まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊NEWSLETTER780

2013年01月29日 |  マツタケの林地栽培 

2月2日(土)、第374回マツタケ山づくりを行います.午前10時に京都市左京区岩倉香川山(自称)にお集まり下さい.2日は、すっかり春めくようです! (ブログ下記の§活動拠点へのアクセスを参照下さい).男厨シェフは川崎泰弘さんです.他の方もお手伝いのほどよろしく願い上げます. 当日の活動報告は池内正憲さん担当です.

紛らわしいきのこ販売、京都に登場!
 前回の活動日に、「広島のどこかでマツタケの人工栽培に成功したんですって!」と質問を受けた.1月24日付けの京都新聞朝刊の記事とピンときた.珍しく読んでいて,実は不愉快な記事と思っていたが、それをこらえて「真っ赤なウソですよ」と説明.その段階でも、JAS法に抵触する恐れ(注)と表現に問題があるが、その記事に触れることはすまいと考えていた.
 2003年に、ハナバナしくテレビや新聞に登場、その後シイタケの変形であると完全否定された.まさか誤解する人などいるものかと考えていた.が、そうではないらしい.他のメンバー数名にも、同じ質問をされた.そこで経緯を説明することにしました. 
 注:JAS法では、きのこの紛らわしい商品名、例えばヒラタケを「シメジ」と称したり、ブナシメジを「○○ホンシメジ」と名付けるなどは消費者保護の観点から薦めてはいない.この法律の目的(第1条)は、「適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し、普及させることで、農林物資の品質の改善生産の合理化、使用や消費の合理化を図るとともに、農林物資の品質についての適正な表示を行わせることにより、一般消費者の選択に資すること」などです。 

先ずは、京都新聞、山下 悟氏の記事を全文引用するのでお読み下さい.
「松きのこ」本格生産へ
「京丹波キノコ園」(京丹波町質美)が今年から、シイタケの変種「松きのこ」を本格生産する。マツタケに似た豊かな香りと、生でも味わえるうま味が特徴。「丹波マツタケ」で知られる同町内に人工栽培の工場を設け、「新たな地域の特産に」と期待している。松きのこは、広島県世羅町の「世羅きのこ園」が十数年前、マツタケとシイタケの菌を共生させ、突然変異で生まれたという。生産方法は門外不出だったが、4年前にテレビ放送で知った京丹波町本庄の団体職員中西英夫さん(49)らが直談判。熱意が通じて、菌床の提供や栽培管理の指導を受けることになった。昨年8月、地元住民で「京丹波キノコ園」を設立。ハタケシメジを人工栽培する第三セクター「瑞穂農林」(同町保井谷)が以前使っていた同町質美の工場を、町と地元区から借り、生産体制を整えた。現在の生産量は1日約10Kgだが、今秋には1日約80Kgに増産する。100gあたり600~千円。同町のスーパーや道の駅などで販売しており、日本料理店などにも販路拡大を目指す。問い合わせは京丹波キノコ園 0771(88)0196。(山下悟)京都新聞 2013年1月24日付朝刊 
という記事が,誤解を生んでいると思われる.
 
そりゃ~、そうだろう! 
 人は、見たり,聴いたりしたことを脳に記憶されている自分の思いにあわせて解釈する.丹波まつたけの産地で、まつたけに似た豊かな香りがある「松きのこ」を人工栽培とあれば、シイタケの変種がかすんでしまいマツタケの人工栽培成功と読んでしまうのである.それを狙ったと思いたくはないが・・・.
 
人工栽培マツタケの報道続出
 2003年4月19日の日経新聞朝刊、毎日新聞,中国新聞,朝日新聞.テレビではTBS,日本テレビ、NHKニュース10,テレビ朝日ニュースステーションなどが「これでマツタケがドンドン食える!」といいつつ、スタジオで旨そうに食って見せたのが、ことの始まりであった.久米宏キャスターの嬉しそうな顔が、未だに目に焼き付いている.ご存じない方は、次の中国新聞2003年5月29日付け記事をご覧下さい.  

 広島県甲山町川尻で「人工栽培融合松茸(まつたけ、写真1)」を生産出荷する東洋きのこ農園(東山正社長)は、同町小世良の農産物直売施設 「甲山いきいき村」にレストランを出店する。今のところ七月一日の開店を予定。人気の高まっている「融合松茸」を中心に、きのこ類と地元産野菜を使ったメニューを提供する。
 レストランはいきいき村の二階で、約三十席。売り上げが振るわず、今年一月末に閉店したいきいき村直営のレストランのあとを受け、東洋きのこ農園が運営を受託することになった。
 同社によると、「人工栽培融合松茸」は、マツタケとシイタケをかけ合わせて開発したきのこで、形や香りはマツタケに似てお り、味はシイタケのようなうま味がある。菌床に菌を植え付けて約百三十日で収穫できる。昨年九月末から本格生産に入り、新聞、テレビで紹介されて人気が急上昇。一般客向けに、宅配便を使って販売している二百グラムのセット(三千円)は三~四週間待ちの状態という。
 レストランでは、てんぷら、サラダなど約二十のメニューを用意。町内の農産加工グループなどが地元産野菜やコメを使ったメニューをこの中に組み合わせることも今後検討していく。
 いきいき村の橋川正治店長は「二階というハンディもあって、前の店は振るわなかったが、融合松茸は口コミだけでも十分集客できるだろう」と期待している。中国新聞2003年5月29日

