栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

好調ステイゴールド×フレンチデピュティの“最後のひと手間”

2017-06-22 12:02:03 | 配合論

セントジェイムズパレスSは英2000ギニー2着のBarney RoyがChurchillに雪辱を果たしましたが、ギニーのかんたん展望でも書いたように、配合はBarney Royのほうが好きですね



母AlinaがNorthern Dancer3×4、Mr.Prospector4×4、父父Exceed and ExcelはNorthern Dancer3×3、自身はDanzig4×4、しかし父の母Sun Showerは異系×異系×異系×異系でNorthern DancerもMr.Prospectorも皆無という、絵に描いたような「3/4Northern Dancer,1/4異系」

ようするにBarney RoyにおけるSun ShowerはソウルスターリングにおけるMonsunと同じ役割を担っているわけで、Frankel産駒も基本は「3/4Northern Dancer,1/4異系」の形でまとめるべきだろうというのが私の考え




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今週は宝塚記念にレインボーライン(母父フレンチデピュティ)、パラダイスSにグランシルク(母母父フレンチデピュティ)と、母系にフレンチデピュティの血を引くステイゴールド産駒がメインレースに登場します



マーガレットSを勝ってNHKマイルに駒を進めた3歳オールザゴーも母父フレンチデピュティで、3月にサンシャインSを強い内容で勝ってオープン入りしたシュペルミエールは母父クロフネ

あと6歳になっても準オープンの穴馬としてちょくちょく激走をかますコウエイタケル(母父フレンチデピュティ)など、母系にフレンチデピュティの血を引くステイゴールド産駒の活躍が目につく今日この頃です

いつも書いているように、ステイゴールド産駒は小柄で細身で非力に出がちなのが弱点なので、小柄でも非常に頑強なノーザンテーストらしさをONにする配合で大物を出しており、オルフェーヴル=ドリームジャーニーはノーザンテーストそのもののクロスだし、ゴールドシップはノーザンテースト≒The Minstrelのニアリークロス4×4

┌Northern Dancer
ノーザンテースト
│┌Victoria Park
└△

┌Northern Dancer
The Minstrel
│┌Victoria Park
└△

現役のオープン級でみても、ウインブライトとトゥインクルとマイネルアウラートとショウナンバッハはノーザンテーストのクロスで、マイネルミラノとツクバアズマオーはノーザンテースト≒Storm Birdのニアリークロス(Northern DancerとChop ChopとStimulusとFair Playが共通)

まあアドマイヤリードやステイインシアトルやレアリスタなどは決してノーザンテーストを増幅した配合とはいえず、これらはわりと母方の長所で走っていると言っていいかと思いますが、ノーザンテーストを増幅して頑強になることがオープン馬への近道であることには変わりはないかと



フレンチデピュティの父Deputy Ministerの父Vice Regentは、ノーザンテーストとNorthern DancerとVictorianaが共通するので、カナダ血脈特有のパワーを表現するには有効なニアリークロスといえるでしょう

┌Northern Dancer
ノーザンテースト
│┌○
└△└Victoriana

┌Northern Dancer
Vice Regent
└△
 └Victoriana

母系にフレンチデピュティの血を引くステイゴールド産駒はJRAに30頭出走で17頭勝ち上がり(うち3勝以上をあげている馬が11頭もいる)で勝ち馬率57%、これはステイゴールド産駒全体(同34%)と比較してもかなり優秀な数字

ただしVictoria ParkやChop ChopやWindfieldsはノーザンテーストの血統表において最重要ポイントではなく、やっぱり最重要なのはLady Angela3×2であり、Lady AngelaとはHyperionとTraceryとSwynfordとPretty Pollyであり、Victoria ParkはこのLady Angelaのクロスに対する1/4異系として主に機能している、とみるべきでしょう

だからオルフェーヴル=ドリームジャーニーやゴールドシップが母系にAlycidon(DonatelloとHyperion)やBarley Corn(HyperionとSwynford)を引き、Lady Angela的組み合わせをも同時に増幅していたというこのひと手間を、ステイゴールド×フレンチデピュティにおいてもやる必要があるだろうと

レインボーラインは母父がフレンチデピュティなのに加えノーザンテーストのクロス4×5も持ちますが、母母父レインボーアンバーの母系にAlycidonが入ります

アイスフォーリスはシュペルミエールと同じく母父クロフネで、母母ベゴニアにはAureole、Flower Bowl、AlibhaiなどLady Angelaと脈絡する血が満載





シュペルミエールも4代母MartingaleにLuthier(Lady Angelaと同じMolly Desmond~Pretty Polly牝系)とHyperionが入るので、ここがLady Angelaと「HyperionとSwynfordとMolly Desmond」の組み合わせで脈絡しているのがポイントでしょう

というわけで、成功率の高いステイゴールド×フレンチデピュティにおいても、ノーザンテーストをクロスしAlycidonを取り込んだレインボーラインが頂点に君臨しているのは順当というべきかと

コメント (12)
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