写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ジョウビタキ

2006年03月18日 | 季節・自然・植物
 ダイニングルームの出窓の外に、18年前に植えた花水木が、大きく枝を伸ばしている。今朝は、小枝の先々まで、こぬか雨の滴がついて光って見える。

 10日くらい前のことであった。窓際のパソコンで遊んでいると、左の目の端に、何か小さなものがちらちらと動くのに気がついた。

 ジョウビタキがきていた。橙色の腹に真っ黒い羽根。その羽根の両側には、白く大きな斑点がある。まるで紋章をつけているように見える。

 子供のころ、庭木に良く飛んできていたので知っている鳥だ。母はこの鳥の名を、「紋つき」と教えてくれた。

 ブラインドを下ろした窓を隔て、目の前わずか2mの所でしきりと何かをしている。息を潜めて観察してみた。

 5月初旬の開花に向けて、花水木は無数のつぼみをつけている。所々には、昨年つけた実がほんの少しまだ残っている。

 ジョウビタキは、それをついばみに、やって来ていたのだ。今見てみると、もう枝には1粒も実はついていない。

 近くの小屋の屋根に落ちているものをくわえて枝に戻り、飲み込んだ。何度もデジカメに収めようとするが、飲み込むとすぐに飛び去っていく。

 なかなか良い写真を撮ることが出来ない。飛び去った後、屋根に落ちている実を見ると、あんなに鮮やかに赤かった実が、干しぶどうのように黒くしわになっている。

 これでは余りおいしくはなかろうに、山にはえさがないのだろう。毎日やってくるようになった。それにしても来る時はいつも1羽である。

 鳥は、必ず、つがいで行動すると聞いている。この時期だから幼鳥ということもあるまい。とすると、独身主義か、はたまた、バツいちなのか。つまらぬ心配をしてみる。

  ジョウビタキが飛んできてから、カメラを取り出すのではもう遅い。そうだ、これからは、三脚に乗せたカメラを窓際にジョウビしておくことにしよう。

 時折吹き抜ける春疾風で、花水木の枝が大きく揺れた。
  (写真は、花水木の実をついばむ「ジョウビタキ」)

4 コメント

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いいですね。 (くじらぐも)
2006-03-18 21:26:27
もう小鳥が遊びに来ることになりましたか。いいですね。窓際でしたら、その観察も容易ですし、えさ箱や水のみ台などおくとお友達になれたりして。。。などと想像を膨らませてしまいます。



素敵な光景ですね。



ハートリーの刺繍素敵に仕上がりましたね。

上目使いがまたキュート
くじらぐもさん (ロードスター)
2006-03-19 07:33:52
今朝は、ヒヨも立ち寄って来ました。こちらも1羽だけでしたが・・・

そちらの春はいかがですか?

刺繍、もう卒業です。いい経験でした。
常備 (toroma)
2006-03-19 16:42:47
いい写真ですね。羽根の紋もはっきり写っています。

すばらしい! 

橙色が似合うのはミカンとジョウビタキだけ、と言われているらしいですね。toromaは城山でみたような(確認している間にいなくなった)気がします。 少し暖かくなるといなくなったたようにも記憶しています、冬鳥でしょうか。 本当に常備されていたのですね!!!
toromaさん (ロードスター)
2006-03-19 19:07:34
エッセイを書くために、題材を探す目つきが鋭くなっていませんか。