仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

ウルフ・オブ・ウォールストリート

2017年06月18日 | ムービー
『ウルフ・オブ・ウォールストリート(原題The Wolf of Wall Street)』(2013年/マーティン・スコセッシ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ニューヨーク。クイーンズ地区のアパートで、会計士の父マックス(ロブ・ライナー)、母リー(クリスティーン・エバーソール)の元、ごく普通に育ったジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)は、22歳の時に美容師のテレサ・ペトリロ(クリスティン・ミリオティ)と結婚した。株取引の資格取得のため、1899年創業の老舗証券会社ストラットン・オークモント社で働き始めたジョーダンだったが、半年間の研修を終え、ブローカーとして出社した初日・1987年10月19日、1929年以来の株価大暴落だというブラックマンデーに遭遇。会社は倒産してしまった。テレサの助言で、新聞広告で見つけたペニー株を扱う証券会社・投資センターで働くことにした彼は、最初の売り込み電話で1株が数セントだという銘柄ながら、多くの契約をものにして手数料50%(2,000ドル)を手にするなど、周囲の社員から凄腕と驚かれるほどの成績を残す。その後、26歳の時に休業中のフランクオート社のガレージを借りて、ドニー・アゾフ(ジョナ・ヒル)と共にストラットン・オークモント証券会社を設立し・・・」という内容。
休業中の会社のガレージを借り受けたジョーダンは、まず地元で営業経験者を募集したのだが、集まってきたのは、5年かかって高校を卒業したというロビー・ファインバーグ(ブライアン・サッカ)、タイヤとマリファナを扱っていたというチェスター・ミン(ケネス・チョイ)、ドラッグの売人ブラッド・ボブニック(ジョン・バーンサル)らで、唯一、ロースクールを出ているというニッキー・コスコフ(P・J・バーン)だけがまともに話が通じる感じの人間だった。
(^_^;)
ジョーダンも彼らにはほとんど期待していなかったのだが、ここでまた「どうして真面目に働いているその辺の人達に損をさせるの?損しても平気な金持ちだけを相手にすればどうなの?」(確かそんな台詞)という妻テレサの助言で「彼らがバカに見えなければ?自分が彼らにセールスの仕方を教えてやれば?」と考え方を変え、「全米1%の金持ちだけを相手にする」と会社改革を始める。
ジョーダンにとって妻テレサは何にも代えがたい良きパートナーだったのだが、ドラッグに溺れた彼は、モデルのナオミ・ベルフォート(マーゴット・ロビー)にすっかり入れ込み、2人は離婚に至ってしまった。
"灯台下暗し"とは言うが、本当に大事なものというのは、やはり本人には見えないものなのだろうかと、自分のことを含め、そう考えてしまう。
(-_-;)
これは事実を基にした物語だそうで、回想録『ウォール街狂乱日記 "狼"と呼ばれた私のヤバすぎる人生』(ジョーダン・ベルフォート著)を原作としているらしいのだが、人間の欲望というのは本当に際限がない。
一度は引退を決意したものの、自分の退任あいさつ時の演説に酔ってしまって(?)、証券取引監視委員会との約束を反故にし、FBI捜査官パトリック・デナム(カイル・チャンドラー)に仕事を与えてしまうことになる。
確かにキミー(ステファニー・カーツバ)のエピソードは切なかったのだが、あれはその後の運命を決める大きな交差点だった。
また、先輩証券マンのマーク・ハンナ(マシュー・マコノヒー)も実在の人物だそうだが、彼そのものがその業界で生きる人達の危うさを代表しているように見えた。
面白いというよりも、これが実話を基にしているという事実に驚かされた強烈な作品だった。

