仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

タイタニック

2017年06月06日 | ムービー
『タイタニック(原題Titanic)』(1997年/ジェームズ・キャメロン監督)を見た。
物語は、「1996年。トレジャーハンターのブロック・ロベット(ビル・パクストン)は、相棒のルイス・ボーディーン(ルイス・アバナシー)らと共に、ロシアの新型無人潜水艇等を使い、1912年に沈没した豪華客船タイタニック号の船内に眠っているはずの"碧洋(へきょう)のハート"を探し出そうとしていた。ブルボン朝ルイ16世が所有していたブルーダイヤモンドをハート形にしたネックレスだ。タイタニック号の探索をテレビ番組で知ったローズ・カルバート(グロリア・スチュアート)は、"碧洋のハート"を知っている唯一の生存者としてロベットの探索に協力するため、探索船を訪れたのだが・・・」という内容。
かつて、イギリスのホワイト・スター・ライン社が北大西洋航路に投入した豪華客船タイタニック号は、1912年4月10日にサウサンプトン港にある専用埠頭オーシャンドックからニューヨークへと向けて初めての航海に出たが、その航海中に氷山と接触し、4月15日午前2時30分に沈没し、大西洋の水深3,821mの海底に沈んでいる。
この史実を基に創作されたのが本作なわけだが、物語は101歳だというローズの回想で展開する。
1等客室のローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)は、大富豪の御曹司キャルドン・ホックリー(ビリー・ゼイン)の婚約者。
家が破産寸前のため、母ルース(フランシス・フィッシャー)に言われるがままに政略結婚を強要され、決められた人生に絶望していた。
一方、資金を稼ぎながら世界中を旅している画家志望の若者ジャック・ドーソン(レオナルド・ディカプリオ)は、同船の出港5分前に、ポーカーで乗船切符を手に入れ、3等客室に乗り込んだ。
ジャックが投身自殺を図ろうとしたローズを助けるという運命的な出会いをした2人だったのだが、急速に親密さを増していく姿を目にして、たまったものじゃないのが婚約者のホックリー。
執事のスパイサー・ラブジョイ(デビッド・ワーナー)を使って、2人を引き離そうとする姿が何とも哀れだ。
中盤からはまるでパニック映画のような様相になるのだが、序盤、全財産をかけたポーカーの場面での「これで誰かの運命が変わるぞ」と「俺たちは世界一ツイてる」というジャックの台詞がとても印象に残ったのだった。
人生、一寸先は闇なのだ。

とらわれて夏

2016年08月30日 | ムービー
『とらわれて夏(原題Labor Day)』(2013年/ジェイソン・ライトマン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「1987年、レイバーデイの週末を控えたある日。アメリカ合衆国東部の町に住む親子アデル・ウィーラー(ケイト・ウィンスレット)とヘンリー(ガトリン・グリフィス)の2人はショッピングセンターに買い物に出掛けたのだが、店内で脱獄犯フランク・チェンバース(ジョシュ・ブローリン)に遭遇。強要され、自宅に匿うことになってしまう。子供に危害を加えることはしないと約束したフランクは暗くなったら出ていくと話していたが、翌日に壁を直し、暖房機のフィルターを交換し、クルマのウィンカーを直し、オイル交換もした。業者から届いた薪を点検して数のごまかしに気づき、床を洗ってワックスもかけた。隣人からもらった桃を使って3人でパイを作った。そうやっているうちに次第にヘンリーと打ち解け、アデルと惹かれ合うようになっっていったフランクだったが・・・」という内容。
フランクがどういう考えで脱獄に至ったのかは描かれていなかったが、極悪人というわけでもなさそうだった。
とはいえ、脱獄囚である。
2日目の夜に3人でバーベキューをしようというのはどう考えてもおかしい。
(^_^;)
どうやらこれも"ストックホルム症候群"というやつなのだろうが、アデルは少しばかり心に問題があるらしくも描かれていたから、その心の隙間にフランクが入り込んでしまったのだろう。
というよりは、互いに望んだ展開にも見える。
「タイヤ交換のやり方を教えてやる。女性を隣に乗せる前に覚えておけ」と言うフランクはまるで父親だ。
ヘンリーもまたそんな彼に父親を感じていたのだろうから、チャンスはいくらでもあったはずなのに、逃げたり、誰かに助けを求めたりはしなかった。
出て行こうとするフランクに「警察犬が血を辿って追い掛けてくるから、傷が治るまでいたほうがいい」(確かそんな台詞)と引き留めたほどだ。
(^_^)
原題になっている"レイバーデイ(Labor Day)"は日本には馴染みがない休日だが、アメリカでは一般的にこの日が夏の終わりと考えられているらしい。
3人の短い夏の思い出ということなのだろう。
ナカナカに面白い物語だった。

