写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

褒められ上手

2017年07月14日 | 生活・ニュース

 最近は人から何かと注意されることはあっても、褒められるというような殊勝なことは、ほとんどなくなった。その昔の、かすかな記憶をたどって思い出してみると、人から褒められるということは、何であれ、とてもうれしい気持ちになるものであった。 

 人は褒められると「この人から認めてもらえた」という感情が生まれ、喜びや安らぎと同時に信頼関係が出来上がり、物ごとが前向きにスムーズに進む。これが褒めることで得られる最大のメリットだという。「褒め上手」という言葉があるように、人を褒めることは人間関係をスムーズに保つための、生きていく上での知恵であろう。

 私はというと、昔から人を褒めるということが中々できない方の人間である。人の欠点や失敗の方が先に目につくというわけではなく、褒めるポイントもちゃんと気が付くのだが、それを素直に口に出して褒めるということができない。人を喜ばせることに照れを感じるからかもしれない。

 人を喜ばせるのに、何も照れたりする必要はないが、人は褒められたときに照れる傾向がある。褒められた時の鉄則は、まずは「ありがとう」と感謝する。続けて、もう一言「おかげさまで」とか「あなたのような人に褒められて」などと、謙虚さを示す言葉を返せば完璧だという。 

 大抵の人は褒められると、「そんなことはありません」などと相手の言ったことを否定したりするが、ここはきちんとその評価を受け入れて、照れたりせずに謙虚に感謝の言葉を返したい。そういうことで「褒められ上手」を演じたいと思う。褒めてくれた相手も喜ぶというものであろう。

 褒めるためには、相手に対して鋭い観察眼を持っていなければいけない。漫然と対していたのでは、相手の長所も見つけることはできない。かといってあまりにじろじろ上から下まで見るのもいかがなものか。結構人を褒めるのは難しそうだ。先ほど美容院へ出かけた奥さんが戻ってきたら、さ~て、なんといって褒めてみようかな。照れずに言えるかな? 思っただけで顔が赤くなってきた。