 彼らの舌や嗅覚がどうなっているのか考えもせず、「ふざけた話だ」と思い、当然のごとくNHKにも抗議のメールを入れた.中国新聞にあるように,今でもレストランにこのきのこを用いた料理があるか調べて見た.インターネットでは、甲山いきいき村は元気のようだが、レストランにこのきのこを素材とした料理を見つけることができなかった.どうなったんだろう! 余談になるが、甲山いきいき村の傍に悪名高い「まつたけ村」がある.広島産でないものを広島産で販売する実績がある(東京築地市場談).岩手県沿岸にも買いに来ている.

「人工栽培融合松茸」の正体―イカサマツタケ― 
 山口県下関市在住の農芸化学「研究者」が、シイタケとマツタケの細胞融合で人工マツタケを作る栽培法(注)を、広島県の引き出物販売業者に売り渡した.買った業者が生産・販売に乗り出したのである.「東洋きのこ農園」が持ち込んできた「マツタケ」は、人工の香りを噴霧していて「これはおかしい」と思ったと東京青果の部長さんから当時伺ったことがある.注:実際は,それよりレヴェルが低い、菌糸の対峙培養であるらしい.
 きのこもプロトプラスト(細胞の細胞壁を除去した原形質の塊で球体)にはなるが、異種間の細胞融合に未だに成功していない.変わりシイタケのつくり方は,いたって簡単と思える.きのこが大きくなる培地を用いる.形態的突然変異を起こす頻度を上げる.変異率を上げる因子になにを用いるかで生産者の人間感が現れる.しかし、どれにしても歩留まりは極めて悪いだろう.東洋きのこ農園のも、ロスが大きいと聞いた.
 例えば、きのこのハウス栽培室の換気を悪くすると二酸化炭素濃度が高くなる.すると、きのこは形が大いに変わる.その中からまつたけに似たきのこを選別すれば良い.これでは新商売にはつながらないため、マツタケの菌糸を入れて栽培したというのがミソでありウリである.しかし、マツタケの菌糸を大量に得るには培養期間が長い.ヴィタミンB群が必要なため、培地コストも電気代も高くなる.また、同時培養すると、シイタケの生長速度はマツタケの20倍も速いので、シイタケがマツタケを駆逐するはずである.異種菌糸同士の接触で融合なんて起こりっこない.でなければ,エサのあるところでは、異種のきのこの菌糸同士が接触するチャンスが高いため、自然界は新種のきのこで埋まってしまうはずだ.
 専門家は,いつもの「ガセネタ」でそのうち消えて無くなると想像していたが、マスメディアが賑々しく取り上げたため、その人工マツタケを本物と勘違いする視聴者・消費者が現れ始めて看過できなくなった.
 「この研究者」は、人工マツタケ作成の常習者である(伝聞)ことも判明.森林総研の遺伝子解析でシイタケと認定(2003年年報).ことは収まった.NHK NEWS10も実はシイタケだったと説明(写真2).これは謝罪だろう!岩田眞人氏の「イカサマツタケの研究」に詳しい(ブログ).

それで終わってたまるか! 
 でもそれで収まらないのは、当然数千万円掛けてきのこ栽培施設を造った生産業者だろう.
案の定、少し説明を変えて名前を変えて登場.東洋きのこ農園の「松きのこ(写真3)」だ.でも、未だ新種と偽っている.2006年のことである. 
 まだそんなこと言ってるの?「松きのこ」というブログもあるのでそれを引用すると、「松茸と椎茸から生まれた新しい食感」バーコードラベルに記された「ハサイルイ」というのが味わい深い。「八百屋」と「野菜」が『融合』したのだろう。※正しくは「ヨウサイルイ(葉菜類)」と書く。ちなみにキノコは一般的には「菌茸類」と呼ばれている.
1) 2) 3) 写真は 右クリックで 大きくなります.
だまされた奴が悪いという商法は、直ぐつぶれる 
 京丹波キノコ園のものも世羅きのこ園のもので、きのこの商品名を「松きのこ」という.同じ名である.冒頭の京都新聞に世羅きのこ園が十数年前に開発とあるから、2003年に私たちを欺いた業者が、世羅きのこ園と名を変え、異形シイタケを「松きのこ」と名付けて販売していると思える.京丹波キノコ園は栽培指導を受けたと書かれている.シイタケを新種のきのこと称して京都でも生産・販売されるとは情けない.消費者を欺く商法まで指導を受けていないことを願う.だまされた奴が悪いという商法は、直ぐつぶれる. こんなブログを書いた僕は、これらの業者名や紛らわしいきのこの宣伝に貢献したと自責の念を持つ.