ホリデイ

2010年11月13日 | ムービー
『ホリデイ(原題The Holiday)』(2006年/ナンシー・マイヤーズ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「クリスマス休暇直前。ロンドンの出版社に勤めているアイリス(ケイト・ウィンスレット)は、片思いの相手・同僚ジャスパー(ルーファス・シーウェル)の結婚を祝うコラムを書かされることになる。最も悲劇的な形で失恋した彼女の元に"ホーム・エクスチェンジ"のサイトで彼女の家を見たアマンダ(キャメロン・ディアス)から、"2週間、お互いの家とクルマを交換しないか?"との連絡が入る。アマンダはロサンゼルスに住み、ハリウッド映画の予告編を製作している会社の経営者。同棲している恋人の浮気に傷つき落ち込んでいた。見ず知らずのアメリカ人からいきなりの提案を受けたアイリスは・・・」という内容。
アイリスが住んでいる"ローズヒルコテージ"は、イギリス・サリー州のシェールという小さな村にあるのだが、温暖なロサンゼルスで何不自由なく暮らしているアマンダが、そんな不自由な所に2日といられるわけがない。
少し冷静になれば充分に予測可能な事柄なのだが、元々猪突猛進型のアマンダの想像力は、失恋で大きなダメージを受けていたのだろう。
マイルズ(ジャック・ブラック)が、「サンタアナという季節風が吹くと何かが起きる」と言った後、そのロサンゼルスばかりかシェールでも事態が大きく動き出すのだが、ジュード・ロウ(グラハム役)とルーファス・シーウェルの顔の見分けがつかなかった仁左衛門は、しばらく「???」な感じで見ていたのだった。
(^_^;)
現役時代は映画の脚本家だったアーサー(イーライ・ウォラック)とすぐに友達になれるアイリスは好感度が高いキャラクターで、ケイト・ウィンスレットは役に恵まれている女優さんだと思う。
子役達も良い演技をしていたし、クリスマスが題材のひとつになっているだけあって、心暖まる大人の物語だった。

エターナルサンシャイン

2009年07月15日 | ムービー
『エターナルサンシャイン(原題Eternal Sunshine of the Spotless Mind)』(2004年/ミシェル・ゴンドリー監督/アメリカ)を見た。
物語は、「とある冬の日、寝覚めの悪かったジョエル・バリッシュ(ジム・キャリー)は通勤と反対方向の電車に飛び乗る。寒風吹きすさぶモントークの海岸でクレメンタイン・クルシェンスキー(ケイト・ウィンスレット)という不思議な女性と出会い、意気投合するのだが、実は彼女は・・・」という内容。
謎めいた人物達が登場し、物語はとても不思議な展開になる。
バンテージポイント(原題Vantage Point)』(2008年/ピート・トラヴィス監督/アメリカ)のような話かと思ったが、どちらかというと『メメント(原題Memento)』(2000年/クリストファー・ノーラン監督/アメリカ)に近いか。
物語の核心を握るのは、"ラクーナ社"という謎の会社。
「今死んでもいい。最高に幸せだ。生まれてずっとこの瞬間を待っていた」という台詞が心に残った、不思議な展開でありながらも実はとても熱い物語だった。
これは必見。
(^_^)

