(1)国政選挙のたびに問われる「1票の格差」問題、かっては5倍程度だったものが国会のさしたる努力もせずに人口自然減少、東京一極、地方過疎化により昨年12月の衆院選(election of the house of representatives)は最大2.13倍まで縮小してきた。
最高裁はこれまでの国政選挙の「1票の格差」拡大を2倍以内を許容範囲として合憲、違憲(状態)判断を示してきた。そのためには国会に対して人口比率にかかわらずに小選挙区議席を各都道府県に1人割り当てる「1人別枠方式」を改めるよう判決にあわせて要請してきた。
(2)国会は昨年12月の衆院選にあわせて、直前になって「1人別枠方式」を規定から削除する法改正をし0増5減の定数是正を実施したが、全国的な区割りの作業が間に合わず進まずに最大2.13倍での選挙実施となっていた。
東京高裁は国会の努力を評価して「格差は2倍を少し超える程度で、憲法の求める投票価値の平等に反していたとはいえない」(報道)として、区割りを「国会の裁量権の範囲内」(同)だとして踏み込まずに「合憲」(lawful act of constitution)と判決した。
(3)最高裁が再三求めてきた「1人別枠方式」を改める法改正対応を国会が示したことを最大評価した甘い判決となった。
もうひとつの要件の「1票の格差」が2倍を超えない最高裁の判断基準は「少し超える程度」と大まかに甘く評価して、司法が行政に直接介入する姿勢を回避する立場をとった。
(4)続いて20日には名古屋高裁が昨年12月の衆院選は「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあった」(報道)として「違憲状態」(conditional act of unconstitution)と判決した。
名古屋高裁は0増5減程度では「1人別枠方式の構造的問題を最終的に解決したものとはいえない」(同)として、最大2.13倍の「1票の格差」の違憲性を最大重視して東京高裁とは裁判視点の異なる「違憲状態」判決となった。
(5)同じ昨年12月の衆院選の最大2.13倍の「1票の格差」問題での裁判で、東京高裁は国会の「1人別枠方式」の削除による法改正の努力を評価して格差2.13倍を「2倍を少し超える程度」と過少評価し、名古屋高裁は格差最大2.13倍が残ることで国会の努力は「構造的問題」をそのまま残したとして最終的な解決とは認めなかった。
まったく「2つ」の要件、条件が同じ裁判判断でのそれぞれが別の角度からの司法視点論を展開して、合憲、違憲状態の相反する判決を導いた。
通常の裁判では証拠能力について信ぴょう性の裁判官判断が大きく判決を左右することはあっても、まったく同じ要件、条件の裁判で合憲、違憲状態とまったく異なる判決を下すのもめずらしいことだ。
(6)そのために最高裁の上告審理による決着があるのだが、今回の場合東京高裁の「合憲」判断は国会の「これからの」自助努力に期待するという仮想的ロジック(logic)で司法が行政裁量権に不釣り合いな遠慮を示したものであり、司法判断としては最高裁の判例にも合致せずに専門的見地からのパラダイム(paradigm)にもそぐわない判断だ。
司法判断としては名古屋高裁の判断、判決が社会正義のパラダイムとしての司法基準にそったものだ。
最高裁はこれまでの国政選挙の「1票の格差」拡大を2倍以内を許容範囲として合憲、違憲(状態)判断を示してきた。そのためには国会に対して人口比率にかかわらずに小選挙区議席を各都道府県に1人割り当てる「1人別枠方式」を改めるよう判決にあわせて要請してきた。
(2)国会は昨年12月の衆院選にあわせて、直前になって「1人別枠方式」を規定から削除する法改正をし0増5減の定数是正を実施したが、全国的な区割りの作業が間に合わず進まずに最大2.13倍での選挙実施となっていた。
東京高裁は国会の努力を評価して「格差は2倍を少し超える程度で、憲法の求める投票価値の平等に反していたとはいえない」(報道)として、区割りを「国会の裁量権の範囲内」(同)だとして踏み込まずに「合憲」(lawful act of constitution)と判決した。
(3)最高裁が再三求めてきた「1人別枠方式」を改める法改正対応を国会が示したことを最大評価した甘い判決となった。
もうひとつの要件の「1票の格差」が2倍を超えない最高裁の判断基準は「少し超える程度」と大まかに甘く評価して、司法が行政に直接介入する姿勢を回避する立場をとった。
(4)続いて20日には名古屋高裁が昨年12月の衆院選は「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあった」(報道)として「違憲状態」(conditional act of unconstitution)と判決した。
名古屋高裁は0増5減程度では「1人別枠方式の構造的問題を最終的に解決したものとはいえない」(同)として、最大2.13倍の「1票の格差」の違憲性を最大重視して東京高裁とは裁判視点の異なる「違憲状態」判決となった。
(5)同じ昨年12月の衆院選の最大2.13倍の「1票の格差」問題での裁判で、東京高裁は国会の「1人別枠方式」の削除による法改正の努力を評価して格差2.13倍を「2倍を少し超える程度」と過少評価し、名古屋高裁は格差最大2.13倍が残ることで国会の努力は「構造的問題」をそのまま残したとして最終的な解決とは認めなかった。
まったく「2つ」の要件、条件が同じ裁判判断でのそれぞれが別の角度からの司法視点論を展開して、合憲、違憲状態の相反する判決を導いた。
通常の裁判では証拠能力について信ぴょう性の裁判官判断が大きく判決を左右することはあっても、まったく同じ要件、条件の裁判で合憲、違憲状態とまったく異なる判決を下すのもめずらしいことだ。
(6)そのために最高裁の上告審理による決着があるのだが、今回の場合東京高裁の「合憲」判断は国会の「これからの」自助努力に期待するという仮想的ロジック(logic)で司法が行政裁量権に不釣り合いな遠慮を示したものであり、司法判断としては最高裁の判例にも合致せずに専門的見地からのパラダイム(paradigm)にもそぐわない判断だ。
司法判断としては名古屋高裁の判断、判決が社会正義のパラダイムとしての司法基準にそったものだ。