マスメディアの堕落
 人の噂は75日経つと消えるという.いかがわしいきのこの話題は5~10年ごとに登場するらしい.これが冒頭の京都新聞の記事である.JAS法の精神に反する,すなわち消費者を惑わす商品名(松きのこというきのこは存在しない)で売る業者が悪いのか、マツタケに似た香りがし、シイタケとマツタケ菌の共生で生まれたきのこと訳の分からない記事を書いた記者とそれを載せた新聞社が悪いのか,それともこの製法を売った「研究者」が一番の悪なのでしょうか?これは読者のご判断を仰ぎたいところである.
 報道関係者は、番組を作る時や記事を書く時、取材する.中には、取材もせず他人の記事を剽窃した記者もあったが、最後に必ず聴く「それで、どんな価値がありますか? 効果はどうですか?」と.聴かれた方は、一所懸命「価値や効果」をひねり出す.ものの価値は作り手やマスメディアが決めるものではない.
 その価値を見いだす役割は,本来、市民・消費者であるべきだ.マスメディアは,自分たちだと自負するがこれはおかしい.読者も消費者も、僕もアナタもですが、もっと賢くならないとダメですね.いつまでも熱い鉄板の上で踊るネコでは困りますよね.
 最近の報道は,特に3.11原発事故以来、裏付けを取らずに、政府発表の鵜呑み報道(これって鵜への差別発言?!たとえられた鵜が気の毒),あるいは裏付けのない一方向の報道が目立つ.マスメディアが権力機構の監視役を放棄すれば、我々は情報の真偽を探ることができない.これは、上意下達のみで民主主義的統治ではない.
 そんな意味で、SNS(Social Networking Service)に期待して、昨年の衆議院選挙を見守ったが,大いに裏切られた.これでは、既成秩序というものは少なくとも今の日本では覆らない.マスメディアもSNSもダメなら、だまされ続けなくてはならない.しかし、そうと知ったら、我慢はそんなにできないものである.いずれ爆発する.市民の我慢はエネルギーとして「マグマ溜まり」に貯まりはじめているのか? そこを知りたい! 
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まつたけ山復活させ隊 活動予定日 
        2013年2月から4月
回     開催日      報告担当者    男厨シェフ
374    2月02日    土    池内      川崎
375    2月08日    金    三輪  
376    2月16日    土    榎本   
377    2月22日    金    内田    
378    3月02日    土    宮崎      松本
379    3月08日    金    榎本    
380    3月16日    土    池内    
381    3月22日    金    三輪    
382    3月30日    土    内田    
383    4月05日    金    宮崎      小原
384    4月13日    土    榎本    
385    4月19日    金    三輪    
386    4月27日    土    池内    


§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分)
 活動開始は午前10時頃から,終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.食材費(実費)+消耗品費として現在 400円を徴収.

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§カンパありがとう!
   
§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活!京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 matsutake10@gmail.com




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2 コメント

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イカサマツタケ (岩田眞人)
2013-04-13 06:58:23
「まつたけ十字軍運動」のご活躍、誠に素晴らしいものといつも感心しております。

またぞろ「イカサマツタケ」が、きのこ栽培業者やきのこ関係者をたぶらさせています。先般も、福岡の人材派遣会社が引っかかりかけましたが、幸い私のところに相談があり被害は未然に防げました。

ところが、その私に「イカサマツタケ」の案内状が届き、笑っていたところです。本当にシブトイ方々です。

ますますのご活躍を祈念いたします。
〈ご参考までに…〉
【ご光臨。「イカサマツタケ」】
http://ameblo.jp/reisai/entry-11509909507.html
確かに・・・ (松茸LOVE)
2013-06-12 16:13:11
ここ数年丹波産松茸に夢中になっている者です。
おっしゃっる様に、毎年採れる量が減って来ている現実に、何か出来る事は無いものかと考える一人です。
こちらの取り組みは非常に興味深く、是非ご指導いただきたいです。
ところで松きのこ、私個人としては不愉快極まりないキノコです。
それから京都新聞、山下 悟氏は、非常に偏った記事を書く記者で、誤解や事実を曲げて表現して読者に変な想像を故意的に誘導する事の得意な、三流ゴシップ誌と変わらない記事を書く記者だと感じます。
吉田こうたろうと言う記者も常識に欠けていて、京都新聞って大丈夫なのだろうか?と心配しています。

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