いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

石原さんも年を取った。 to grew old , too

2017-03-04 19:59:15 | 日記
 (1)石原元東京都知事の豊洲市場移転にかかわる記者会見はある程度これまでの発言から予想できたが踏み込んだものはなく、ほとんどの国民、都民、関係者はがっかりしたと思う。

 冒頭、「座して死を待つつもりはない」(会見要旨)と威勢はよかったが、その後は豊洲市場移転は都知事就任時にすでに既成事実になっていて、交渉は当時の浜渦副知事にまかせて逐一報告を受けずに、専門部局、議会、専門家委員会で検討したものだから「みんなが知恵を出して力を出して決めていくことで、その総意として上がってきたものに対して、私はそれを認可したということ」(同)と「都庁全体の行政の結論として、議会も含めて是としたわけだから」(同)責任は行政全体にあるとばかりに責任転嫁(imputation)した。

 (2)政治、行政の最高責任者の首相、知事などは石原さん本人が言うように「裁可した最高責任者」だから、この場合都知事が判断、決断しなければ豊洲市場移転は決まらないし、進まないわけだから、その責任はすべて最高責任者の都知事にあるということだ。

 責任が専門部局、議会、専門家委員会すべての行政全体にあるなどということになれば、実質結果について誰がどのように責任をとるのか明確にならずに、今回のような責任不在のあいまいな行政決定になって非生産的な混迷を深めることになるだけだ。

 (3)それを防ぐために最高責任者の最高決定権であり、すべての責任の所在が及ぶというのが組織構造論だ。
 石原慎太郎さんというのは作家であり、活字、言葉には特別の思いがあるはずで、芥川賞選考委員の時も納得できない作品の授賞に抗議して委員を辞任したほどである。

 それにしては昨日の記者会見は自己弁護に終始して、説明は決定した自分一人に責任があるわけではなく行政全体にあるとして、曖昧模糊(あいまいもこ)として石原さんらしくない歯切れの悪いものだった。

 (4)その証しとして、会見終了して席を立つときに本音が出た。石原さんは、皆さんはとうてい納得できないだろうけど(趣旨発言)と漏らしていた。
 石原さんは若い時から政治参加に意欲を示して、国会議員としては右翼系の自民党青嵐会に属して行動派だった。
 
 言いたいことは歯に衣着せぬはっきり筋を通して物申す、本人が好きな「武士」(もののふ)であった。
 思想的には近い作家の三島由紀夫には、自衛隊は違憲であり、そのために憲法改正をして正すべく決起すべきだという、行動の是非は別にしても潔(いさぎよ)さがあった。

 (5)石原さんも80才を迎えて、年を取った(to grew old, too)ということだ。武士(もののふ)には、晩節を迎えて己を汚さないという言葉もある。

 そのための石原さんには、まだ百条委員会での証言という名誉回復のチャンスは残されている。

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