ネバーランド

2008年09月09日 | ムービー
『ネバーランド(原題Finding Neverland)』(2004年/マーク・フォスター監督/アメリカ・イギリス)を見た。
物語は、「1903年のイギリス。劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は、執筆中の公園でデイヴィズ一家と出会う。夫に先立たれたシルヴィア・デイヴィズ(ケイト・ウィンスレット)と4人の子供達はジェームズとまるで家族のように過ごすが、父親の死にショックを受けていた三男のピーター(フレディ・ハイモア)だけは、遊びの輪に積極的に加わらなかった。そんな彼を幼い頃の自分と重ねて見てしまうジェームズは、かねてからイメージしていたもののシルヴィア以外には(妻にも)話したことが無かった"ネバーランド"を舞台とする新作【ピーターパン】を完成させる」という内容。
1903年といえば日本でいうと明治36年。
「夏目漱石がイギリスに留学したのが(前年の)1902(明治35)年」と、(これを書こうとした時に)ラジオ番組で優香が話していたのだが、元号に置き替えたり、同時代の日本の偉人を引き合いに出されると、「あぁそんなに昔の話なのか」と気がつく。
そう考えると、元号もナカナカ便利だ。
(^_^)
興行主を演じていたのがダスティン・ホフマンだということにはすぐに気付いたが、「ほくろが無いしマドンナじゃないよな・・・」と思いながら見ていたシルヴィア役の女優を、『タイタニック(原題Titanic)』(1997年/ジェームズ・キャメロン監督/アメリカ)でローズ・カルバートを演じた女優だと気がつくまでにはしばらく時間がかかったのだった。
彼女はジュリー・クリスティ(デュ・モーリエ夫人役)のような上手な演技は出来なかったが、家族で『ピーターパン』を見るシーンでは涙を誘った。
名作『ピーターパン』の影にこんな切ない話があったとは・・・。
これは、なかなかに良い作品だった。

SOSタイタニック 忘れえぬ夜

2006年04月01日 | ムービー
『SOSタイタニック 忘れえぬ夜(原題A Night to Remember)』(1958年/ロイ・ウォード・ベイカー監督/イギリス)を見た。
この映画の原作本『タイタニック号の最期』(ウォルター・ロード著/ちくま文庫)には、「多くの資料と生存者の談話をもとに、その伝説の真相にせまった優れた記録文学」(細野晴臣)との解説があるようだし、映画では「生存者の方々の協力に感謝します」とのコメントがあったので、この映画はかなり真実に近い内容が描かれているのではないかと思った。
作品の時間は1時間58分だが、これにレオナルド・ディカプリオケイト・ウィンスレットのエピソードを加えると、『タイタニック』(1997年/ジェームズ・キャメロン監督/アメリカ)の長さ(3時間14分)になるのか。
(^_^;)
あの映画では一番近い距離に"カルパチア号"がいたとされていたと思ったが、この映画では、わずか15kmほどの距離に"キャリフォルニア号"がいたものの、見張りと通信士がタイタニック号の遭難信号に気付かなかったとされていた。
両作品ともドキュメント作品ではないのだが、生存者の談話を基にした原作本を基本としている本作のほうに信憑性が感じられるのだった。
物語は、「"タイタニック号"は処女航海中の1912(明治45)年4月14日深夜に北大西洋上で氷山に接触、翌日未明にかけて沈没したという20世紀初頭に建造されたイギリスの豪華客船。犠牲者数は(諸説あるらしいが)乗員乗客合わせて1,513人を数える当時世界最悪の海難事故だった」という事実を踏まえた内容だが、リズ・ルーカス夫人(オナー・ブラックマン)をはじめとする登場人物の多くはおそらく架空の登場人物なのだろう。
結構引き込まれて見てしまったが、当然ながらこの映画は沈没までの約2時間半の様々な人たちを詳しく描こうとしているため、主人公のライトラー航海士(ケネス・モア)についてそれほど深く描かれていなかったような感じもした。
物語自体が悲劇なのだから、彼をヒーローとして描くのには限界があったということか。
また、タイタニック号の出航シーンには、どうやら一部実際の記録フィルムが使われていたようで、隅のほうにそこそこ大きそうな帆船が映っていたのだが、1912年といえば日本でいうと明治45年のこと。
当時最新だっただろう技術と、ふんだんにお金を使った贅沢な装飾を施した巨大な鉄の塊を浮かべたことに慢心して、乗員には緊張感の欠如もあったのだろう。
実際の事故に関して少し調べてみたのだが、氷山情報を提供してくれる他船の電信に対し、客の私信の発信を優先し、「あとにしろ」と打電していたという事実があるらしい。
氷山の情報についてマッタク知らなかったということではなかったようだが、氷山の南下ぐあいを甘く見ていたらしい。
まさに悲劇だ。