タイタニック

2017年06月06日 | ムービー
『タイタニック(原題Titanic)』(1997年/ジェームズ・キャメロン監督)を見た。
物語は、「1996年。トレジャーハンターのブロック・ロベット(ビル・パクストン)は、相棒のルイス・ボーディーン(ルイス・アバナシー)らと共に、ロシアの新型無人潜水艇等を使い、1912年に沈没した豪華客船タイタニック号の船内に眠っているはずの"碧洋(へきょう)のハート"を探し出そうとしていた。ブルボン朝ルイ16世が所有していたブルーダイヤモンドをハート形にしたネックレスだ。タイタニック号の探索をテレビ番組で知ったローズ・カルバート(グロリア・スチュアート)は、"碧洋のハート"を知っている唯一の生存者としてロベットの探索に協力するため、探索船を訪れたのだが・・・」という内容。
かつて、イギリスのホワイト・スター・ライン社が北大西洋航路に投入した豪華客船タイタニック号は、1912年4月10日にサウサンプトン港にある専用埠頭オーシャンドックからニューヨークへと向けて初めての航海に出たが、その航海中に氷山と接触し、4月15日午前2時30分に沈没し、大西洋の水深3,821mの海底に沈んでいる。
この史実を基に創作されたのが本作なわけだが、物語は101歳だというローズの回想で展開する。
1等客室のローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)は、大富豪の御曹司キャルドン・ホックリー(ビリー・ゼイン)の婚約者。
家が破産寸前のため、母ルース(フランシス・フィッシャー)に言われるがままに政略結婚を強要され、決められた人生に絶望していた。
一方、資金を稼ぎながら世界中を旅している画家志望の若者ジャック・ドーソン(レオナルド・ディカプリオ)は、同船の出港5分前に、ポーカーで乗船切符を手に入れ、3等客室に乗り込んだ。
ジャックが投身自殺を図ろうとしたローズを助けるという運命的な出会いをした2人だったのだが、急速に親密さを増していく姿を目にして、たまったものじゃないのが婚約者のホックリー。
執事のスパイサー・ラブジョイ(デビッド・ワーナー)を使って、2人を引き離そうとする姿が何とも哀れだ。
中盤からはまるでパニック映画のような様相になるのだが、序盤、全財産をかけたポーカーの場面での「これで誰かの運命が変わるぞ」と「俺たちは世界一ツイてる」というジャックの台詞がとても印象に残ったのだった。
人生、一寸先は闇なのだ。

インセプション

2011年10月04日 | ムービー
アイマックスシアターで『インセプション』(2010年/クリストファー・ノーラン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ドミニク・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は他人の夢に侵入して頭の中のアイディアを奪い取る企業スパイ。しかし、今回サイトーと名乗る男(渡辺謙)から依頼されたのはいつもと逆で、他人にアイディアを植え付けることだった」という内容。
展開はスリリングでスピード感にあふれ、妻や子供達のエピソード等ドム(ドミニク)のプライベートが感動的に描かれているが、所詮は犯罪者の話。
見終わって何か釈然としないものが残ったのは、仁左衛門的にそこが受け入れられなかったからなのだろう。
ただ、アイマックスシアターの大画面&大音響は迫力があるので、無駄に大きいだけの音楽のような気がしつつも、(観賞中は)何か凄いものを見ているように錯覚した。
(^o^)

