤時、マンションの南側にある駐車場に向かう時、奥さんがベランダから見送ってくれた。その時、私を見下ろしながら眩しそうな顔をしてみせる。「頭が大分薄くなって、上から見ると眩しいわ」と、よく冷やかされていた。

 あれから15年が経った。最近ではもうそんなことを言われる余裕もないほど頭頂部は薄くなり、あまつさえ輝きを増してきたように思われる。こればっかりは最近の技術をもってしても、どうしようもない。

 そんなことを感じているとき、小用を足すためにトイレに入った。男子用の便器のフラッシュバルブをマジマジと見ると、ほこりをかぶっているだけでなく、表面が少し曇って見える。清潔が第一のトイレがこれではいけない。お客さんに対しても不快感を与えてしまう。

 早速手入れをすることにした。乾拭きをしただけでは曇りは除去できない。ならばと買い置いてある秘密兵器を取り出した。「ピカール 金属みがき」(日本磨料工業製)である。ステンレス・真ちゅう・銅・鉄などの金属を磨く時に使用する液状のものである。少量を布に付けて磨くと、新品の時の輝きを取り戻した。気をよくして、洗面所や風呂の混合栓など、本来光り輝いているべきところを全て磨いていった。

 たちまち家中のクロムメッキの個所が、イルミネーションを点灯させた時のようにキラキラと光り、まるでシンデレラ宮殿のようになったといえば言い過ぎだが、確かにきれいになった。初めは光っていたものも、何の手入れもしなかった内に、いつの間にか輝きを失ってしまっていた。

 若いころは光っていなかった我が頭頂は、いつの間にか光り輝き始めているのとは真逆である。皆さんのご家庭でもこの「ピカール 金属みがき」で、光り輝く家をぜひ取り戻してみてはいかがですか。こればっかりは人には使えませんが、人に対しても何かを塗れば一瞬の内に光り輝くようになるものって、ありませんかねえ。