写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

如 月

2017年02月01日 | 季節・自然・植物

 つい先日、年が明けたと思っていたら今日からもう2月。「年を取ると1年が過ぎるのが早いのう」などと言いながら、人並みに年を重ねているが、ただ1月の暦をめくって2月の暦を出すだけでは能がない。少しばかり言葉の意味を調べてみた。

 1月は陰暦でいうと「睦月(むつき)」で「むつびづき」「むつましづき」ともいい、語源的には、新年を迎えて親疎ともども往来して仲睦(むつ)まじくするから(『奥義抄(おうぎしょう)』ど)だという。
 
 ならば2月の「如月(きさらぎ)」はどうかというと、本来、新暦では3月頃を指す言葉で中国最古の辞書に「二月を如となす」という一文がある。「如」とは、何か1つが動き出すと、それに従い他のものも次々と動き出すという意味で使われていて、春という季節は万物・自然・草木などが次々に動き出す頃であることを意味している。

 日本で「きさらぎ」と読まれるようになったのには、いくつか 由来があり、主なものとしては、次のようなものがある。
・衣更着:寒さがぶり返し、衣を更に着る月であるから
・生更ぎ:春に向かって草木が生き返り、芽吹く季節であるから
・気更来:陽気がさらに増す季節だから
・来更来:お正月に迎えた春が、更に春めいてくるから

 2月の呼び方には如月以外、次のようなものもあるという。
 ・仲春(ちゅうしゅん)・雁帰月(かりかえりつき)・梅見月(うめみつき)・木芽月(このめづき)・雪消月(ゆきげしつき)・小草生月(おぐさおいつき)・初花月(はつはなつき)
 いずれもが 春の訪れを感じさせる別名といった印象のするものばかりである。

 1月は行き、2月は逃げる、3月は去るなどというだけではなく、古来よりの美しい呼び方を時には日常会話でも使ってみたいとも思うが、待てよ、12月まで全部覚えているかなと、慌ててネットで調べている心もとない日本人がここにいる。