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

2009年11月18日 | ムービー
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(原題Catch Me If You Can)』(2002年/スティーヴン・スピルバーグ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「1963年、アメリカ。父フランク(クリストファー・ウォーケン)の事業が不振で、フランク・ウィリアム・アバグネイルJr(レオナルド・ディカプリオ)は、公立高校への転校を余儀なくされる。初登校の朝、まったく馴染めない雰囲気を察知した彼は、とっさに臨時講師のふりをして教壇に立ち、1週間を過ごしてしまうのだった。やがて、大好きな両親が離婚するに至り、大きなショックを受けたフランクは家を飛び出してしまう。無一文の彼が思いついたのは小切手詐欺だったが、すぐにばれないことに味をしめ、彼の巧妙な手口を見抜いたFBI捜査員カール・ハンラティ(トム・ハンクス)の追跡をかわしながら、航空会社の副操縦士、医者、法律家等様々な職業を騙り・・・」という内容。
もちろん本編も面白いが、オープニングのアニメーションとテーマ音楽が素晴らしく、これを切り取ってどこかのショート映画祭に出品したものなら、間違いなくグランプリを獲得してしまうだろうと思えるほどの出来だった。
(^_^)
原作は、主人公フランク・ウィリアム・アバグネイルJr.、その本人が書いた自伝小説(『世界をだました男』2001年/新潮社)で、『クヒオ大佐』(2009年/吉田大八監督)も詐欺師の物語だったが、これら日米の詐欺師に共通しているのは、"自分が作り出した夢の世界で生きていた実在の詐欺師"という点と、"窮地に追い込まれても絶対に諦めない"という点。
詐欺師などを見習っても仕方が無いが、あの"諦めない姿勢"は凄い。
(^_^)
それだけに、騙されてしまう人が続出したのだろう。

SOSタイタニック 忘れえぬ夜

2006年04月01日 | ムービー
『SOSタイタニック 忘れえぬ夜(原題A Night to Remember)』(1958年/ロイ・ウォード・ベイカー監督/イギリス)を見た。
この映画の原作本『タイタニック号の最期』(ウォルター・ロード著/ちくま文庫)には、「多くの資料と生存者の談話をもとに、その伝説の真相にせまった優れた記録文学」(細野晴臣)との解説があるようだし、映画では「生存者の方々の協力に感謝します」とのコメントがあったので、この映画はかなり真実に近い内容が描かれているのではないかと思った。
作品の時間は1時間58分だが、これにレオナルド・ディカプリオケイト・ウィンスレットのエピソードを加えると、『タイタニック』(1997年/ジェームズ・キャメロン監督/アメリカ)の長さ(3時間14分)になるのか。
(^_^;)
あの映画では一番近い距離に"カルパチア号"がいたとされていたと思ったが、この映画では、わずか15kmほどの距離に"キャリフォルニア号"がいたものの、見張りと通信士がタイタニック号の遭難信号に気付かなかったとされていた。
両作品ともドキュメント作品ではないのだが、生存者の談話を基にした原作本を基本としている本作のほうに信憑性が感じられるのだった。
物語は、「"タイタニック号"は処女航海中の1912(明治45)年4月14日深夜に北大西洋上で氷山に接触、翌日未明にかけて沈没したという20世紀初頭に建造されたイギリスの豪華客船。犠牲者数は(諸説あるらしいが)乗員乗客合わせて1,513人を数える当時世界最悪の海難事故だった」という事実を踏まえた内容だが、リズ・ルーカス夫人(オナー・ブラックマン)をはじめとする登場人物の多くはおそらく架空の登場人物なのだろう。
結構引き込まれて見てしまったが、当然ながらこの映画は沈没までの約2時間半の様々な人たちを詳しく描こうとしているため、主人公のライトラー航海士(ケネス・モア)についてそれほど深く描かれていなかったような感じもした。
物語自体が悲劇なのだから、彼をヒーローとして描くのには限界があったということか。
また、タイタニック号の出航シーンには、どうやら一部実際の記録フィルムが使われていたようで、隅のほうにそこそこ大きそうな帆船が映っていたのだが、1912年といえば日本でいうと明治45年のこと。
当時最新だっただろう技術と、ふんだんにお金を使った贅沢な装飾を施した巨大な鉄の塊を浮かべたことに慢心して、乗員には緊張感の欠如もあったのだろう。
実際の事故に関して少し調べてみたのだが、氷山情報を提供してくれる他船の電信に対し、客の私信の発信を優先し、「あとにしろ」と打電していたという事実があるらしい。
氷山の情報についてマッタク知らなかったということではなかったようだが、氷山の南下ぐあいを甘く見ていたらしい。
まさに悲劇だ。