いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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人口流出脅威論。 menace theory of outflow of population

2016-06-22 20:00:59 | 日記
 (1)30年も前のことだけどオーストラリアを訪れた時にシドニーの街に東南アジア系の人が多いのに驚いた。もちろん今話題の爆買いの観光客ではなくて、レストラン、タクシーなどで働く東南アジア系の人たちだ。

 当時すでに中国から日本に留学してさらにオーストラリアへの留学希望が増えているのはわかっていたが、シドニーの街で見かけた光景は異常に思えるほどでもあった。

 (2)当時はまだ中国も経済大国として世界に影響力を示す前の時代であり、国民13億人の中国の共産党政府統制時代の中でも意外と海外留学、移住は思うより自由を求めて新天地を求める国民の願望が強かったのだろう。

 中国共産党政権の締め付け、統制抑圧時代の中でも、意外と海外留学、移住は思うより自由なのには驚いたが、中国の歴史を見ると華僑が世界に展開して一大商業勢力を誇示していたこともあり、広大な国土に13億人の国民社会にとっても世界に活路を求めることは必然のことだったようだ。

 (3)そして今話題になっているのが、北京を中心に深刻な大気汚染、環境公害から逃れるために美しい自然と快適環境が残るニュージーランドへの中国人富裕層の移住(emigration)だ。

 30年前のシドニーにあふれていた東南アジア系の人、労働者と違ってこちらは中国の大気汚染、環境公害から逃れての富裕層の海外移住だ。中国政府は13億人の膨大な人口を抱えて言論、思想統制、自由統制の国内統治を強め、軍事力増強により南シナ海域を自国領として埋め立て拡大政策をとっているが、中国政府は国民とともに世界に向けた人口流出については寛容な姿勢が目につくのは必然のことかもしれない。

 (4)中国政府としても13億人人口ではいくらなんでも統治能力をはるかに超えており、一時期は「一人っ子政策」で人口抑制政策を掲げたこともあり国民には評判に悪い人口政策であったが、ある程度は海外への人口流出容認も必要だと考えているのだろう。

 中国人の海外留学、移住には寛容な姿勢が目立つ。また国家経済として発展途上国であった時代の華僑思想、歴史も背景にはあるのかもしれない。

 (5)そうして中国は世界に人的ネットワークを拡げて、現在のGDP世界第2位の経済影響力、市場力を示す大国に成長発展したともいえるのだろう。
 なにしろ13億人の人口力を世界に拡げて人的ネットワークを強化するとなると、これも大変な脅威論(menace theory of outflow of population)ともなる。

 中国の海外留学、移住が思ったより自由で寛容だと考えているうちに、こちらのほうでも世界的な影響力を持つことは大いに考えられる。

 (6)海外からの移住に寛容な米国にしても中国、韓国などのアジア系移民の勢力も力を持ち始めており、遅れを取る日本は米国社会でも日米同盟関係にありながら歴史認識問題で劣勢に立たされることもある。

 人的ネットワーク、人口海外展開は当事国以外には表立って目に見えるものではないだけに、気がついてみたらこんなことになっていたとその影響力に驚かされることになるかもしれない。

 (7)世界は米国大統領選共和党トランプ候補がイスラム移民、メキシコ越境民に強い規制を主張展開して支持を集め、EUでは移民流入に反対する英国のEU離脱か残留かの国民投票を23日に控えている。

 中国の人口流出問題も脅威論として注目を集める日もくるのではないのか。30年前のオーストラリアは日本(人)に大変友好的な国であったが、その後の日本企業の進出で対日感情の悪化が伝えられた。

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