いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

センスのギャップ。 gap of senses

2017-05-29 19:50:42 | 日記
 (1)今の日本の政治状況をみると、ひとつは定説となっている安倍政権への支持、期待よりは野党に不信、力不足を感じていることの反動としての安倍政権支持ということだろう。

 安倍政権の重要政治課題にことごとく国民の過半数が反対を唱えながら安倍内閣支持率は最近までは50%台を維持して比較高く、さすがに加計学園問題の文科省内の「総理のご意向」文書の存在を巡ってのゴタゴタで直近の世論調査では50%を割った。

 (2)こういう状況は正常な意思が反映されている政治状況とはいえずに、どこかおかしい世の中のまま何となく安定が保たれているという不安定な空気が支配する社会だ。
それを支えているのがもうひとつの安倍首相、政権の独断専行型政治だ。

 09年の民主党政権の自虐的、自滅的政権運営失敗の反面教師としての「強い政治」自民党、安倍政権への原点回帰だ。

 (3)09年の民主党政権やわずかの連立政権を除いて戦後70年余りのほとんどを自民党政権が支配してきた日本政治への強い信頼、安定感が考えられる。
 どこかおかしい世の中のまま何となく安定が保たれているという不安定な空気というのは、もちろん居心地のいいものではない。

 安倍政権でも権力操縦による指名大臣の資質、力量不足、不規則発言などが続いて安定政権のゆるみ、ゆがみが指摘されているが、かといって安倍政権、自民党への国民からの厳しい批判はさほどは聞かれない。

 (4)米国トランプ政権も就任早々から不手際、統治能力不足を露呈しながら、全米あげてのトランプ政権批判はあまり聞かれない。
どちらかといえば強い米国、政治へのあこがれとそれに距離を置いた経済至上主義の小市民的国民意識(the petite bourgeoisie)の政治無関心社会のようにも映るのと似ている。

 (5)7月には各党が国政選挙並みの体制で臨む都議選が実施される。直近のメディアの世論調査では小池都知事への支持率が63%と高く、しかしその小池知事が率いる7月の都議選にはじめて挑戦する地域政党の都民ファーストの会の支持率は11%と自民党の17%に次いで2番目となっている。

 こちらも都民意識のギャップ(gap of senses)現象で、国政の国民意識とはまた違ったねじれ現象といえる。

 (6)多分に同じ地域政党の大阪維新の会や名古屋の減税日本が設立時の選挙では大きな選挙民の支持を集めながら、その後のにわか数合わせの同議員の資質問題、結束力不足などが影響していつしか勢力を落としている現状が反映しているものとみられる。

 ここにも国政レベルの安定した政権運営、強い政治への期待の強さが伺える。パラドックス(paradox)としてそれが小池都知事への高い支持率にもあらわれているし、小池知事が率いる都民ファーストの会への比較低い支持にあらわれている。

 (7)小池知事は豊洲市場移転問題、2020年東京五輪経費負担問題を都議選の争点として自らの支持を集めようという戦術ではあったが、パラドックスとしてそれが決断の遅れ、長引かせたとして逆風(contrary wind)となっている。

 

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